◇関西学生アメリカンフットボール1部秋季トーナメント1回戦 関学大55−13同大(2020年10月18日 王子スタジアム)

 トーナメントの1回戦2試合が神戸市の王子スタジアムであった。5年連続甲子園ボウル出場を狙う関学大はRB三宅昂輝(4年)のキックオフリターンTDなど8TDの猛攻。同大を55―13と下し、今季から指揮を執る大村和輝監督(49)の初陣を飾った。準決勝では、近大を接戦で下した神戸大と激突する。

 エースの独走が嵐も覚悟した“船出”の景色を変えた。大村新監督の初陣。サイドラインを支配した緊張感もキックオフ直後のビッグプレーでどこかに消えた。ボールをキャッチした三宅が自陣10ヤードから、右へ左へカットバックを切り敵陣深くへ突き進んでいく。20年シーズンの幕開けを告げる90ヤードキックオフリターンTD。険しかった指揮官の表情が少しだけ緩んだ。

 「出だしにあのプレーがあって、(試合に)楽に入れたので良かった」

 春季公式戦は全試合中止され、調整遅れの影響で練習試合もなし。一発勝負のトーナメント初戦が“実戦デビュー”になっても、タクトを振る手に落ち着きがあった。三宅とともに、QB奥野、WR糸川と実績のある選手がオフェンスを進めていく。第3Q以降は全ポジションで控え選手にターンオーバー。だからこそ、後半だけなら14―13の結果と内容に納得がいかない。

 「後半はしょぼかった。あんまり面白くないですね」

 28年間、名門を率いた鳥内前監督から受け継いだバトン。就任して最初の難題が新型コロナウイルス対策だった。自粛期間を経て、9月上旬に全体トレーニングを再開。現在も練習中に「クリーンタイム」と称した消毒時間を2度設け、感染防止に努める。

 スタンドにはTV解説のため来場した鳥内氏の姿も。「(解説で)何を言ってたか、後で聞いておきます」。冗談めかした時、ようやく口元が緩んだ。昨年リーグ戦で2点差勝利と苦しんだ神戸大とぶつかる準決勝。「後半が我々の実力。引き締めてやりたい」。前任者とタイプは違っても強いKGを体現する覚悟は変わらない。

 ◆大村 和輝(おおむら・かずき)1971年(昭46)6月22日生まれ、兵庫県明石市出身の49歳。関学中等部からアメフトを始め、OL、DL、TEでプレーした関学大では、2度の学生日本一に貢献。卒業後、リクルートに就職し、98年から東京海上ドルフィンズなどでコーチを経験。03年のハワイ大コーチ留学を経て、09年に関学大コーチ就任。10年から昨年までアシスタントヘッドコーチとして、鳥内秀晃前監督を支えた。日本代表コーチの経験もある。

 《辛口封印で称賛の嵐》昨年まで関学大アメフト部を率いた鳥内秀晃氏がテレビ解説のため来場。大村監督の初陣に高評価を与えた。「どうなるか気になってたよ。トーナメントで緊張したやろうし。大村は普段通り、やってくれた」。いつもの辛口?は鳴りを潜め、「キックオフリターンTD?三宅も良かったけど、ブロックも完璧やった」と称賛の言葉を並べていた。