ネイマールは10月にFCバルセロナとの契約を2021年まで延長した。これは2013年に加入して以来初めての延長だった。契約延長のサインをし、抱擁を交わし去ったネイマール父子だったが、その時すでに何か不穏な空気があった。

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ブラジルを去り、バイエルン・ミュンヘンやレアル・マドリードのオファーを無視してバルサへ加入した第一の目的は、「すぐにNo.1の選手になる」ということだった。
元会長であるサンドロ・ロセイやダニエウ・アウベスは、ネイマールに何度も「今はメッシの下で学べ、お前の時代がもうすぐ来る」と言った。そして3年後、元会長ロセイもアウベスもバルサから去ってしまった。バルサでのよりどころを失ったネイマールは心に空白を抱えていた。

しかも、ルイス・スアレスの出現で、バルサでの2番目の立場も危うくなってきた。ネイマール父は代理人ワグネル・リベイロとコンタクトを取り、メッシのバルサから離脱する道を探した。おまけに、前監督ルイス・エンリケの片腕のファン・カルロス・ウンズエはネイマールに、「もしこの調子でいけば、ロナウジーニョの道を歩む」と告げたのだ。

25歳にしてネイマールは新たな道を歩むことになった。今後前進するために残された手段だ。変化を望むには、バルサから離れなくてはならない。そこで、ネイマールは父や代理人の言葉に耳を傾けるようになった。

例えば、ジョゼ・モウリーニョ率いるマンチェスター・ユナイテッドからネイマールは繰り返し電話を受けていた。ネイマールのトップになりたいという希望を叶えよう、バロンドールも夢ではない、とモウリーニョはネイマールの耳にささやいた。ユナイテッドはUEFAヨーロッパリーグを勝ち抜いたが、アメリカ人の会長は違約金2億2,200万ユーロ(約289億円)を支払いネイマールを獲得することを却下した。

バルサでネイマールが日々努力を惜しまなかったことは、誰も否定できないだろう。(最近のセメドへの八つ当たりは例外のケース)
しかし、人々はPSGがネイマールに成功への近道を用意したと批判している。
またマイナスだったのが、この時期に監督が代わったことであり、ネイマールを引き留めるだけの面識がなかったことだ。

新監督バルベルデと顔を最初に合わせた時には、もうすでにPSGとの契約はほぼ成立していた。もちろんネイマール離脱はバルベルデのせいではないが、例えばネイマールとフィーリングの合うホルヘ・サンパオリが監督になっていたとしたら、少しは躊躇したのではないだろうか。

父がお膳立てをしたPSGとの交渉は、クラブの圧倒的な財力と、カタール航空の意欲でスピーディに進んだ。2億2,200万ユーロ(約290億円)の移籍金に、さらに3,000万ユーロ(約39億円)を追加しなければならないと気付いた時に、PSGは熟考した。そしてネイマールも、プレシーズンマッチの遠征で仲間たちに囲まれ諭された際に心が動いたのは事実だ。
しかし、ネイマール父は既にPSGから報奨金の一部を受け取っていたために、心は痛まなかっただろう。

バルサはユナイテッドからのオファーには耳を閉ざしていたが、ネイマールとPSGの交渉がこれほど進んでいることを認識していなかった。ジョルディ・メストレやカルドネルといった幹部らの「(ネイマールは)200%バルサに残る」という発言は全く無知のものだった。

バルセロナは疑惑を全て否定し、その後真実の前に唖然とし、ネイマール離脱を避けるためにUEFAやリーガに協力を要請した。

クラブとしてのバルサは世界に無力な場面を見せつけてしまったのだ。高まるネイマール移籍の疑惑の中で、ネイマール側と早期にコンタクトを取ることもせず、バルサのスポンサーの1つであるカタール航空にも、PSGにも働きかけようとしなかった。バルサという偉大なクラブの名にあぐらをかいて、適切な対処をしなかったのだ。

重要な選手であるネイマールを失ったバルサは、弱い部分を露呈することになってしまった。だが、ネイマールがいかに優秀な選手だと言っても、タイトルは1人の選手で決まるものでは無い。ネイマールの後継者とも噂されたガブリエル・ジェズスが離脱したのは大変惜しいことだ。

今後どうするべきか?バルサは今、“時間”と“金”の問題を抱えている。2億2,200万ユーロの資金がありながら、移籍シーズンの終了が迫っている。ネイマールなき今、バルサは一刻も早く後任を獲得しなければならない。