2022年9月23日(金・祝)〜25日(日)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール、2022年10月4日(火)〜8日(土)に東京・シアター1010にて上演される舞台『オブリビオの翼』。作・演出を毛利亘宏(少年社中)が手掛けるオリジナル作品で、北村諒と仲田博喜がW主演を務める。

北村諒

北村諒

とある事情から人間になった元・天使のルカが、亡くなった人の遺品が持ち込まれる“黒鷺遺品整理舎”の店主である黒鷺拓心(仲田)と共に故人の果たし得なかった思いに触れていくストーリーだ。稽古開始を間近に控えた、ルカ役の北村にインタビュー。本作に込められた「オリジナル作を劇場で楽しんでもらいたい」という熱い思いや、演じるキャラクターの意外な成り立ちについて語ってくれた。

ーー今作のストーリーについて教えてください。

人間になった元・天使が、“黒鷺遺品整理舎”で亡くなった人の思いに触れていくお話。今の世の中の状況もあって、心が疲れている人も多いと思いますが、ホッと温まるような作品になりそうです。元・天使という役どころはあらかじめ聞いていたんですが、自分の意志で人間になったという設定は意外で面白かったです。堕天使のような、何か良くないことをしてしまったために仕方なく人間になったのではと予想していました。

北村諒

北村諒

ーー演じる元・天使のルカについて、現時点での印象は?

いわゆる特殊能力を少し持っている以外はいい意味でも悪い意味でも天使らしくない。そういう意味では割と人間味があり、親近感が湧きそうなキャラクターになりそうだなと感じています。この作品の出演について声を掛けていただいた段階では、ほとんど何も決まっていなかったんです。「どういう役をやりたい?」って聞かれたので、僕からは「救いようのないクズの役をやってみたいです」ってリクエストしていました。……でもちょっと今回は違ったみたいですね(笑)。

ーーご本人のイメージから当て書きされるケースもありますし、そちらの要素が優先された可能性も?

そうかもしれないですね。北村諒としては、天使要素が多いので(笑)。

ーー(笑)。なぜ、ダークな役を演じることに興味が?

人が隠している部分を描いた作品が好きなんです。嫉妬や狡猾さ、ずる賢さって普段はあんまり見えないじゃないですか。人間のそういう心理に興味があるし、一見すると汚いからこそ美しいなとも思える。今までも熱血だったりキラキラしていたり、クールだったりといろんな役を演じさせていただいたんですが、みんないい奴なんです。だからこそ、救いようのない役にも挑戦してみたくなりました。年齢が三十を超えたのも大きいでしょうし、自分の可能性の幅を広げて新しい一面を探したいです。

北村諒

北村諒

ーー救いようのなさが、今作に反映されている可能性は?

設定やあらすじが決まった段階で「ごめんね」と言われているので(笑)、たぶんないと思います。クズで救いようのない男という役は、ぜひいつか別の機会にやらせていただけたら! ただ、後半はちょっと暗雲が立ち込めそうな展開ではありますが……。脚本を手掛けた毛利さんは、人間の心理を丁寧に描いてエネルギーのある舞台を作っていく方ですし、演じていてとても面白いんです。どんな展開になっていくのか、今作も注目していただけたら。

ーーオリジナル作品でありながら、キャラクタービジュアルを漫画家・桜日梯子さんが手掛けられたという点が新鮮でした。

オリジナル作品はゼロの状態から始まるんですが、今回はキャラクターのビジュアルやイメージが先にある状態なので入りやすかったです。きっと、お客さんにとっても同じだと思います。映画には予告編があるけど、舞台の場合はどんなお話かまったくわからない。見に行く人にとっては賭けでもある。最初から最後まで、話の内容をわかっていたほうが見に行きやすいという気持ちもよくわかります。ただ、僕らとしてはやっぱりオリジナル作品も劇場で体感してほしいんです。完全に何もヒントがない状態よりは、想像を膨らませてから来てもらえる気がします。

北村諒

北村諒

ーー共に主演を務める仲田博喜さんとは、約5年半ぶりの共演ですね。

舞台『真・三國無双』以来ですが、ここまで絡みがあるのは初めてです。ゲスト出演させてもらった2021年12月の舞台『MOTHERLAND』に博喜が出演していたので、その時に今回の話もちょっとだけしました。「主演だもんね」って話をされたんですが、なぜか僕のなかで主演だという認識が抜けてて「あ、そうなの!?」って返しちゃったんです(笑)。そしたら博喜が「え!? 俺、きたむー主演だから受けたんだけど!」って。ちょっと焦らせちゃったかもしれないですね(笑)。

ーーW主演という点も見どころになりそうです。

博喜とがっつりお芝居ができるのは嬉しいですね。役者としては、すごくまっすぐなお芝居をする人。以前、共演した時も演出家の方に「まっすぐさがいいから、そのままやって」って言われていたのが印象に残っています。博喜が演じる黒鷺拓心もまたちょっと一癖があって、ある意味でひねくれているところもある。どういうアプローチで来るのか、今から楽しみです。

北村諒

北村諒

ーー記憶と忘却が題材の今作ですが、北村さんにとって忘れたいことは何かありますか?

結構、忘れたいことはすぐ忘れられるタイプなんですよ。思いつめるようなことも「わー!」ってなりながら寝て、翌日には忘れてます(笑)。(しばらく考えて)……あ、ありました。中学の時、バスケ部の引退試合で開始5分にしてコケたことです。会場も大きかったし、緊張もしてたんでしょうね。何事もなかったように、すぐ立ち上がった記憶があります(笑)。ちなみに、試合は負けてしまいました。

ーー上演は9月下旬ということで、夏から秋へ移り変わる頃。涼しくなったらやりたいことは?

サバゲー(サバイバルゲーム)がしたいです。コロナ禍になってからやれてないですし、暑いと熱中症にもなってしまいますからね。その頃にはできるようになってたらいいなあ。あと、フットサルもやりたいです。カンパニーで誘われることが多いので始めたんですが、初心者なのにさっそくシューズも買っちゃいました。最近はイベントに向けてバスケをしています。むっちゃキツいです(笑)。多いときは2、3日に一回ペースでやってるんですが、衰えを感じましたね。ずっと走りっぱなしなので、殺陣やアクションとは全然違う体力が消耗されているんでしょうね。

ーー最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

『オブリビオの翼』は劇場で演劇を楽しんでもらうことを目標にした作品です。まだまだ油断ならない状況ではありますが、演劇の面白さをとにかく伝えたいと思っています。忘れられない作品になるようカンパニー一同頑張りますので、ぜひ足を運んでいただけたら嬉しいです。

北村諒

北村諒

取材・文=潮田茗   写真=荒川潤