演劇集団西瓜糖による第9回公演『刺繍』が、2022年10月5日(水)〜11日(火)に中野ザ・ポケットにて上演される。

西瓜糖(すいかとう)は、劇作家・秋之桜子(あきのさくらこ)の戯曲を上演する演劇プロデュース集団で、2020年5月にわかぎゑふを演出に迎えて『刺繍』を上演する予定だったが、新型コロナウィルス感染症拡大の影響で公演は中止となり、2年の時を経て上演されることになった。

現在PARCO劇場では秋之脚本による『桜文』が上演中で(9月25日 (日) まで、その後、大阪、愛知、長野と巡演)、『桜文』は明治後期〜昭和初期の激動の吉原を舞台に愛憎渦巻く物語となっているが、秋之が『刺繍』で描くのは昭和40年代の東京を舞台に、愛に焦がれるものたちの物語だ。

今作ではどのような秋之ワールドが見られるのか。西瓜糖メンバーの山像かおり(やまがたかおり/筆名・秋之桜子)と奥山美代子(西瓜糖 代表)の立ち会いのもと、演出のわかぎ、出演者の三津谷亮、中尾隆聖に話を聞いた。
 

<あらすじ >
昭和40年代の東京
文化人類学の教授である城戸崎裕介(中尾隆聖)は妻・志穂(山像かおり)娘・裕子(磯部莉菜子)そしてお手伝いの寺井昌子(松岡美佳)と平穏な日々を送っていた。志穂の従姉弟の西岡高志(満田伸明)とその妻・桐子(朱夏かほ里)が裕子に持ってきた有本春生(玉木惣一郎)との見合い話にもまあまあ乗り気な城戸崎夫婦だった。
そこに心中騒ぎを起こした作家、大門基彦(八代進一)が訪ねてくる――「紹介したい男がいる」と。やってきたのは坂幹人(三津谷亮)。そしてまた、導かれるようにやってくる一人の女――澤野麻巳(奥山美代子)。
一つ屋根の下に集う者たちの糸が、少しずつ少しずつ絡まり出す……。

 

■絶対にこの作品を同じメンバーでやりたいという気持ちがあった

――まずは、2年越しで今作を上演できる今のお気持ちからお聞かせください。

山像:コロナ禍も2年以上になってくると、公演中止や延期になってしまった舞台は数えきれないほどありますけれども、2年前の3月末頃はまだそんなに中止になっている舞台は多くなかったので、こういう形で舞台が中止になるのは演劇人生で初めてのことでした。ちょうど今作の台本が出演者の皆さんのお手元に届いたくらいのタイミングだったのに、いろいろ準備してきたことがゼロになるんだ、と思ったら悔しかったですね。

奥山:公演を中止するというような大きい決断をするのも、西瓜糖で主宰をやっているからこそだな、と実感します。文学座で役者だけをやっているときには、制作やスタッフがどういうことをしてくれているのかということが、本当のところまではちゃんとわかっていなかったんですね。西瓜糖で自分でいろいろやるようになって、皆さんがそれぞれにいろんなことをしてくださっているんだ、というありがたい思いでいっぱいです。

山像:絶対にこの作品を同じメンバーでやりたい、という気持ちがあったので、2年後ならば皆さんのスケジュールを押さえられるだろうし、その頃にはコロナも終息してるんじゃないかなと思ってこの時期にずらすことを決めました。残念ながらコロナはまだまだ終わりが見えていませんが、何とか公演はやらせてもらえる状況かな、という感じですね。

西瓜糖第9回公演『刺繍』 山像かおり

西瓜糖第9回公演『刺繍』 山像かおり

 

――わかぎさんは今作が西瓜糖初参加となります。2年前に中止になったときはどのようなお気持ちでしたか。

わかぎ:私自身、2年前の4月上旬にザ・スズナリで脚本演出を担当した『サヨウナラバ』という公演をやる予定だったのが飛んでしまって、その芝居もやはり2年越しで今年の2月になんとかやることができました。だから、がっちゃん(山像の愛称)から2年前に公演中止の連絡をもらったときは「お前らもか」みたいな気持ちになりましたね。団体を主宰をする人間は、小さかろうともこの船を自分で漕がなきゃいけなくて、中止にするとか延期にするとかの決断を迫られているケースがあちこち散乱していたときでした。

