阿部がプロで磨いた「ツイスト打法」。この高等技術を身に付けたからこそ強打の捕手として活躍し、2000安打を達成できた。打つ瞬間に腰を逆方向にひねることで体を開かず、バットの芯で捉えることができる。習得した経緯を振り返る。

 ツイスト打法は入団時から取り組み、4年目の04年に実戦レベルに達した。阿部が「打席では意識してないけど、スロー再生を見て“できている”と思った」と振り返るように、4月に当時プロ野球タイ記録となった月間16本塁打を放った。

 打つ瞬間に腰を逆方向にひねる動きが、ツイストダンスに似ていることから呼ばれる。体の開きを抑えることで、バットを最短距離の内側から出せ、逆方向にも強い打球が打てる。内田打撃コーチ(現2軍監督)から「こんな練習法がある」と指導された。同コーチも現役時代にヤクルトで中西太ヘッドコーチから学んだ練習法だ。

 2種類のティー打撃。一つは「両足固定打ち」。体の前に壁をつくるイメージで体が前に突っ込むのを防ぐ。次に「軸足浮かせ打ち」。踏み出す右足は踏ん張りを利かせ、ミートの瞬間に軸足の左足を上げる。内田氏は「体を前に出さないようにということでツイストする」と説明する。

 この特殊な打ち方は体が泳がされたとき、顕著に効果を発揮する。今年3月31日、中日との開幕戦。大野のフォークに体勢を崩されたが、腰を逆にひねって球を呼び込み、最後は右手一本で右翼席に運んだ。飛距離が出たことに阿部は「腰の動きを逆にすると、ヘッドが走る。ヘッドが走る分、インパクトが強くなる」と解説した。

 入団時の監督だった長嶋茂雄氏は「二枚腰」と呼ぶ。難易度が高く、実戦で使いこなすのは容易ではない。1年目から正捕手になり、負担の多い新人に長嶋監督が「阿部はどうだ?疲れているんじゃない?」と心配するほど練習し、感覚を染み込ませた。17年目を迎えても確認作業は怠らない。打撃マシンを相手に体を開かず三塁方向へファウルを打つ。自身がアレンジした練習法だ。 (神田 佑)