昨年のリオデジャネイロ五輪ではデュエット、チームともに銅メダルを獲得してメダル奪還に成功したシンクロナイズドスイミング日本チーム。そのときのメンバーから3人が抜け、20年東京五輪へ向けた新たなチームで戦った世界水泳選手権は厳しい結果となった。

 最初の種目だったソロテクニカルルーティーンで予選を3位で通過しながら、決勝ではウクライナのアンナ・ボロシナに競り負けて4位だった乾友紀子は、中村麻衣と組んだデュエットのテクニカルルーティーンでもウクライナに予選よりも得点を広げられて4位。それでもチームテクニカルルーティーンは予選でウクライナに0.2567点差で3位になると、決勝では点差を広げて銅メダルを獲得と一矢を報いた。

 だが、テクニカルルーティーンとフリーでそれぞれメダルを争う世界選手権とは違い、五輪は2種目の合計で戦う。2020年の東京を睨めば五輪種目のデュエットとチームは、フリーでもしっかり結果を出さなくてはいけない。その第1弾であるデュエットフリーは、中村に代わり、中牧佳南が乾と組む、日本期待のペアの挑戦だった。

 予選ではロシア、中国、ウクライナに次ぐ4位ながら、ライバルのウクライナには0.2333点差。井村雅代ヘッドコーチが「細かいミスがあった」というものの、逆転可能な範囲につけた。しかし、19日の決勝では長い手足と柔軟性を生かしたしなやかな演技で得点を伸ばしたウクライナに対し、日本は、0.1334点及ばず4位と逆転することができなかった。

 乾は「井村コーチには、よく泳いだと言われましたが、結果がついてこなかったので……」と唇を噛み、中牧も「テクニカルで(中村)麻衣さんがいい演技をしてくれていたので、昨日の夜は、いい演技をしてメダルにつながるようにしようと話していた。それができなかったのが悔しい」と涙を流した。さらに井村ヘッドコーチは「ジャッジの採点基準が不明瞭だ」といいながらもこう演技を分析する

「予選の細かいミスも修正できたいい泳ぎだった。この2人はデュエットらしい、いいデュエットだからいい方向に行くと思うし、今の演技としては本当によくやったと思います。ただ、もう1カ月でも2カ月でも早くからこの2人でやっていれば、もうちょっと上のステージを目指すことができたというのも事実です。中牧も大会に入って成長したが、勝てなかったというのも事実なので、これからどうしていくべきかを考えなければいけない」

 そんな悔しさを晴らそうと臨んだのが、チームフリーだった。チームテクニカルルーティーンで獲得した銅メダルを、さらに実りのあるものにしなくてはいけないという思いもあった。だが、19日の予選ではウクライナがリフトを失敗したにも関わらず、0.4333点差をつけられる滑り出しとなった。

 そして21日の決勝では、予選で失敗したリフトを成功させただけでなく、独創性のある構成を多用して93.9333点まで得点を伸ばしたウクライナに対し、日本は勢いに乗り切れず93.1000点にとどまり4位と、メダルを逃す結果に終わった。

 乾は「今日は最後まで魂を込めて泳げたと思うので、力は出し切れた」と話したが、脚技などは演技の小ささが目立った。井村コーチも「リオを終わってから大型化をしないといけないと訴えているが、まだそれが進んでいない。今回はリフトもよくやったし高さも出していたので、あとは大きさだけだと思う」と、今後の課題を口にする。

 東京五輪へ向けての第一歩となる大会で日本チームは、テクニカルルーティーンかフリーのどちらかではメダルを獲るということを目標にしていたが、もうひとつ大きな目標として狙っていたのは、井村コーチが「メダルというより色」と話していた、ロシアが出場しないフリーコンビネーションでの金メダル獲得だった。フリーコンビネーションは五輪にはない種目だが、今季ルーティーンを一新した『マーメイド』は、それを実現できるまでになったという自負もあったからだ。しかし、22日に行なわれた決勝では、中国、ウクライナに次ぐ3位で銅メダル。ここでも、上位国の壁を破ることはできなかった。

 日本は9種目で銅メダル2は獲得したものの、力を出し切れなかった印象が残り、東京五輪に向けて課題を見つける大会となった。