DDTプロレスが8月20日、東京・大田区総合体育館で真夏のビッグマッチ「WRESTLE PETER PAN 2022」を開催する。そのメインイベントを託されたのは第79代KO-D無差別級王者・樋口和貞で、前王者・遠藤哲哉を挑戦者に迎え初防衛戦を行う。

遠藤は6月12日、さいたまスーパーアリーナで行われた「Cyber Fight Festival 2022」での遠藤&秋山準&樋口VS中嶋勝彦&小峠篤司&稲村愛輝(プロレスリング・ノア)戦で、中嶋の張り手を食って脳震とうを起こし、DDTのシングル最強決定トーナメント「KING OF DDT」を欠場し、KO-D無差別級王座を返上。そのトーナメントを制した樋口が新王者となり、初防衛戦の相手に遠藤を指名した。

さまざまなドラマが交錯するなかで遠藤と対峙する王者の樋口に現在の胸の内を聞いた。


――さいたまSAで目の前で遠藤選手が脳震とうに倒れた場面を見た当事者としては、やはり「DDTは弱くないぞ。強いぞ」というところを見せたいとの思いが強く沸いてきたのでしょうか?

樋口「あそこで勝った負けたで白黒はついたんですが、そうですね。やっぱりリングは何が起こってもおかしくない、ただ今一度自分が何かをしなきゃいけないと。それは今までの自分の経験のなかで、強さで叩き潰されてきた部分もありますので。逆に自分がそういうのを見せていかなきゃいけないのかなという気持ちになりました」

――その試合はDDTとノアの対抗戦だったんですけど、6分ほどで終わってしまって、DDTの強さを見せたかったのに見せられなかったという思いはありましたか?

樋口「そういうのはあったと思います。ただ、勝ち負けという感じだったんで。じゃあ次にどうするか。俺たちはどうするのかと考えたうえでの発言などになりましたね。自分だけじゃなくて、DDTのみんなが何かしら、そういう思いをもったんじゃないでしょうか…。目が違ってました。みんながDDTを見せようって。自分は単純明快な強さであったり、DDTの面白さであったり、自分のなかでのDDTを見せようと感じたんじゃないですかね」


――その直後に「KING OF DDT」があって、チャンピオンの遠藤選手が欠場、ベルト返上になって、今年はより一層頑張らなきゃとの思いがありましたか?

樋口「毎年なんですけど、もともと今年がラストチャンスだくらいの気持ちだったんです。『今年こそは』って毎年思ってて。毎回準決勝で負けるというのが続いてて、そろそろ自分のなかでもカラを破らないといけないと思ってて。そういうところに、返上の件があって、今思うと、一段階上の気合が入ったような気がします」

――トーナメントに入る前、トーナメント中の発言を聞いていると、例年より気合が入ってるなという雰囲気は周囲にも伝わってましたが、今年こそ“ベスト4男”は返上して、優勝という気持ちで臨まれていましたか?

樋口「そうですね」


――決勝まで進んだのは初めてでしたが、相手は吉村直巳選手。彼もDDTのストロングの部分を担ってる選手ですけど、小細工抜きで真っ向勝負したいと?

樋口「ハイ。もとから真っ向勝負しかできない人間なんで。吉村は真っ向から行けば、真っ向から来てくれると思ってたんで。単純にどっちが強いかの力比べみたいな試合をしたいという気持ちでしたね。(1日で)2試合目というのもあって、あとは自分の力にかけるしかないという感じでした。あっちもそういう感じだったんじゃないですかね。そのうえで競り勝てた」

――準決勝の秋山選手とは初シングルで4分で倒したことがありましたが、得手なタイプだというのはあったんですか?

樋口「ないです。初対決のときは勢いで勝ったんですけど、2度目のKO-D無差別級選手権では奥の深さとかを知って、『すごいな』って思ったうえで、ベルトを巻かされて『チクショー』って思いました。得意とか苦手とかじゃなく、悔しかった。今回準決勝で当たれて、自分なりのやり方で打ち破れたんで、自分のなかで秋山準VS樋口和貞にいったんの区切りがついたなって思いました。決勝終わった後、ベルトを巻いてもらって、ベルトを巻かされた悔しさもなくなりました」


――今回は決勝が王座決定戦でもあったんですけど、過去5回無差別級王座に挑戦してダメで。「KING OF DDT」初優勝、KO-D無差別級初戴冠がダブルで来て、今までの悔しさとか払しょくできたと思うんですけど、そのときは格別な思いでしたか?