――今年7月には椿組でわかぎさんの作・演出作品が上演されましたが、1日のみで残りの公演はすべて中止となってしまいました。

わかぎ:2年経っても未だにこんな状況で、変な話ですけど、公演を中止にしたり延期にしたりという作業には慣れましたよね。図太くなったといいますか、でも慣れちゃいけない部分というのもあると思うんですよ。お客さんが完全に戻ってきているわけじゃないですし、慣らそうとする世の中と戦いながらどこまでたどり着けるかという感じになってきているのかなと思いますね。作り手としては非常に厳しくて難しい状況で、正直怖いですよ。
 

■小劇場は世界的には一番尊敬されている演劇

――中尾さんはご自身でドラマティック・カンパニーという劇団を関俊彦さんと主宰されています。

中尾:なかなか外の舞台から誘っていただくこともない中で、西瓜糖は私も何度か見させてもらって「面白いな」と思っていたし、私たちの仲間の中でも非常に評判が高くて、そんなところから声をかけていただけたことがとっても幸せです。

山像:中尾さんが西瓜糖を見て「面白かった」と言ってくださったから、すぐに「出ませんか?」って誘ったんです。ドラマティック・カンパニーでは、秋之脚本を上演していただいたこともあるんですよ。

中尾:2018年に『Amore Me Too!!』という作品を書いていただきました。水戸黄門のミュージカルという、とっても楽しいお芝居でしたよ。

――ドラマティック・カンパニーは今年30周年という節目で解散されるとうかがいました。

中尾:私たちが劇団を始めたころは「なんで声優さんが舞台やるの?」と言われた時代だったので、なにくそと思いながらこの30年芝居を作ってきました。

わかぎ:小劇場って一番近くで見られる芝居だから、世界的には一番尊敬されている演劇で、俳優が最終的にたどり着くのは小劇場、って言われているんですよ。でも、日本では大劇場とか映像へのステップアップの場みたいに思われているじゃないですか。それはおかしいぞ、ということをもっと知ってもらいたいですね。

中尾:劇団は自分で始めたものなので、投げ出さずに自分できっちりと終わらせたいな、と思って解散を決めました。本当は60歳のときに声の仕事も辞めるつもりだったんですけど、それがなかなかそうもいかずに10年以上延びてしまいましたね。ぼちぼち劇団は一区切りとして、あとは新しいことといいますか、好きな人たちと好きな芝居はやっていきたいなと思っています。今回の舞台は2年越しなので、とても楽しみに待っていました。

西瓜糖第9回公演『刺繍』 中尾隆聖

西瓜糖第9回公演『刺繍』 中尾隆聖

――10年以上前に声のお仕事を辞めるつもりだったということに驚きました。

中尾:よく声の仕事で「死ぬまで現役ですよね?」と質問されますけど、僕は内心「冗談じゃねぇや」って思っています(笑)。もちろん、死ぬまで現役でやれることは素晴らしいことだと思いますが、声の仕事も芝居もそうですけど、ダメだということを誰も言ってくれないんですよ。だから自分でダメだということを判断しなければ、という思いもあります。

――三津谷さんは西瓜糖には2回目のご出演です。

三津谷:前回『レバア』に出演した後、「西瓜糖にもう一回出たい!」と思って「出させてください!」って自分から直訴したんですよ。それで『刺繍』に出演させてもらえることになって喜んでいたところに、コロナで公演が中止になってしまいました。中止にするという決断は作品のためでもあり、カンパニーのためでもあるんだと理解して納得しましたが、役者としてはぶっちゃけ、舞台が飛んでしまったら無職じゃないですか(笑)。どうしよう、みたいな気持ちはありましたけど、2年後には上演できたらいいなという思いと、2年後にまた共演して良かったなと思ってもらえるようにしたいなと思いつつ、気づいたら2年経っていたという感じです。

