7月16日(土)〜9月25日(日)の期間、大阪市立自然史博物館ネイチャーホールにて特別展『大地のハンター展 〜陸の上にも4億年〜』が開催される。

同展では、動物が生きていくために必要な営みである「捕食(捕らえて食べる)」に注目し、顎や歯、ハンティングテクニックなど、陸に上がって4億年のうちに多様化したハンター(捕食者)の起源と進化を紹介。生態系におけるハンターの役割と重要性を解き明かし、ハンターが生きる自然の素晴らしさ、そして地球環境のこれからを全4章に構成されている展示を通して考える。国立科学博物館のコレクションを中心に、大型のワニやヘビ、ネコ科の哺乳類、フクロウなどの鳥類、ハチなどの昆虫類をはじめとする多彩な標本展示で構成した科学展覧会となる。なお、2021年3月から国立科学博物館にて開催された同展とは一部展示が異なる。

みどころ1.超大型から極小なものまでハンターが大集合

デイノスクス 生体復元モデル 国立科学博物館蔵

デイノスクス 生体復元モデル 国立科学博物館蔵

絶滅したものから現生のものまで、哺乳類、爬虫類、両生類、鳥類、昆虫類が躍動。多彩な捕食者の姿を標本展示で紹介する。

超大型のものとしては、白亜紀に生息していた巨大ワニ「デイノスクス」の実物大生体復元モデルを、最新の研究成果をもとに国立科学博物館の研究員による監修で制作し、同展で初公開する。デイノスクスは中生代白亜紀に生息し、恐竜も 捕食していたとされる全長12mにも達する大型ワニ類。強力な顎が生み出す噛む力は1cm²あたり1,600kgともいわれる。

極小なものでは、血を吸うことでさまざまな伝染病を媒介しヒトを死にいたらしめる 「蚊」や、これまで感染した十数例のうち大半が死亡例ながら生態が謎の寄生虫「芽殖孤虫(がしょくこちゅう)」など、人類にとって最強のハンターも登場。

みどころ2.貴重で美麗な標本の数々

イリエワニ 頭骨 国立科学博物館蔵

イリエワニ 頭骨 国立科学博物館蔵

ハワイの日系二世実業家が後半生をかけて集めた哺乳類の美しい剥製で知られるヨシモトコレクション、テレビの動物番組に出演し人気を博した動物学者の千石正一による国内外で採集した貴重な両生類、爬虫類標本の千石コレクションなど価値の高い標本を展示。戦前のフィリピンで活躍した博物学者、山村八重子が所蔵していた超大型の「イリエワニ」の頭骨には、捕獲の際の名残と思われる3発の弾痕が残っている。

みどころ3.画像や動画で、生の姿を伝える展示も

ワシミミズク 国立科学博物館蔵

ワシミミズク 国立科学博物館蔵

「ライオン」や「チーター」などネコ科の哺乳類、「ワシ」や「ハヤブサ」などの猛禽類、暗闇のハンターとしての能力を進化させた「フクロウ」の集合展示など、人気の高い動物標本が展示される。また、大小さまざまな種類のワニの展示、特定の獲物しか狙わない偏食のハンター、毒使いのハンターなど、マニアックなテーマで切り分けた会場構成で、多様性に富んだハンターの姿を浮き彫りにする。さらに、それぞれの生き物の生態がよくわかる画像や映像も多数展示される。

第1章 「太古のハンター」

「レペノマムス・ギガンティクス」化石標本(複製) 国立科学博物館蔵

「レペノマムス・ギガンティクス」化石標本(複製) 国立科学博物館蔵

遠い昔に栄え、そして絶滅した生物の系譜を追いながら、ハンターの起源と進化に迫る。節足動物と脊椎動物の顎の成り立ちの違いや、中生代に活躍した両生類と爬虫類、新生代の大地に栄えた哺乳類など、太古に活躍したハンターを、化石や骨格標本を通して紹介する。

太古のハンターとして焦点をあてるのは大型肉食恐竜と、恐竜を食べていたと推測されるワニや哺乳類など。ワニは約2億3000万年前の三畳紀に出現して以来、現生までほとんど形を変えずに水辺の生態系に君臨し続けているハンター。太古の地球の多様性を示す。

恐竜絶滅後の大地には哺乳類が繁栄した。「爬虫類のような哺乳類」という意味の学名をもつ白亜紀最大の哺乳類「レペノマムス・ギガンティクス」は鋭い前歯と強靭な顎で、恐竜の幼体も捕食していたとされている。「スミロドン」などがもつ大きな犬歯や、肉食哺乳類のハンターが繁栄した答えが隠されているとする、犬歯の奥にある「裂肉歯(れつにくし)」の進化などを辿る。

第2章 「大地に生きるハンター」

同章では、さまざまな地球環境に順応している現生のハンターを展示する。「水辺」、「森・密林」、「草原」、「荒野(砂漠・岩場)」の4つの生息域ごとに代表的なハンターを紹介するほか、「おびき寄せ・待ち伏せテクニック」や「暗闇」などの切り口で、ハンターの特徴を解説する。

【水辺のハンター】

ハシビロコウ 国立科学博物館蔵

ハシビロコウ 国立科学博物館蔵

動物は生きるべく、必要な水を得るため水辺にやってくる。このため必然的に多くのハンターも水辺に集まるという。水辺に君臨する「アメリカアリゲーター」の大型剥製や、巨大な「ヒグマ」、動かない鳥として人気の「ハシビロコウ」といった水辺でハンティングする動物を展示する。