樋口「プロレスラーになりたいために、19歳で相撲部屋に入るというアホみたいなことして、なんやかんやで15年。東京出てきて、やっと結果残せたと。そこで思ったのは周りへの感謝でした。一人の力じゃここまで来れなかった」

――その後、イラプションから巣立つ形になりましたが、やはりイラプションのメンバーには感謝ですか?

樋口「そうです。もうみんなには感謝しかないです。坂口(征夫)さんにも、赤井(沙希)さんにも、岡谷(英樹)にも」

――樋口選手の希望で吉村選手とタッグを組み始めて(チーム名はハリマオ)で、7・24後楽園ではMAO&朱崇花組を破ってKO-Dタッグ王座を獲って一気に2冠王になりました。2冠王になって、より責任感が出てきましたか?

樋口「単純に俺たちがベルトを持ってるという責任感はあります。チャンピオンとして、しっかりしていかなきゃって、身は引き締まりました」

――2冠ありますから、ベルトを守り続ければ、後楽園あたりはほとんどタイトルマッチが組まれることになりそうですが、その重圧をはねのけてやっていかないといけないですね…。

樋口「個人的にはそこまでプレッシャーはなくて。こればかりは流れとか勢いとかがあるんで。先を見据えなきゃいけないんですけど、自分のなかで先のことはあまり考えず、その場の感情を大切にしていきたい。そうすれば責任感も自ずと出てくると思います」



――いよいよ8・20大田区では遠藤選手をチャンピオンとして迎え撃つんですが、遠藤選手のケガがなければ、「KING OF DDT」で優勝して樋口選手が挑戦するという形になったかもしれません。それが逆の立場になりましたが、そこに関してはどう考えられてますか?

樋口「人生は面白いなって思いますね。予期せぬことが起きるんで。「KING OF DDT」も優勝できてなかったかもしれないし、KO-D無差別級も、KO-Dタッグも獲れてなかったかもしれない。今のところ、いい流れが来てて、遠藤哲哉を迎えるということで、個人としては面白いなって思います」

――ビッグマッチでシングルのメインは初めてだと思いますが、それこそ身の引き締まる思いですか?

樋口「そうですね。いろんな流れがありましたけど、結局自分は遠藤哲哉に勝って、ベルトを巻いたわけじゃないんで。お客さんからしたら、KO-Dチャンピオンとして認めてもらえてるのかもしれないですけど、個人的には一つ引っ掛かりがあります。大田区のメインでしっかり遠藤哲哉と白黒つけたい。それを考えてるとホントに身が引き締まります」

――遠藤選手は欠場もありましたから、万全のコンディションで来てほしいところですね…

樋口「そういうのを抜きにして、自分は全力でいくんで。自分は100%でいくから、そっちも100%でこいよって感じです。チャンピオンとして、リングに立ち続けて、そのときを待ちます」

――当然、防衛はしたいでしょうね?

樋口「もちろん。やっと獲ったベルトですから防衛はしたいです」


――大田区で防衛して、2冠王としてDDTのストロングの部分を押し出していきたい?

樋口「根本な部分ではみんなストロングだと思ってるんじゃないですか。そのなかでも、強い人と戦って、強くありたい。吉村とのタッグもありますし、DDT全体を押し上げていきたい。群雄割拠で戦国時代みたいなDDTをつくりあげて、みんなが『俺がDDTだ!』って気持ちでやって前に出てきてくれればいいと思います」

――タッグを組んでますが、吉村選手が無差別級王座に挑戦してきてもいいですか?

樋口「吉村が来てもいいですよ。来る者拒まずです。タッグも同じで、来る者拒まずの気持ちです」

――ハリマオはメンバーを増やしていく意向はありますか?

樋口「当面は2人でやっていきます。ただ、一緒にやりたいという人が出てきたら、3人でも4人でも5人でもいいです」


<樋口和貞プロフィール>
1988年10月24日生まれ、北海道紋別市出身。大相撲八角部屋を経て、2014年にDDTに入門。若手主体ブランドDNAの旗揚げメンバーとして、同年11月28日にデビュー。2017年にDDTに移籍し、KO-Dタッグ、KO-D6人タッグ王座を戴冠。今年7月3日、後楽園で「KING OF DDT」を初制覇し、空位のKO-D無差別級王座を初戴冠。吉村直巳とのタッグでKO-Dタッグ王座も保持する。