元タレント中居正広氏(52)の女性トラブルで対応が批判されたフジテレビの問題で、先月27日に取締役相談役を退任した日枝久氏の影響力が、同31日に公表された調査報告書で明らかになった。

 第三者委は、中居氏による、当時フジテレビの女子アナウンサーだった被害女性Aへの性暴力を認定した。報告書では、同社の社内風土や権力関係についてのヒアリング結果も記された。

 その一つが22年9月27日に執り行われた、安倍晋三元首相の国葬だった。当初、午前11時45分から特番を予定していたが、上層部から変更を求められたという。

 報告書では「放送の直前に元当社代表取締役社長・会長であった宮内氏及び元CX代表取締役社長・会長、元FMH代表取締役会長であった日枝氏など××階の役員らの意向により、放送時間が急遽2時間前倒しになった」(原文まま)と指摘。ヒアリング等で、こうした決定に日枝氏が直接、関与した事実は確認できなかったが、「CXのアナウンサーが国葬の司会を務めるなど報道の中立について疑義があるにもかかわらず、現場の意向を無視して、トップダウンにより放送時間の変更が行われ、編成権の侵害であった、などの意見がうかがわれた」とした。

 第三者委が役職員に対して行ったアンケート調査では、「日枝久氏がフジテレビグループの人事権を掌握しているという見方がありますが、そのように感じますか」との問いに、「感じる」と回答した人の割合は82%に上った。具体的には「役員が日枝氏の方ばかり見て行動している」「実力や素養に関係なく日枝氏に気に入られた人物が出世する」という回答が過半数だったとし、第三者委として「CXの局長以上の人事は全て日枝氏が決めているという話も複数回聞いた」とした。

 調査では、フジと親会社のフジ・メディア・ホールディングス(FMH)の会長、社長人事を決めていたのが日枝氏で、その下層人事は会長と社長が決めていたとした。それでも、「中には会長と社長が日枝氏にお伺いを立てている状況も見受けられた」という意見も紹介した。

 日枝氏は83年に取締役に就任。41年という異例の長期にわたり君臨し続けた。第三者委は「長年にわたる功績と経営中枢への関与から、現在でも当社の経営に強い影響力を及ぼしており、当社の組織風土の醸成に与えた影響も大きいといえる」と結論づけた。

 一方で、「セクハラを中心とするハラスメントに寛容な企業体質は、日枝氏だけでなく、当社の役職員全員の日々の言動から形成された」とも指摘。経営に対して「日枝氏の影響力さえ排除すればコーポレートガバナンスが機能するかのような見方には与しない」とし、「取締役会メンバー全員が、役員指名ガバナンスを含むコーポレートガバナンス機能の強化に使命感を持ち、不断の努力を続けていかない限り、当社のコーポレートガバナンス機能の強化は図れないものと考える」と厳しい見解を示した。