山像:あれからいっぱい舞台出てたよね。

三津谷:そうなんですよ。ありがたいことに舞台のお仕事が続きまして、しかも稽古に入ってから千穐楽を迎えるまで中止になった公演がなくここまで来られたんですよ。だから今回も大丈夫じゃないかなと思っています。僕がこの座組で出来ることは、アマビエとして存在することかな、と(笑)。

――9月5日まではオフィスコットーネプロデュース『加担者』にご出演されていました。

三津谷:本当に難しい戯曲でしたが、挑戦出来てよかったです。デュレンマットの書く言葉の裏にある言いたいことを読み取るまでに時間がかかったんですけど、そのおかげで台本の読み方が変わったというか、ト書きだったりセリフだけじゃなくて、その裏を読む作業をやった方が楽しいと思えたんです。もしかしたら2年前に『刺繍』をやっていたら、書かれている言葉のもっと深いところに気づけないままやってしまっていたかもしれないなと思うと、今となってはこの2年があってよかったなと思っています。
 

■『刺繍』と『桜文』は同時期に書いた作品

――お稽古が始まったばかりではありますが、読み合わせの様子などいかがでしたか。

わかぎ:みんな思い入れが強すぎて、自分のセリフをすごいスピードでしゃべるんですよ。このセリフを言いたかったんだろうな、っていうのが伝わってきました。

山像:でもその感じが嬉しかったですね。みんな2年間温めて待ってくれていたのかな、という感じがして、ちょっと感動しました。

――現在PARCO劇場で秋之桜子脚本の『桜文』が上演中ですが、山像さんがツイッターで「『刺繍』が書けたから『桜文』が書けたのかもしれない」ということを書かれていました。

山像:ちょうど2年前に同時期に書いていたんですよ。全然テイストは違うんですけど、セリフがかぶっているところもあったりします。せっかくだから『桜文』を見てくださったお客様に『刺繍』も見に来ていただきたいですね。主演の久保史緒里さんのファンの中には『桜文』で初めて舞台を見たという方もいらして……。 久保さんのファンの方たちってすごくしっかり舞台を見てくださっているので、これを機にぜひ小劇場の芝居も見て欲しいなと思います。三津谷くんのファンの方の中にも、『レバア』を見てから西瓜糖を見に来てくれるようになった方たちもいらっしゃるし、そういうきっかけを作っていろんな方に見ていただけたらなと思っています。

ーーわかぎさんは今回は演出のみですが、劇作家として満州を題材に描いた作品や、明治〜昭和初期を舞台にした作品を多く書かれています。描く時代に秋之作品との共通点を感じるのですが、そのあたりはどのように感じていらっしゃいますか。

わかぎ:『桜文』を見た俳優から「秋之さんという作家さんはふっこさん(わかぎの愛称)のお弟子さんですか?」って連絡が来たんですよ。私は父親が明治生まれで、母親が大正生まれで、家の中にゴロゴロと戦前の事実が転がっていて、芝居を書くようになってからそういう話も絡んできたという感じです。私は物書きになりたいと思ってなったわけじゃなくて、もともとは漫画家志望で、グラフィックデザイナーとして就職もしているし、なんで今劇作家やってるんだ、って感じです。演出家になるつもりもなかったし。

――わかぎさんが演劇を始めたのは中島らもさんと旗揚げされた劇団、リリパットアーミーからですよね。

わかぎ:うちの劇団は漫画家とかミュージシャンとかいろんな人がごちゃごちゃに集まっていたんです。そうしたら升毅が「役者だけで何か面白いことしようよ」って言い出したので「いいよ」と同意したら「じゃあ何か書いて」と言われて「え、私が?」って感じで、死ぬほどセリフがある芝居を書いたんですよ。それが1989年に初演した『一郎ちゃんがいく。』というお芝居で、初めて書いた戯曲でした。私は、別に芝居でなくても、面白かったら何でもいいんです。だから歌舞伎の演出もするし、狂言も書くし。

西瓜糖第9回公演『刺繍』 わかぎゑふ

西瓜糖第9回公演『刺繍』 わかぎゑふ

 

