7月16日、ニューバランス主催のもと、来日したセビージャFCの選手たちによるサッカークリニックがJグリーン堺(大阪)で行なわれた。翌日にセレッソ大阪との親善試合を控えるセビージャの選手たちは、セットプレーの確認やサッカーバレーなど、午前中に軽めの調整を終え、リラックスした表情でグラウンドをあとにした。

 そのうち、スペイン代表GKセルヒオ・リコとスペイン人DFセルヒオ・エスクデロの2人が残り、奈良の少年サッカーチーム、クレアールFCの指導役を買って出た。少年たちに「Hola!」とスペイン語で挨拶されると、2人はにこやかに応じ、ふた手に分かれて合計15名ほどの少年たちにスペイン流の指導が始まった。


笑顔でクリニックに参加したエスクデロ

「スペインの一流チームの指導を受けるという特別な機会を得られて、本当に光栄です」と、クレアールFCの監督を務める大木宏之氏は練習風景を見守りながら、そう話す。

「僕らには教えられない感覚的な部分を、子供たちに学んでもらいたいですね。教わるというよりも、感じたり、(プレーを)見て盗んだりしてほしい。セビージャの選手たちもきっと、そうして育ったはずですから。今日のうちの選手はちょっと緊張気味で、いつもより硬いですけどね(笑)」

 リコはシュート練習で少年GKの後ろに立ってポジショニングや体の向きを熱心に指導し、いいプレーには「ナイス!」「グッド!」と声をかける。キーパーグローブを外していたにもかかわらず、自らGK役を買って出て、子供たちのシュートをセーブ。さらには少年たちに、ただパスを受けてシュートを打つのではなく、シュートの前にDFとの1対1を挟むようにリクエストするなど、メニューも臨機応変にアレンジした。


GKのリコも、実演を交じえながら指導を行なった

 一方のエスクデロは、ロンドと呼ばれるボール回しゲームに加わった。少し動きが硬い子供たちの緊張を解きほぐそうと、積極的にスキンシップをはかったり、ちょっとしたプレーを大きな声で励ましたりするうちに、少年たちも徐々に声を出すようになる。

 周囲から「どんどん技を見せろよー! セビージャのトップチームの選手をかわしたら、たいしたもんだぞ」と声をかけられたことで少年たちもその気になり、フェイントを仕掛けていったが、逆にエスクデロのシザーズに翻弄されるシーンも。その後、全員でミニゲームをし、記念撮影とプレゼント交換、握手と挨拶をしてクリニックは終了した。

「少年たちはすごく真剣にトレーニングをしていたね。日本人らしく、態度は真面目で、情熱を持って取り組んでいたと思う。プロの僕たちから何かを学び取ろうとしていたのがわかったよ」とリコが振り返れば、「(最後のゲームでは)本当にインテンシティーが高くてビックリしたよ。僕らを相手に何かしてやろうという気持ちが見えたね。日本の子供たちと触れ合えて、とても有意義な時間だった。僕らもすごく楽しんだよ」とエスクデロも満足そうに語った。

 今回のサッカークリニックを実現させ、練習中には子供たちを大声で励ましていたニューバランスの酒井崇光氏はこの企画の趣旨を次のように説明する。

「ニューバランスがサポートさせていただいているセビージャFCが来日することになり、滞在中にニューバランスフットボールファミリーとしての交流の場を設けたいと考えていました。開催が可能となってからあまり時間がなく、スケジュールを合わせるのが難しかったのですが、クレアールFCさんが快く引き受けてくれました。

 しっかりサッカーができる子供たちを呼びたかったので、すごくよかったです。スペインのトップレベルを肌で感じた子供たちにとって、非常に意義のあるものになったのではないかと思います」


クリニックで貴重な経験を得た、クレアールFCの子供たち

 リーガのトップレベルの選手2人と同じピッチでボールを追った子供たちも、興奮気味に夢の時間を振り返った。記念撮影でセビージャのチャントをひときわ大きな声で歌っていた背番号8の少年は次のように話す。

「僕も将来、プロのサッカー選手になってスペインで活躍したいと思っているので、実際にそこでやっている選手と一緒にプレーできて、すごく嬉しかったです。(ミニゲームでは)僕らチームメイトにわかりやすく指示を出してくれました。僕が言われたのは、『いったんボールをもらいに下がって受けて、前を向いたら勝負するように』ということ。自信を持ってやれば絶対にイケると言ってくれたので、めっちゃ嬉しかったです」

 昨シーズンは清武弘嗣が加入したことで、日本人からの認知度を高めたセビージャ。現在、チームに日本人選手はいないが、今回の来日でまたファンを増やして、リーガ・エスパニョーラ新シーズンの戦いに挑む。