松山英樹(25歳)にとって、メジャー通算20回の出場となった全英オープン(7月20日〜23日/イングランド、ロイヤルバークデール)。6月の全米オープンで2位タイという結果を残し、なおかつ世界ランキング2位という立場にあって、日本人選手初のメジャー制覇への期待はこれまで以上に膨らんでいた。

 迎えた初日、松山は2アンダー、12位タイとまずまずのスタートを切った。悪天候に見舞われた2日目も粘り強いプレーを見せて、ふたつスコアを落としたものの、トップと6打差の10位タイと踏ん張った。

“ムービングデー”となった3日目も、首位を快走するジョーダン・スピース(23歳/アメリカ)との差はわずかに広がったものの、松山自身、4つスコアを伸ばして順位は5位タイまで浮上。最終日は最終組からふたつ前という、十分に上位を狙える位置からのスタートとなった。

 メジャー2勝を誇るスピースと7打差。それを逆転することは、決して簡単なことではないが、「1日に四季がある」と言われるリンクスコースでは何が起こるかわからない。松山本人も、「天気次第ですが、(優勝へ)少しはチャンスがあると思っています。(最終日を迎えるにあたって)面白い位置かなと思うし、(明日は)すごく楽しみな1日になる。絶好調というわけではないけど、まあ、かみ合えば、というところですね」と、それなりに手応えは感じているようだった。

 ゆえに最終日、日本のファンの多くがわずかな奇跡を信じていたに違いない。全米オープン同様、最終日に猛チャージする松山の姿を誰もが期待していたはずだ。が、その”夢”はいきなり、1番ホールのティーショットで無残にも打ち砕かれてしまった。

 448ヤード、パー4。1番ティーグランドで悠然とアドレスに入った、普段と変わらぬ松山の姿を見て、その後に起こる”惨事”など誰も想像していなかったのでないか。しかし、松山が気持ちよく放ったボールは、現地のファンやメディアだけでなく、テレビ観戦していた多くのファンが自らの目を疑うほど、大きく右に曲がっていった。OBだった。

「いい感じで振ったつもりだったんですけど、球が曲がってしまった」

 ラウンド終了後、そう語った松山。結局、4打目もバンカーに入れてトリプルボギー。1番ホールを終えたところで、早くも優勝戦線から脱落してしまった。

 松山はその後、見た目には平静を装いながらも、内面ではショックを引きずっていたのだろう。ショットが乱れたまま、なかなかスコアを取り戻すことができなかった。そして通算2アンダー、14位タイで大会を終えた。

「ショット、アプローチはよくなかった。パッティングに助けられた。(パットは)グリーンの外からでもすごく距離感が合っていた。それを、次に生かしていきたい」

 4日間の戦いを振り返って、松山はまずそう話した。ともあれ、今大会の行方を決めたのは、最終日1番ホールのティーショット。その最大のフォーカスポイントについて、松山はこう語った。

「1番のティーショットは難しいですし、すごく気を使っていたんですけど、やっぱりうまくいかなかったですね。今日は練習場から(ショットの調子が)悪かったですし、とりあえず『フェアウェーに置いておこうかな』みたいな感じもあったんですけど、なかなか……。(ティーショットは)その後もうまく打てなかったですし、大変な1日になった。(ショットが悪かった原因は)昨日までとは、また別物です。

 1番のショットのあとは、うまく切り替えもできなかった。ボギーとか、ダブルボギーで収まっていたら、もう少し気持ち的に(前向きに)狙っていけたと思うんですけど、トリプルボギーでしたから……。それで、うまく切り替えられなかった感じはあります。

(かなり引きずっていたのか?)う〜ん……どうにかこうにか、とりあえず今日、早くパープレーまで戻したいなという気持ちがあった。それができなかったのは、自分のせい。自分の技術のなさです」

 周囲はもちろん、自らも期待して臨んだ今季メジャー第3戦。その分、ショックも大きかったのだろう、松山は今大会を総括して「残念な1週間だった」と憮然とした表情で言った。

 それでも、松山の挑戦はここで終わるわけではない。今季もまだ、メジャー第4戦の全米プロ選手権(8月10日〜13日/ノースカロライナ州)が控えている。

「(全米プロなど今後に向けて)ちょっとしたきっかけをつかめそうだったのが、(最終日のラウンドで)なくなってしまった。改めて(勝つために必要なことを)考えて、次に何をしなければいけないのか、(イチから)やっていかなければいけない。ただ、(今大会も)今の中のベストを尽くしたつもりなので、これをしっかりと次に生かしていけるようにしていきたい」

 優勝したスピースが松山を抜いて世界ランキング2位に浮上したが、松山も堂々の世界3位である。スピースをはじめ、世界のトッププレーヤーは口をそろえて言う。

「ヒデキはいつメジャーを勝ってもおかしくない」

 その日は必ず来る――今はそれを信じて待つだけだ。