◇大相撲名古屋場所8日目(2017年7月16日)

 平幕・宇良が初の上位戦に挑み、横綱・白鵬に右からのすくい投げで敗れた。持ち味の低い姿勢で食い下がり見せ場をつくったが、組み止められて力尽きた。白鵬は8連勝で単独トップ。千代の富士の持つ史上2位の通算1045勝にあと1勝とした。1敗は千代翔馬を退けた大関・高安と、阿武咲に押し出されて初黒星を喫した平幕・碧山の2人となった。

 上位陣に休場者が続出したことにより実現した初めての横綱戦は、力いっぱい土俵に叩きつけられて終わった。初金星ならず。ちょんまげと、背中いっぱいについた砂、それに鼻血が宇良の完全燃焼を物語っていた。「バシッと受け止められて、宙を舞って頭から落ちた。(でも)思い切って相撲を取れました。もっと強くなりたいと思いました」。淡々とした口ぶりにも収穫を感じさせた。

 変幻自在の動きは百戦錬磨の横綱に「あんなタイプは初めて」と言わせる大善戦だった。立ち合い。これまで初顔に対して、かち上げや張り手など攻撃的な作戦が多かった白鵬が、この日は違った。右手を伸ばして宇良の動きを押さえながら、懐に入られないように左に動く。優勝38回を誇るレジェンドが攻めよりも守りを選んだ。

 足を狙った宇良の“タックル”が決まれば勝機もあったが、相手は白鵬。距離をとられて右を差されると万事休した。それでも、豪快なすくい投げを決めた横綱は「宇良を裏返しにした。柔らかさ(があった)。いいものがある」とギャグを交えて敗者の異能を認めた。

 八角理事長(元横綱・北勝海)も「宇良は想像以上の相撲を取った。ここまで楽しませてくれるのは大したものだ」と称賛。さらに「技のデパート」と称された元小結・舞の海を引き合いに「宇良は動くのが型。どういうことも器用にできる。舞の海は左を差すために、いろいろしていた」と新旧業師の違いを指摘。後半戦へ向け「上位戦でなくても楽しみ」とニュータイプの台頭を歓迎した。

 9日目も日馬富士との横綱戦。1メートル74、137キロの体に熱い視線が集まる。