萩野公介(ブリヂストン)が世界選手権初登場した男子200m個人メドレー。自由形出場を取りやめて、個人種目は個人メドレー2種目と200m背泳ぎだけに絞り、個人メドレー強化に集中する時間が増えた成果を示す泳ぎで銀メダルを獲得した。

 予選は体のキレのよさが目立つ泳ぎで、最初のバタフライで大きくリードすると、背泳ぎでもその差を広げる展開に持ち込んだ。平泳ぎではチェイス・カリシュ(アメリカ)の猛追を受けて逆転されたが、最後の自由形も余裕を持って泳いで0秒02先着し、全体1位の1分56秒46で準決勝進出を決めた。

 準決勝もバタフライは予選よりも速いタイムで泳ぐと、背泳ぎも28秒99で100mを折り返す。その後の平泳ぎと自由形も予選よりラップを上げて、1分56秒04でゴール。第1組で1分55秒88をマークしたカリシュには及ばない2位通過だったが、その表情に焦りは見えなかった。

「本当の勝負は明日(決勝)なので、実力をとっておかなくてはいけないという感じですね。まだ準決勝なのでそんなに集中していないですが、決勝になって集中すればもっとタイムも伸びると思います」という萩野は、個人の自由形に出場しなかったことに関しては、「まずは金メダルを1個獲るという方が大切だと思った」と、優勝するために種目を絞ったことを強調した。

 しかし、迎えた決勝での萩野の泳ぎは、準決勝までのような軽快さとキレがなくなっていた。

 最初のバタフライでは先行したものの、2番手につけたワン・シュン(中国)との差は、一緒に泳いだ準決勝よりも小さい0秒30。次の背泳ぎも29秒19かかり、平泳ぎでは追い上げてきたカリシュに逆転された。最後の自由形で追い上げをみせたが、カリシュに0秒45届かない1分56秒01で2位という結果になった。

「悔しいですね。予選や準決勝の方が楽に速く泳げていたのに、(決勝は)頑張った分遅くなってしまったのは非常にマイナスだと思います」

 前日の準決勝を泳いで警戒したのは、リオデジャネイロ五輪400m個人メドレー2位のカリシュが平泳ぎで見せる爆発的な速さだ。それに対抗するためには前半のバタフライと背泳ぎで、安全圏まで離しておかなければいけない。そのことを意識し過ぎたために動きが硬くなったのかもしれない、と萩野は決勝の泳ぎを振り返る。

「背泳ぎの29秒1も遅かったですね。準決勝は最後のフリーのことを考えて予選よりテンポを遅くしたけど、予選とタイムは変わらなかった。決勝は、予選、準決よりも前半を速く行きたかったので、そのフォームの感じのままで上げていこうと思ったのに、それがうまくいかなかった。結果的に予選と準決勝の方がいい泳ぎができていたので、本当にトータルの力が今はないということです」

 準決勝までの泳ぎの感覚はよく、決勝では最低でも自己ベストに少し足りないくらいでは泳げるだろうと思っていたという。カリシュのタイムも1分55秒56と予想範囲内。思っていた泳ぎができていれば優勝は可能だったはず。それだけに悔しさは大きい。

「1分56秒0は遅すぎますね、もっとタイムを出すための練習もしてきたのだから。今回は、優勝を取りにいくと思って取ることの難しさを感じました」と萩野は言う。

 一方、萩野とともにメダルを狙った瀬戸も、1分56秒97と準決勝よりタイムを落とす形で5位という結果に終わった。

「200mバタフライを2本泳いだ昨日より疲れは抜けていましたが、最後までうまく泳ぎ切ることができなかったと思います。3番手でターンした150mまではいい形でいけたとは思いますが、最後、隣のワン・シンとの競り合いになったときは、疲れてへばってしまいました」

 瀬戸もまたカリシュを意識し、前半を速くいこうとしていた。そこで頑張り過ぎたことで空回りし、本来の泳ぎを崩してしまった。

 この200mの結果を受け、瀬戸が3連覇を狙い、萩野も初優勝を目指す大会最終日の400m個人メドレーをみれば、平泳ぎという強力な武器を持つカリシュが優位に立ったといえるだろう。瀬戸は「今は絶対にチェイスが一番だと思うから、絶対に彼より速いラップで前半を入らなければいけないと思います。ただ、これまでだったら前半で5m差をつければ大丈夫だと思えていたのを、今回はもっとつけなければいけない。そこは厳しいかもしれないけど、泳ぎとしてはリオ五輪の予選の時のような、楽に速くいける泳ぎを出せるように、空回りしないで頑張りたいと思います」と決意を新たにした。

 これに対して萩野は、「もう体が散り散りになるくらいまで泳ぐだけです。もしそうなってプールに浮いていたら拾ってください」と冗談を交えて話す。

 この悔しい結果を受け、中2日でふたりが気持ちをどう立て直してくるのか。瀬戸と萩野が頂点を目指す男子400m個人メドレーの結果は、そこにかかっている。