■この作品の裏テーマは「嫉妬」

――それぞれの演じる役についておうかがいしたいのですが、まずは中尾さんから。

中尾:文化人類学の教授・城戸崎です。いつもどちらかというとコメディばかりですし、声の方でもあまり人間の役をやらないものですから(笑)、こんないい役をいただいちゃいますと緊張しちゃいますね。

――城戸崎教授と、山像さん演じるその妻・志穂と、一人娘の裕子とお手伝いさんの昌子の4人で暮らしている家に、三津谷さん演じる青年・坂(ばん) が居候にやってくるんですよね。

三津谷:僕は青森出身なんですけど、これまでがっつり津軽弁の芝居というものをやったことがなかったんですよ。

山像:三津谷くんが津軽弁のセリフをしゃべれるシチュエーションを作りたい、っていうのがこの本の始まりで、そこからいろいろ考えて膨らんできた、という感じです。でも、セリフを間違えても三津谷くん以外誰もわからないっていう(笑)。

三津谷:そうそう、確かに(笑)。自分で自分にダメを出すしかないんですよ。

わかぎ:「すみません、セリフ間違えました」って言われても「どこが?」ってなるよね。

奥山:津軽弁のところは台本の文字を追うのが大変です。

山像:最初の本読みの時、三津谷くんも追えてなかったよね(笑)。

わかぎ:大阪弁もそうだけど、セリフは標準語で書いといてもらって、自分の頭の中で変換した方がしゃべりやすいと思う。

三津谷:確かに!

わかぎ:でも今の話聞いて改めて思ったけど、私とがっちゃんは全然書き方が違う。津軽弁しゃべる子を出したいから、っていう作り方は私はしないから。升さんに『一郎ちゃん〜』を書いたぐらいで、あて書きも基本しないし。

山像:私は初めて脚本を書いたとき(2005年上演の羽衣1011『すみれの花、サカセテ』)があて書きだったので……二人芝居だったうえに一人は自分自身にあて書きをしたんですよ(笑)。それからずっと、基本的にあて書きですね。だから逆に『桜文』は珍しく物語から書いて、キャスティングが決まってから脚本に手を入れる、という形でした。ただ、私は演出はしないので、いつもみんなから「これ映像の台本やん」って言われるくらい、今回も場数がものすごく多いんです(笑)。書いているときは、これが舞台化されたらどうなるかということを全く考えてないんですよ。だから、例えば……『桜文』もそうなんですけど、『刺繍』も大変な早変わりが巻き起こるんですね。今作で被害に遭っているのが中尾さんと私です。

奥山:書いた本人は自業自得というか(笑)、自分で書いたんだからしょうがないよね、って思いますけど、中尾さんには本当に申し訳なくて。

西瓜糖第9回公演『刺繍』 奥山美代子

西瓜糖第9回公演『刺繍』 奥山美代子

――奥山さん演じる澤野はどのような役なのでしょうか。

山像:澤野はいいところのお嬢さんで、志穂の従弟の嫁の桐子が憧れていた先輩だったけど、今は落ちぶれてしまって、それを桐子が「落ちぶれてるやん、めっちゃおもろい!」ってなって、城戸崎家に新しいお手伝いさんとして連れて来るんですね。そうしたら澤野と坂は同郷だということがわかるんです。

奥山:ザッツ西瓜糖テイストですね(笑)。

山像:「先輩かわいそうです〜!」って言いながら、女中にどう?って連れて来るっていう。

わかぎ:がっちゃんの本は良くも悪くも、どうとでも取れる人がいっぱい出てくるんですよ。善い人なんていなくて、でも人間ってそんなもんじゃないですか。役者の作り方によって悪人にもできるし、善人にもできるし、もっと面白くもできるし、っていう感じでふわふわしているんです。だから、誰も悪くないけど善い人もいない、みたいなところでふわっと話が進んでいくから、「生きてる人間」がいっぱい出てくるという感じです。

