故郷での人気は絶大だった。9日に東京都文京区のJFAハウスで、日本代表のハリルホジッチ監督は自身が生まれ育ったボスニア・ヘルツェゴビナ・モスタル市のスポーツアカデミー「マリモスト」に所属する子供たちの訪問を受けた。9〜14歳の男女10人は65歳の指揮官と対面して興奮気味。われ先に2ショット写真をせがむ姿が印象的だった。

 ハリルホジッチ監督は71年にFKヴェレジュ・モスタルでプロのキャリアをスタートした。ナントに所属した82〜83、84〜85年にはフランスリーグ得点王を獲得。76〜85年には旧ユーゴスラビア代表に選出され、82年W杯スペイン大会に出場した。輝かしいキャリアを誇るが、現役を引退した87年は30年前。アルジェリア代表を率いて14年W杯ブラジル大会で16強入りするなど監督としてのキャリアもあるとはいえ、小中学生にここまで人気があることに驚いた。

 ハリルホジッチ監督を故郷の英雄にした出来事がある。78年のU―21選手権、当時26歳だった指揮官はU―21旧ユーゴスラビア代表としてオーバーエージ枠で出場。6得点でチームを優勝に導き得点王、MVPのタイトルを獲得した。関係者によると、モスタル市では優勝から1週間は工場や学校などが休みになり、祝勝会に明け暮れたという。40年近く前の宴は伝説となっており、その中心にいたハリルホジッチ監督は現在も高い知名度を誇っている。

 指揮官は「子供たちが私のことを知っていることに驚きました。モスタルでは戦争も経験したが、忘れられない楽しい人生もありました」と感慨深げだった。侍ブルーを率いて6大会連続のW杯切符を獲得し、本大会で8強以上に進出すれば、日本でも英雄視されることは間違いない。モスタル、リールに続き、東京がハリルホジッチ監督の“第3の故郷”と思える地になることを願っている。(記者コラム・木本 新也)