今大会初の日本勢ダブル表彰台を達成したのは、200m平泳ぎでの小関也朱篤(やすひろ/ミキハウス)と渡辺一平(早大)の銀、銅メダル獲得だった。

 2分06秒67の世界記録を持つ渡辺と、大会前の今季世界ランキング2位の2分07秒18を持つ小関だけに、ダブル表彰台への期待は高かったが、そう簡単にはいかず予選の時点では、その夢が危うくなったかに見えた。

 第4組の渡辺はでラスト50mでは最後の爆発力を持つアントン・チュプコフ(ロシア)に逆転されて突き放されたが、2分09秒30で全体の3位通過とまずまずの泳ぎをした。同じチームの坂井聖人(200mバタフライ・早大)は高地トレーニングからの下山直後という状況で力を出し切れずに終わったが、「僕の場合は100mで予選落ちしたことで、1回刺激を入れられた」と、好調ぶりをアピールした。

 これに対して、100mで3位に0秒05差の4位、25日の50mでは予選と準決勝で日本記録を連発していた小関は、予選でスピードが上がらず2分10秒38で12位通過という不安の残る結果になってしまう。

 だが、午後の準決勝になるとその泳ぎが一変。予選を2分08秒98で泳いだロス・マードック(イギリス)を相手に、最初の50mは最速の28秒56で入る積極的な泳ぎを見せ、マードックに0秒02遅れるだけの2分07秒80で決勝進出を決めた。

 一方、渡辺も予選後、「予選は最近取り組んでいる前半からいくレースができてよかったので、準決勝は後半の持ち味を生かすレースをしたい」と話していたように、準決勝では50mから150mまで、ストローク数を15と16に抑えた大きな泳ぎを見せる。そして100m通過は予選より0秒03遅いながらも、そこから徐々にスピードを上げて2分07秒44の、全体2位通過で決勝へ。

「予選は掻き数が少し多かったので、準決勝は落ち着いてローストロークで泳ぎたいという意識がありました。自分の感覚以上にタイムがよくて、タッチしたあとでびっくりしました。思っている感覚以上のタイムで泳げているということに自信を持っていいし、最後は隣のチュプコフに少し競り負けたけど、彼はユース五輪の時から一緒に泳いでいる同い年の選手なので負ける気はありません」(渡辺)

 注目の決勝で、レースの先手を取ったのは小関だった。準決勝と同じような力みのない泳ぎで、最初の50mを先行すると、100m通過は準決勝よりわずかに遅いだけの1分01秒19で、2番手に続く渡辺に0秒36差をつけた。だがそこからの50mを33秒32までラップを落とすと、今度は32秒91で泳いだ渡辺が0秒05先行する展開になった。

 それでも小関は、「みなさん勘違いしているかもしれないけど、僕は前半を突っ込んでいるわけではないんです。あれは焦った速さではなく、調子がよければあのテンポの中でうまく水を捉えられるから自然と速くなってしまう。今日は一番きつくて全員がタッチへ向けて死に物狂いで泳ぐラスト25mをしっかり泳ぎ切ることを意識して、125mから徐々に上げていこうというプラン通りの泳ぎができました」と振り返る。

 渡辺も、前半の100mまでは、50mからのストロークを準決勝より1回減らす14にし、ラップタイムを少しだけ上げていくというプラン通りの泳ぎで、「瞬間的なスピードがないというのは弱点ですが、ラップで泳げるのが僕の強みであり、他の人にはできない部分だと思います。今日も50〜100mは14ストローク、32秒5で泳ぎたいと思っていたのができました。ラスト50mは33秒01かかってしまったけど、自分自身の泳ぎはできたと思う」とレース後に語っている。

 ふたりのラスト50m勝負は、ラップタイムを32秒78まで上げた小関に軍配が上がったが、チュプコフの追い上げからは逃げ切れず、結果、チュプコフが2分06秒96で優勝した。小関は2分07秒29の2位で、渡辺は2分07秒47の3位。決勝は、まさに全員が力を出し切る戦いを演じた。

 小関は、「ラスト50mで一平くんは見えたけど、チュプコフは見えなかったですね。でも絶対に3人で競っているだろうという感覚で泳いでいました。目標にしていた一平くんとのワンツーフィニッシュはできなかったけど、ふたりでメダルを獲れたのでホッとしました。チュプコフとの差は0.3秒だけど、実際彼が2分6秒台を出すとは思っていなかったので……。でも、僕も今シーズンは2分7秒台前半で泳げているので、うまく泳げば6秒台に届くのかなと思いました」と小関は言う。

 また渡辺は、「優勝を目標にやってきたんですが、去年のリオでメダルを獲れず、悔しい思いをしたので、メダルを獲れたというのはすごくうれしい。しかも小関さんとダブル表彰台なのでホッとする気持ちもあります。日本のお家芸復活といえるような結果ですが、小関さんは100mでも活躍しているので、僕も100mでも食らいつけるような選手になって、次はワンツーフィニッシュを実現し、本当のお家芸復活といえる結果を出したい」と今後の目標を語った。

 ただ、それでも小関はこの結果を「北島康介さんは100mと200mの2種目で結果を出していたが、自分たちはまだ200mで結果を出しただけだから、日本の平泳ぎの強さを見せられたわけではない」と戒める。

「だから僕は、何色でもいいからもう1個メダルが欲しいと思いますね。こういう結果を続けることが大事。常に3番以内に入るパフォーマンスを大舞台でできるテクニックや強い気持が、東京五輪へ向けては絶対に必要になると思います。

 今回はメダルを獲れたけれど、冷静にみればチュプコフだけではなく、リオ五輪優勝のデミトリー・バランディン(カザフスタン)や15年世界選手権優勝のマルコ・コッホ(ドイツ)もいるし、100m2位のケビン・コーデス(アメリカ)も余裕で7秒台を出す選手なので、それらの選手と互いに最高の本調子で戦った時に、自分の本当の力がわかるのではないでしょうか」

 だが、金メダルには届かなかったとはいえ、このメダル獲得はふたりにとっては大きな意味を持つ。小関は、前回の世界選手権200mで準決勝でトップ通過しながらも、決勝では5位に沈むなど、100mも含めて大舞台で実力を発揮できていないというジレンマがあった。また、リオの準決勝では五輪新を出しながら決勝では6位だった渡辺も、本番で力を出せないのではという気持ちが生まれかけていた。

 そんなふたりにとって、今回のメダル獲得は不安を払拭できるものになり、これから前に進むための大きな力になる。そしてその先には、お家芸復活への道が続いている。