2023年7月21日(金)〜30日(日)下北沢・駅前劇場にて、劇団印象-indian elephant-が劇団創立20周年記念&第30回公演『犬と独裁者』を上演する。

本作は、ウクライナ生まれでロシア(語)の作家ミハイル・ブルガーコフと、ソ連の独裁者スターリンの関係を描いた作品。反革命であり、反体制の作家だったブルガーコフが、スターリンの粛清の嵐の中をなんとか生き延び、自分の作品を遺すために、スターリン評伝劇の執筆を承諾するところから物語は始まる。作家と独裁者、詩と革命、自由と服従といった、いくつもの要素を折り重ねながら、ブルガーコフとスターリンの関係に迫る。

この作品は、ミハイル・ブルガーコフがモスクワ芸術座からの依頼でソ連の独裁者・スターリンの評伝劇『バトゥーム』を書いていること、さらに、スターリン(本名:ヨシフ・ジュガシヴィリ)が、帝政ロシアの一地方だったグルジア(現ジョージア)出身であり、若かりし頃は、詩を書いていたという2つの史実をヒントに生まれたという。その詩が新聞に掲載されることもあったほど文才豊かな男が、どのように詩の道を捨て、革命家の道に進み、やがて、独裁者になっていったのかを、ブルガーコフの目を通して描く。

なお、7月22日(土)18:00、23日(日)18:00、26日(水)19:00にはアフタートークが決定。23(日)18:00の回には、千葉大学大学院准教授で『時空間を打破する――ミハイル・ブルガーコフ論』著者の大森雅子氏が登壇することが決定した。

作・演出 鈴木アツト コメント

革命時代のソ連を生き、小説『犬の心臓』、『巨匠とマルガリータ』を残した、劇作家・小説家のミハイル・ブルガーコフ(1891-1940)。彼と同時代を生きたソ連の独裁者スターリン(1878-1953)。ブルガーコフはその死の前年、モスクワ芸術座から依頼され、スターリンの評伝劇を書き上げた。しかし、直後、その戯曲は政府からの命令で上演禁止となる。そのエピソードを基に、この物語を構想した。
スターリンは、ロシア帝国で少数民族だったグルジア人の出であり、若かりし頃は、グルジア語で詩を書き、その詩がグルジアの新聞に掲載されたこともあった。そんな詩を愛する青年が、どうして独裁者に変わっていったのか?青年スターリンとブルガーコフを無理やりに繋げて、当時決して明るみに出ることはなかった革命家スターリンの第一歩を、ブルガーコフに覗かせてみたくなった。対象を愛せなければ、評伝劇は書けない。私がブルガーコフなら、スターリンを愛せただろうか?そんなことを考えながら、紡いだ物語である。