◇パ・リーグ 楽天3―2ロッテ(2017年8月4日 Koboパーク宮城)

 ずぶ濡れのユニホームも気にせず、楽天・阿部は梨田監督と抱き合った。9回、同点とし、なおも2死一、二塁から右翼フェンスにワンバウンドで当たるサヨナラ打を放った。

 「物凄くうれしい。物凄いジュースをかけられてビチョビチョ。ハグして監督もビチョビチョです」。プロ初先発のロッテ・酒居に抑えられ、8回まで3安打で1点。1点を追う9回、代わった内を攻めて1死満塁から聖沢の中犠飛で追いつき、9回の遊撃守備から出場した阿部が打席に入った。内は6年前にプロ初安打を記録した相手で「何かある」と精神的に優位に立ち、フルカウントからスライダーを捉え、逆転サヨナラ勝ちに導いた。

 エースだった田中(現ヤンキース)らと同じ88年生まれでプロ7年目の28歳。内野は全て守れるユーティリティープレーヤーでムードメーカーでもある。お立ち台での第一声は客席から飛んだ「アベノミクス!」をおうむ返し。だだ滑りし「失敗しました」と笑わせたが、2年ぶり2度目の劇打で今季ワーストの4連敗を阻止した。

 この日、内野手の三好が左足甲骨折で出場選手登録抹消。松井裕、ペゲーロら離脱者が続くチーム状況はさらに悪化した。それでも梨田監督は64歳のバースデーを白星で飾り「誕生日にサヨナラ勝ちは初めて。夢のよう。忘れられない誕生日になった」と喜んだ。

 連敗脱出も苦しい状況は変わらない。「僕はそんなにチームを背負っていない。楽な気持ちでやっています」。阿部はそう言った後「チャンスはピンチです」と笑った。突き抜けて明るい伏兵の一打で、首位・ソフトバンクに1・5ゲーム差。5日も勝ち、ソフトバンクが西武に敗れれば「マイナス0・5ゲーム差」で再び首位に返り咲く。 (春川 英樹)