【森・密林のハンター】

オオカミ 国立科学博物館蔵

オオカミ 国立科学博物館蔵

陸地の3割を占める森、密林。森に潜み狩りを行う動物や、樹上に登り立体的に狩りを行う動物が登場。代表的なネコ科のハンターである「トラ」、群れで狩りをすることで知られる「オオカミ」のほか、立体的に活動する「オオアタマガメ」や「トビトカゲ」などの珍しい小動物も紹介する。

【草原のハンター】

ブチハイエナ 国立科学博物館蔵

ブチハイエナ 国立科学博物館蔵

多くの草食獣が暮らす草原には、それを狙うハンターも多く生息している。彼らの狩りの方法も多彩で、ネコ科では珍しく集団で狩りをする「ライオン」、腐肉食というイメージがついているが狩りが得意な「ブチハイエナ」。また、スピードスター「チーター」や、強力な毒をもつヘビ「ブラックマンバ」など、特徴的なハンターを紹介する。

【荒野(砂漠・岩場)のハンター】

マヌルネコ 国立科学博物館蔵

マヌルネコ 国立科学博物館蔵

砂漠や岩場など厳しい環境で活躍するハンターは、その環境に適した体をもっている。大きな耳をラジエーターとして砂漠に生息する「フェネック」、高地の寒さに耐えうる長い毛をもつ「マヌルネコ」、山岳地帯の急峻な崖をものともせず狩りを行う「ユキヒョウ」などが集まる。

【おびき寄せ・待ち伏せテクニック】

ベルツノガエル 国立科学博物館蔵

ベルツノガエル 国立科学博物館蔵

おとりの昆虫を水に浮かべ餌となる魚をおびき寄せる「ササゴイ」、自らのピンク色の舌をミミズのように動かして魚を捕らえる「ワニガメ」、地中に半身を隠してじっと獲物を待つ「ベルツノガエル」。道具を使って獲物をおびき寄せるユニークな動物を展示する。

【暗闇のハンター】

シマフクロウ 国立科学博物館蔵

シマフクロウ 国立科学博物館蔵

20種類以上の世界中のフクロウの標本を集めた特別展示。魚食、鳥類・哺乳類食、昆虫食など食性によって異なる狩りの特徴を解説する。日本に生息する世界最大級の「シマフクロウ」をはじめ、フクロウをまとめて見られる稀有な機会となる。他にも夜空を飛び回るコウモリや、貪欲なハンターであるモグラなど、個性的な暗闇のハンターを取り上げる。

第3章 「ハンティングの技術」

エメラルドゴキブリバチ 国立科学博物館蔵

エメラルドゴキブリバチ 国立科学博物館蔵

ハンターは、獲物を狩るために最適な体の仕組みや技術を獲得、進化させてきた。特別な能力をもつハンター、特定の獲物しか狙わない「偏食」ハンター、「毒」を狩りに利用するハンターなどを取り上げ、その特徴を紹介する。

「偏食」ハンターとしては、アリ、シロアリを食べるために進化した口と舌を持つ「オオアリクイ」、血や体液を吸うハンターである「蚊」、「タガメ」、「チスイコウモリ」などの標本が展示される。そして「毒使い」としては、毒をもつ希少なトカゲ類で乾燥地に生息する「メキシコドクトカゲ」や、最近毒をもっていることが判明した「コモドオオトカゲ」などを紹介。

ハナカマキリ 国立科学博物館蔵

ハナカマキリ 国立科学博物館蔵

さらに昆虫・節足動物コーナーには、クモとハチ、カマ使いのコーナーが設置される。クモコーナーではクモ類の精緻で多様なハンティングテクニックを紹介。投げ縄のように糸を操る「マメイタイセキグモ」や、上顎付近から粘液を吐きかける「ユタカヤマシログモ」、水中生活を行う唯一のクモ「ミズグモ」を展示予定とのこと。

さらに「ハチスペシャル」として寄生バチや狩りバチなど多様化がもの凄いハチの世界を紹介。世界最大のスズメバチ「オオスズメバチ」や、とても長い産卵管を駆使し、樹木中のカミキリムシに捕食寄生する「ウマノオバチ」、ゴキブリに毒を打ち込みゾンビ化し巣穴へ誘う「エメラルドゴキブリバチ」などが集結する。

そしてカマ使いのハンターとして、これぞ収斂進化といえるカマのような前脚をもつ動物が集合。花に擬態する「ハナカマキリ」や、「カマバチ」、「カマバエ」、「カマキリモドキ」、「ミズカマキリ」、「ザトウムシ」など、種をまたいでカマ使いのハンターを紹介。

第4章 「フォーエバー・大地のハンター」

人間によって絶滅してしまったハンターと、逆に活動を広げてしまった外来のハンターを取り上げ、人間と地球の仲間たちとの持続可能なバランスある関係づくりに向けたメッセージを発信する。

特別展『大地のハンター展 〜陸の上にも4億年〜』は7月16日(土)〜9月25日(日)の期間、大阪市立自然史博物館ネイチャーホールにて開催。チケットはイープラスほかプレイガイドで販売中。