山像:演出家によっても全然違う芝居になるんだろうな、と思います。

わかぎ:そういう本や、あんたの本は。

山像:だから毎回いろんな演出家とやれて、面白いですね。

わかぎ:この作品の裏テーマは「嫉妬」なんですよ。タイトルの『刺繍』って書いてあるところをあぶり出したら「嫉妬」って出てくるからね(笑)。人間が日常的に持っているちょっとした嫉妬心ってあるじゃないですか、それが原因でいろんなことになるっていう。

山像:そう、『桜文』も嫉妬だし、この作品も「嫉妬」なんですよね。目線一つで、そこで誰を見ているのかというのだけでも話がころりと変わりそうな気もします。

わかぎ:あんまり決着をつけないところが西瓜糖のとっても楽しいところで、作りがいがあって面白いなと思っています。
 

■針をどのように通していくのかが観客に委ねられている作品

西瓜糖第9回公演『刺繍』 三津谷亮

西瓜糖第9回公演『刺繍』 三津谷亮

――三津谷さんは念願の津軽弁の役ということですね。

三津谷:今まではイベントとかで簡単な津軽弁講座みたいなのをやったりしていましたが、今回は演劇として見せられることで、津軽弁に触れたことがない人にはすごく新鮮に感じられるんじゃないかなと思っています。一回聞いただけじゃ何言ってるかわからなくてポカーンとすると思うんですけど(笑)、津軽弁って結構慣れてくると聞き取れるようになるんですよ。だから多分、2度3度と見ると耳の感覚が変わってきて、芝居の見え方も変わってくるんじゃないかなと思うので、それも一緒に楽しんでもらえたらなと思っています。

――奥山さんも津軽弁のセリフがあるんですよね。

奥山:これから練習します。私は北海道出身ですが、北海道の言葉と似ているところもあるんですよ。

山像:津軽だけじゃなくて、京都とか大阪とか結構いろんなところの方言が飛び交うところも面白いと思います。

――中尾さんの役は標準語なんですよね。

山像:中尾さんは普段から渋くて色っぽい方だなぁと思っていたから、そういう中尾さんをお客さんにもぜひ堪能していただきたいです。

わかぎ:いやいや、私が演出するんだから、渋くて色っぽいだけじゃ終わらせませんよ? セリフ通りにお芝居してもらいますけど、絶対どこかでボケさせますからね。

中尾:楽しみです(笑)。

わかぎ:中尾さんが舞台上で一瞬バイキンマンの声になったらみんなびっくりするよな(笑)。

山像:それはお客さんざわつきますね(笑)。私自身、笑いがあるのが好きなんですよ。人って普段からこうやってただしゃべっているだけでも、なんでもないことが面白いじゃないですか。そういう面白さっていうのを、わかぎさんはきっと出してくださると思うので楽しみにしています。

わかぎ:あくまで真面目にやってるんですよ。大真面目にやったら人間っておもろいやろ、っていうことですよ。

――今までの西瓜糖ともまたちょっと違うテイストになりそうな予感がしますね。

山像:なりそうです! そういう意味では今回のが一番ふわふわしてるのかもしれない。

三津谷:これまでの西瓜糖は、毎回最後にどんよりするものが来たんですよ。でも今回は、続きは見た人たちが想像できる余白があって、すごく安心しました。ハッピーエンドにもできるし、そうじゃない方にもできるしっていう、未完成な部分は本当にタイトルの通り、針をこれからどのように自分たちで通していくのかが見た人たちに委ねられている作品だなと思いました。

わかぎ:おっ、まとめたね。でもわからんで。本というものはレシピやからな。演出家がどう料理するかで変わるからな。

三津谷:ええ、もしかしてやっぱりどんよりした方向に……? 怖いなぁ。

山像:どんなラストになるかは、ぜひ劇場で確かめていただくということで(笑)。

西瓜糖第9回公演『刺繍』 写真左から中尾隆聖、山像かおり、奥山美代子、三津谷亮、わかぎゑふ

西瓜糖第9回公演『刺繍』 写真左から中尾隆聖、山像かおり、奥山美代子、三津谷亮、わかぎゑふ

取材・文・撮影=久田絢子