現代の日本に症状を持つ人が300万人もいると言われるADHDをテーマに、ドキュメンタリーとドラマをミックスさせて描いた映画「星より静かに」が21日から東京・新宿K’s cinemaほか全国で順次公開される。

 ADHDとは「注意欠如・多動症」という意味を持ち、年齢あるいは発達に比べて注意力が足りない、衝動的で落ち着きがないといった特性がある。55歳の時にADHDと診断された君塚匠監督(60)が「1人でも多くの人にこの症状を知ってもらい、生きやすい社会になってほしい」との思いから映画化を決意し、完成させたのが「星より静かに」だ。

 君塚監督自身の実体験をもとに描き出されるドラマ部分は、ADHDである夫(内浦純一)と支える妻(蜂丸明日香)、そしてADHDの特性を持ちながら仕事に取り組む息子(三嶋健太)と見守る母(渡辺真起子)の思いや葛藤が映し出され、当事者と支える家族の思いが丁寧に描かれる。

 ドキュメンタリー・パートでは監督自らカメラの前に立ち、街ゆく人々や、日頃から関わりのある人々、精神科医、薬剤師、講師を務める専門学校、さらには就労移行支援事業所を訪ね歩き、ADHDに対するさまざまな声に耳を傾けていく。

 公開を前に各界の著名人から多くコメントが届いている。

 ▼小川洋子さん(作家) この映画は、言葉の届かない場所でうずくまっている人に、糸電話を差し出してくれる。たとえ、面と向かって理解し合うことができないとしても、その糸さえ手にしていれば、星より静かな、言葉にならない無言で、誰かとつながっていられる。

 ▼黒木瞳(女優) 胸にトゲが刺さるようなドキュメントなのに、さわやかな気持ちになる作品でした。君塚監督の抜群のセンスゆえだと思います。映画『月』をご一緒してから数十年経ちました。今回の作品を通して、新たなる君塚監督に出会えたようで嬉しかったです。

 ▼梶浦由記さん(作曲家) 主観と客観と、さまざまな立場から『ADHD』を理解しようとする生の声が詰まっていて、自分自身の考え方、眼差しを改めて底から問われる時間でした。赤裸々で冷静な、素晴らしい作品だと思います。

 ▼滝藤賢一(俳優) この映画は小さな小さな一歩かもしれない。忙し過ぎる社会の中で埋もれてしまうかもしれない。だが、少なくとも僕はこの映画と出会ったことで、ほんの一部かもしれないがADHDのことを知ることができた。このことは僕にとって大きな一歩だし、ADHDと共に生きている方々が、今後の僕の人生において埋もれることはない。

 封切り初日の21日から22日、24日、25日、26日、27日と君塚監督と出演者らによる舞台あいさつも予定されている。