【内田雅也編集委員の目】阪神で監督とオーナーが同時に退くのは1984年10月以来である。当時は安藤統男監督、田中隆造オーナー(電鉄本社会長)が辞任した。歴史は繰り返す。再び「お家騒動」のにおいがする。

 金本監督退任は表面上は辞任を装ったが、事実上の解任である。本人の意欲はもちろん球団も続投前提で組閣作業を進めていた。前夜(10日)、甲子園での最終戦後、揚塩健治球団社長が金本監督を呼び、辞任を迫ったのだ。監督はもちろん、2軍のいる宮崎でコーチ陣に新ポストを伝えていた谷本修球団本部長も相当に驚いた。

 揚塩社長は本社の命を受けていた。最下位が見えた今月初め、ヤジやSNSなどの悪評に耐えられず、解任にかじを切った。

 本社とは坂井信也オーナーではない。坂井氏は昨年3月で本社会長から相談役に退き、実権は藤原崇起本社会長(オーナー代行)、秦雅夫同社長が握るようになっていた。坂井氏退任が監督退任と同日だったのは偶然としたが、同じ力が働いていたとみている。

 動きは6月の阪急阪神ホールディングス(HD)株主総会でも見えていた。球団不成績への株主質問に角和夫議長(HD会長)が担当役員ではなく藤原氏を指名。藤原氏は「真剣に考えていかねばならない」と本腰を入れると約束していた。

 藤原氏はオーナーに昇格する。大阪府大出身で揚塩氏は後輩にあたる。球団をあざむく行動には揚塩氏も心を痛めたことだろう。宮仕えのつらさを思う。

 後任監督には矢野2軍監督昇格が念頭にある。当初、金本監督の下、ヘッド格で入閣予定で戸惑いはあろう。固辞となれば大混乱。受諾してもコーチ陣編成に補強など急ぎの問題は山積している。

 本社介入で球団内は分裂状態となった。目指す一枚岩にはほど遠い現状が悲しい。 (スポニチ大阪本社編集委員)