◇セ・リーグ 阪神5―4巨人(2017年8月9日 東京ドーム)

 激走、また激走だ。1点を追う9回1死一塁。阪神の福留は巨人の守護神・カミネロのスライダーを捉え、右中間へ打ち上げた。

 「少し詰まったけど、いいところに落ちてくれた」。同点打。さらに全力疾走で三塁に達した。40歳は膝に手をついて激しく息をしたが、続くロジャースが初球を左翼へ打ち上げると、タッチアップした。「スタートを切ったときに足がもつれた。びっくりしたよ」。必死に走った。最後はヘッドスライディングで捕手・宇佐見のタッチをかわし、左手でベースに触れた。

 VTRのようだった。一時逆転された7回は2死満塁からマギーの3点二塁打で一塁走者の陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)が勝ち越しの生還。左手でベースに触れ、リプレー検証で判定がセーフに覆った。「神の手返し」でつかんだ決勝点。それも三塁打にしたから犠飛で生還できた。激走の連続に、福留は「明日が心配」と笑った。

 初回と3回にも二塁打を放つなど3打数3安打2打点。2四球も含めて全5打席で出塁する活躍だった。巨人戦は今季、打率・345。敵地の東京ドームでは26打数13安打で5割と驚異的だ。7月末には休養のため4試合続けて先発を外れたが、8試合連続安打と再び調子を上げてきた。

 試合後、福留は笑みを浮かべつつ「これで疲れないやつはおらんやろ…」とつぶやいた。その思いが通じたのか、金本監督は「明日は、もう休ませようかなと。今日の走塁を見たらかわいそうになって」と、奮闘を笑いながら称えた。

 チーム最年長の執念が実り土壇場で試合をひっくり返した。首位の広島が中日に敗れたため優勝マジックが消滅し、わずか1日で自力優勝の可能性を復活させた。虎の意地。広島とのゲーム差はまだ8・5もあるが主将の福留は「全員諦めていない。前を向いてやっていく」とナインの思いを代弁した。 (巻木 周平)

 ▼阪神・伊藤隼(9回1死から代打で中前打を放ち、福留の三塁打で同点のホームを踏む)流れを変えたというか、孝介さん、さまさまでしょう。

 ▼阪神・ロジャース(9回に決勝の左犠飛)どんな形でも走者を還す。そういう意識だったよ。

 ≪13年ぶり≫福留(神)が5打席を3安打2四球の全打席出塁。ゲーム5出塁は4月1日広島戦の6打席2安打3四球以来、今季2度目。5打席以上で全打席出塁は中日時代の04年5月16日の横浜戦で、2本塁打を含む5打席5安打して以来13年ぶり。