ネタ番組やコント番組が減少する一方、近年は日本テレビ「内村てらす」(木曜深夜1・29)、テレビ朝日「バクモン学園」(月曜深夜0・15)、TBS「有田ジェネレーション」(水曜深夜0・58)、テレビ東京「にちようチャップリン」(日曜後10・00)など、次世代芸人にスポットを当てる番組が増えてきた。フジテレビは8年に1度の若手芸人発掘番組「新しい波24」(月曜深夜0・25)を今年4月から放送。他局との差別化を図っている。開催中の「お台場みんなの夢大陸2017」で、11日に公開収録を兼ねたイベント(午前11時開演)を行うのも、その1つ。同局の北口富紀子プロデューサーに番組の立ち位置や若手芸人の動向について聞いた。

 「新しい波」シリーズは、お笑い界のビッグスターは8年ごとに誕生するという「お笑い8年周期説」に基づき、無名の若手芸人を次世代のスターへと導くことを目的に、1992年にスタート。92年に「新しい波」、2000年に「新しい波8」、08年に「新しい波16」を放送。「新しい波」はナインティナイン、極楽とんぼ、よゐこ、オアシズらを発掘し、「とぶくすり」「めちゃ×2モテたいッ!」、96年から続く「めちゃ×2イケてるッ!」(土曜後7・57)を生み出した。「新しい波8」はキングコング、ロバート、ドランクドラゴン、北陽、インパルスらを見い出し、「はねるのトびら」(01年4月〜12年9月)につながった。

 シリーズ第4弾となる「新しい波24」は昨年12月に特番をオンエア。総勢700組を超えるオーディションから全29組を選び抜き、今年4月からレギュラー放送。「新しい波」を機にブレークしたナインティナインの岡村隆史(47)が毎回ゲスト出演。後輩芸人を見守っている。若手芸人のネタと岡村を交えたトークが展開され、若手ディレクターが演出を担当。スタッフ育成も兼ねている。

 北口氏は98年入社。2年目からバラエティー畑を歩み続け、「ココリコミラクルタイプ」「ピカルの定理」などを担当。現在は「ネプリーグ」(月曜後7・00)プロデューサー。「新しい波」シリーズに携わるのは今回が初。「8年に1回しかない番組に名を連ねることができて、非常にうれしいです。フジテレビの社員全員が関われるわけじゃないので」と喜び。昨年12月の特番時、5年目と7年目の若手社員がスタッフに選ばれ、8年目の社員が「どうして僕たちにやらせてくれないんですか!」と憤っていたという。「新しい波」はそれほど、同局バラエティーの歴史に根付いてる。

 他局の若手芸人発掘番組と異なるのは、8年に1度の“希少性”。「『ここでスターを生み出すぞ』というスタッフの気持ちは圧倒的に強いと思います」。さらに年齢を29歳以下に限定。「例えば『40歳でおもしろい、おもしろいのに埋もれている人を探す』のとは、発掘の意味合いが異なります。『新しい波』は“これからの人”。『35歳なんですが、オーディションに行かせてください』などと事務所さんから大変多くの声を頂いたのですが、それをしてしまうと『新しい波』じゃなくなるので。あくまでも8年に1度、その世代の芸人さんに限定しています」。700組以上が参加したオーディションを6人のディレクターで手分けし、最終的に29組に絞り込んだ。

 北口氏が実感したのは、若手の充実ぶり。「本当におもしろい人が多く、実に多種多様。100組に絞るのも大変でした」。その証拠に、ダウンタウンらを輩出した「ABCお笑いグランプリ」の今年(第38回、7月8日)の決勝は、12組のうち、「新しい波24」のメンバーが3分の1(4組)を占めた。そして「売れ方が昔と全然、違います」と驚いた。

 好例が、ボケ担当・谷口理(24)とツッコミ担当・田中ショータイム(24)による芸歴2年目のコンビ「フースーヤ」。昨年12月の「新しい波24」特番がテレビ初出演。ポーズを決めながら「ナッシング・トゥー・マッチ(谷口)、オー・マイ・ゴッドファーザー降臨(田中)、ヨイショ!(2人)」などと意味不明の独創的なフレーズを連呼。鮮烈な印象を残し、SNSで一気に拡散した。

 北口氏が担当した「ピカルの定理」(10年10月〜13年9月)などは、渡辺直美(29)の「白鳥美麗物語」をはじめ、コントを作り込み、視聴者がキャラクターにハマった結果、演者の人気も上がった。しかし、今回のフースーヤは“一瞬”。「『新しい波24』が高視聴率で超話題というわけでもないんですが(笑い)、SNS時代にマッチングして、女子高生が『ナッシング・トゥー・マッチ…』をマネして動画を上げたり。一見、何の意味もないフレーズなんですが、この新感覚のネタはキャッチーで覚えやすく、視聴者の皆さんがご自身でやってみたくなる小気味よさがあります。番組としてもSNSはふんだんに使おうと思っていましたが、フースーヤの売れ方は予想以上。テレビ自体の露出は少ないのに若者の知名度はあるというまさに新しい世代の売れ方だと思います」。4月26日には日本テレビ「今夜くらべてみました」(水曜後9・00)にゲスト出演。「『新しい波24』のメンバーのうち、誰よりも早くゴールデンタイムの、しかも日テレさんの人気番組に呼ばれ、みんなでフースーヤがやってくれたねー、素晴らしいと拍手しました」とブレークを喜んだ。

 「お台場みんなの夢大陸2017」が始まった7月15日から毎日、番組メンバー4組がお笑いライブを開催。「夢大陸ライブが始まって3週間。毎日来てくださるファンの方もできて。1人でも多くの方に知ってもらえるよう、毎日ステージに立って汗を流す芸人さんたちの姿はとても美しいです」。11日には一堂に会する集大成的なイベントが行われる。これらは、ナインティナイン・岡村のアドバイスもあって実現した。

 北口氏によると、岡村は24年前に「新しい波」に出演も、自分たちに本当にニーズがあるのか、感触がつかめなかったという。その夏、フジテレビのイベントでライブを行った時、集まってくれたあまりに多くの観客を見て「震えたのが忘れられない」。今回の「新しい波24」のメンバーにも「自分たちのライブにこんなにお客さんが来てくれるんだ」と感激を味わってほしいという岡村の“親心”があった。11日のイベントには岡村も出演する。

 当初から放送期間は半年。9月の番組終了に向け、ラストスパートはメンバー同士のコラボレーションネタやメンバーの個性をさらに引き出すロケ企画などに重点。誰がスターへの道を歩み始めるのか。29組の奮闘に期待したい。