◇セ・リーグ ヤクルト11−7広島(2021年4月8日 神宮)

 ヤクルトの奥川恭伸投手(19)が8日、広島戦に先発。5回10安打5失点ながら打線の援護に恵まれてプロ初勝利を挙げた。

 19年夏の甲子園で星稜のエースとして準優勝に輝き、高卒2年目、プロ3試合目の登板で念願の初勝利を挙げた奥川は、どんな少年だったのか。小学生時代に在籍した石川県の少年野球チーム「宇ノ気ブルーサンダー」の当時監督で、現在は代表を務める広瀬勝巳氏(55)が、現在も交流が続く右腕の素顔を本紙に語った。

試合はテレビで見てました。試合が終わってすぐに「初勝利おめでとう」とLINEしました。16日が20歳の誕生日なので「自分へのうれしい誕生日プレゼントになったんじゃないか」とも送りました。

 最初に会ったのは彼が3歳ぐらいの時。先に入団していたお兄ちゃんの練習についてきていました。ずっと1人で投げたり、走ったり。「そんなに投げたら肩を壊しちゃうよ」と冗談で言っていましたね。

 入団は2年生のとき。当時からスピードがあって制球力もあった。四球を出さない。これまで26年間で240人ぐらいに教えてきましたが、3年生時の86キロと6年生時の111キロは今もチームの学年記録です。彼が投げた試合は援護が1、2点あれば負けなかった。

 改善点を指摘すると、だいたい次の週までには確実に直してきた。家でお父さんと一生懸命努力しているんだろうなと。他の子も直してはくるけれど、すぐに戻ってしまう。彼は直したら戻ることはなかったです。

 あの子は本当にシャイで、よう泣くんですよ。悔しくて泣いたり、喜んで泣いたり。5年生のときに主将だったから6年生を送り出す卒団式で、代表で作文を書いてきた。でも、涙ぐんで読めない。優しい子なんです。自分が送られる立場になった6年生のときも泣いていました。

 昨年末に高校まで同じチームでバッテリーを組んだ山瀬(現巨人)と一緒に練習に顔を出してくれました。クリスマスの時期で、子供たちにサプライズでプレゼントをしたくてサインも書いてもらいました。子供たちも凄い喜んでくれて、本人たちも刺激を受けてくれたと思います。「今年は頑張るしかない」と言ってました。

 これからも勝利を積み重ねてほしい。オフにまた会えるのを楽しみにしています。(宇ノ気ブルーサンダー代表)

 ○…星稜の林和成監督(45)も奥川の初勝利を喜んだ。石川県内の自宅でテレビ観戦。初回に4失点も味方が直後に4点を奪って同点となる展開に「“負けられない”とスイッチが入ったと思う」と予想。「中断もあったり、鈴木(誠)選手に真っ向勝負でホームランを打たれたけれど三振も取った。先輩に助けてもらって、5イニングにいろんなことがあって、忘れられない1勝になったと思う」と感慨深げだった。