吉田鋼太郎演出&出演、阿部寛主演の舞台、彩の国シェイクスピア・シリーズ『ヘンリー八世』が2022年9月16日(金)埼玉・彩の国さいたま芸術劇場大ホールにて初日を迎えた。

ヘンリー八世:阿部 寛 撮影:渡部孝弘

ヘンリー八世:阿部 寛 撮影:渡部孝弘

ヘンリー八世:阿部 寛、 トマス・クランマー:金子大地 撮影:渡部孝弘

ヘンリー八世:阿部 寛、 トマス・クランマー:金子大地 撮影:渡部孝弘

2020年2月、シリーズ第35弾として上演された『ヘンリー八世』は、世界的な大流行となった新型コロナウィルス感染症の感染拡大の余波を受け、終盤の公演が中止となった。2年半の時を経て、再演を誓ったキャスト・スタッフがふたたび集結した。

枢機卿ウルジ―:吉田鋼太郎 撮影:渡部孝弘

枢機卿ウルジ―:吉田鋼太郎 撮影:渡部孝弘

左から)アン・ブリン:山谷花純、 ヘンリー八世:阿部 寛 撮影:渡部孝弘

左から)アン・ブリン:山谷花純、 ヘンリー八世:阿部 寛 撮影:渡部孝弘

本作では、華やかな英国王宮を舞台に王をめぐるスキャンダルとその裏に交錯する欲望と謀略、熾烈な地位争いが描かれる。
初演を踏まえ、ただの再演ではなく深化した新たな『ヘンリー八世』。演出の吉田は繊細に深く人間関係を描き、濃密な人間ドラマに磨きをかける。「相手の台詞を受けて返す」という芝居の基本を改めて見直し、キャラクターの個性が際立つ新たな表現に挑んだ。歴史劇ながら現代社会にも読み替えられる人間模様は見応え満載だ。

枢機卿ウルジ―:吉田鋼太郎、 キャサリン:宮本裕子 撮影:渡部孝弘

枢機卿ウルジ―:吉田鋼太郎、 キャサリン:宮本裕子 撮影:渡部孝弘

左から)ヘンリー八世:阿部 寛、 枢機卿ウルジ―:吉田鋼太郎 撮影:渡部孝弘

左から)ヘンリー八世:阿部 寛、 枢機卿ウルジ―:吉田鋼太郎 撮影:渡部孝弘

初演時の客席をふんだんに使った演出は感染対策の一環として変更せざるをえなくなったが、舞台の上を巧みに使い観客を物語へ誘う。特に物語の終盤の演出は圧巻だ。演出だけでなくセットや音楽、振付など随所に新たな変更が見られる。

「英国王室史上、 最もスキャンダラスな王」といわれるヘンリー八世を演じる阿部。 圧倒的な存在感で最強の王として君臨する。今回は厳しく鋭い眼差しの最強かつ最凶の王の姿と、一方で苦悩や孤独も抱く姿を、力強く綿密に演じる。
目覚ましい活躍をみせる金子大地が演じるのは王の信頼厚き大司教トマス・クランマー。初演が初舞台だった金子が、聖職者として人々に語りかける言葉を一言一言丁寧にまっすぐ伝える。期せずしてチャールズ3世国王の議会演説やロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのエリザベス2世への追悼文でも引用されたクランマーの台詞は今の時代だからこそより観る者の心に響く。

左から)枢機卿ウルジー:吉田鋼太郎、 キャサリン:宮本裕子 撮影:渡部孝弘

左から)枢機卿ウルジー:吉田鋼太郎、 キャサリン:宮本裕子 撮影:渡部孝弘

左から)トマス・クランマー:金子大地、 ヘンリー八世:阿部 寛、 アン・ブリン:山谷花純 撮影:渡部孝弘

左から)トマス・クランマー:金子大地、 ヘンリー八世:阿部 寛、 アン・ブリン:山谷花純 撮影:渡部孝弘

そして宮本裕子、山谷花純、谷田歩、河内大和など個性豊かな実力派キャストが作品に彩りを添え、深く緊迫した人間関係と思わず笑ってしまうシーンなど芝居に緩急をつけ、より作品を楽しませる。

上演時間は1幕85分、休憩15分、2幕85分、約3時間5分(15分間の休憩を含む)。
埼玉公演は埼玉・彩の国さいたま芸術劇場にて9月25日(日)まで上演。その後10月6日(木)〜9日(日)愛知・刈谷市総合文化センター 大ホール、10月6日(木)〜9日(日)大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、10月14日(金)〜16日(日)北九州・北九州芸術劇場 大ホール、10月22日(土)〜24日(月)宮城・名取市文化会館にてツアー公演あり。

演出家・出演者コメント
■演出・枢機卿ウルジー:吉田鋼太郎

無事に初日が開きました。 2年前に新型コロナウィルス感染症の感染拡大で中止になった『ヘンリー八世』。 2年半準備をして新しいものに生まれ変わっております。 前回よりも更にパワフルになり繊細になり深くなった阿部 寛ヘンリー王。 それに伴い周りを固める俳優たちも前回よりも重みと深さを増しております。 そして先日エリザベス二世女王が崩御されましたがこの芝居のラストシーンはエリザベス一世が誕生するところで終わりとなります。 そういうところも含めまして、 今観ると色々な考えや思い、 コロナ禍や戦争が起きている今の世の中に対しての皆様のいろいろな気持ちを反映する芝居になっているのではないかと思います。 いずれにせよ、 シェイクスピアはエンターテイメント。 どなたがご覧になっても大変楽しめる作品になっていると思います。 是非劇場にお越しください。

■ヘンリー八世:阿部 寛

2年半前に新型コロナウィルス感染症で中断になった思いも込めて、 さらに素晴らしいものにしようと鋼太郎さんを中心に全員でより深い稽古に励んできました。磨きのかかった『ヘンリー八世』をぜひ楽しみにしてください。

■トマス・クランマー:金子大地

初演は僕自身初舞台で鋼太郎さんに舞台という扉を開けていただいたとても大切な思い入れのある作品でだったので、 中止となってしまい、 忘れられない初舞台となりました。こうやってまた皆さんと集まって2年半越しにヘンリー八世が上演できることがすごく幸せです。 前回ご覧になった方もご覧になっていない方もグレードアップした『ヘンリー八世』を楽しんでいただきたいです。 期待して観にいらしてください。
 

あらすじ
舞台は16世紀の英国王宮。 ヘンリー八世 (阿部 寛) の寵愛を受け、 出世のために策略をめぐらす高慢な枢機卿ウルジーは王侯貴族たちの非難の的になっている。 ある晩、 ウルジーが催す晩餐会で王は王妃キャサリンに仕える女官アン・ブリンに心を奪われる。 王は王妃との結婚を無効にしようと離婚裁判を起こすが、 宗教や複雑な国際問題が絡み、 歴史的な問題へと展開していく