◇第99回全国高校野球選手権第4日・1回戦 広陵10―6中京大中京(2017年8月11日 甲子園)

 一塁ベースを回りながら拳を突き上げた。0―2の6回1死。広陵・中村が右中間へソロ本塁打。5回まで三塁も踏めなかったが、中京大中京が先発・磯村から香村に継投した隙を逃さなかった。

 「何としても流れが欲しかった。今まで打った中で一番気持ち良かった」

 8回にも右翼ポール際に2ランで16安打の猛攻の火付け役となった。県大会準決勝から3戦連発となる高校通算39、40号は、自身初の右方向への2発。4回には中前打、7回にも左前打で4安打。広島大会は7月12日の初戦・崇徳戦で右手首に死球を受けた影響で計17打数3安打だったが1試合で上回った。「右手の使い方がうまくなったかな」と笑う息子を祈るように見つめていた母・啓子さん(44)はアルプススタンドで「うれしすぎて」と泣き崩れた。

 50メートル走6秒0を誇る足、捕球から二塁送球到達までのタイムは2秒を切ればプロでも合格とされる中、最速1・74秒を誇る。6回無死一塁のバント処理では素早い動きで矢のような二塁送球で封殺。7回には二盗も決めた。9回は相手の反撃で4万7000観衆が異様な空気となる中、左脚をつりながら投手を鼓舞した。

 中井監督からも「肩は(巨人の)小林より上」と話す高校No・1捕手。春は3度の優勝経験があるが、夏は野村(広島)小林(巨人)を擁した07年など3度決勝で屈している。「優勝しか目指していない。小林さんの代の借りを返したい」と中村は悲願成就を誓った。 (柳澤 元紀)

 ▼巨人・岡崎郁スカウト部長 反対方向へ2本打つのはなかなかできない。捕手ではNo・1の評価。(ドラフト1位の)12人までに入ると思う。

 ▼中日・中田宗男スカウト部長 これだけの肩とパワーを持っている捕手はなかなかいない。高校、大学、社会人を含めて一番の魅力がある。素材は一級品。(ドラフトで)1位クラス。

 ▼阪神・田中秀太スカウト 本塁打は5本くらい見ましたが、右方向への一発を初めて見ました。体が強いからこそ打てるのでしょう。

 ◆中村 奨成(なかむら・しょうせい)1999年(平11)6月6日、広島県廿日市市生まれの18歳。大野東小1年から軟式の大野友星で野球を始め、捕手。大野東中では大野シニアに所属。広陵では1年夏から背番号2でレギュラー。高校通算40本塁打。50メートル走6秒0で、遠投120メートル。侍ジャパン高校代表候補。1メートル81、78キロ。右投げ右打ち。

 ≪史上最多7度目対戦≫広陵が出場3大会ぶりに初戦を突破した。甲子園での中京大中京との対戦は10年春以来7度目となり史上最多。通算5勝2敗としたが、夏に限れば31年以来86年ぶり2度目で初勝利を挙げた。広陵はこれで夏30勝目、春夏合わせ通算67勝で早実を抜いて単独8位となった。なお、勝利数の歴代1位は中京大中京で133勝。