東京五輪を目指し、トゥーロン国際大会へ参戦しているU−21日本代表。初戦のトルコ戦を1−2で落とし、厳しい状況でポルトガルとの第2戦を迎えたが、1人少ないなかで劇的な逆転勝利を収め、グループリーグ突破へ望みをつないだ。

 横内明展監督代行は、トルコ戦と同じシステム3−4−3を選択したものの、先発4人を入れ替えてきた。右CBには椎橋慧也(仙台)に代えて橋岡大樹(浦和)、ボランチの一角は井上潮音(東京V)に代えて松本泰志(広島)を起用。右SHには前の試合で左SHを務めた初瀬亮(G大阪)を回し、左SHに菅大輝(札幌)を選択。1トップには小川航基(磐田)ではなく田川亨介(鳥栖)を送り込んだ。

 対するポルトガルはU−19チームでこの大会に参加している。初戦はカナダと0−0で引き分けたが、グループで最も実力のあるチームだと考えて間違いないだろう。

 そんなポルトガルを相手に、日本は立ち上がりから多くのチャンスを許した。前半9分には、エリア左を抜け出したジョアン・フェリペにループシュートを放たれ、冨安健洋(シントトロイデンVV/ベルギー)がゴール前でクリア。そのこぼれ球に詰めたジョゼ・ゴメスのシュートは右に外れた。11分には中山雄太(柏)が松本へ出した後方へのパスがミスとなるが、フリーで狙ったゴメスがまたも外す幸運に助けられた。

 しかし、幸運はそう何度も続かない。前半32分、ここまでチャンスを外してきたゴメスが右からのクロスを頭で合わせる。いったんはGKが弾き、中山が掻き出すが、こぼれ球をルイス・シウバに決められ、先制点を許してしまった。

 ポルトガルをリスペクトしすぎたのか、立ち上がりの日本は消極的だった。攻撃陣を警戒するあまり後ろに下がりすぎ、相手の最終ラインにプレスをかけることなく自由にハーフウェーラインまでボールを運ばせて、何度も攻撃の形を作られてしまった。

 その理由について、CBの中央を務める冨安は「前半は滉(板倉/仙台)くんと橋岡に、あまり(サイドのカバーに)いかせないように言っていたので、カバーにいけないことでサイドで数的不利になり、深く押し込まれる状況を作られてしまった」と分析する。

 この点については後半、横内監督代行の指示により、守備陣をスライドしてサイドをカバーすることで状況を改善させた。

 一方、右ウィングとしてプレーした三好康児(札幌)は、前線からのプレスに問題があるという見方を示した。

「相手にボールを持たれたときに、なかなかボール保持者にプレスにいけないことが相手のリズムを生んでしまったと思います。ファースト・ディフェンダーが決まらないと、後ろのディフェンダーも決まらないので。個人技がある相手に対して後ろに構えてしまったことが押し込まれてしまった原因」

 確かに、ポルトガルの最終ラインは技術があり、日本の選手がプレスをかけても剥がされてしまうことが多々あり、それがプレスをかけられずにズルズル下がる原因になっていた。下がってしまうと守備は苦しくなり、30分は耐えられたものの、先制点を奪われてしまった。

 ただ、すぐにゴールを奪い返したことで日本はペースを渡さなかった。エリア外で三好がボールを持ち、エリア内へのラストパスを狙うという前の試合から狙っていた形が、34分、田川の同点ゴールにつながった。

 ポルトガルは先制点を奪った後、選手全員がベンチのところに集まって給水をしていた。気温自体は25度程度だったが、直射日光の当たるピッチ上はかなり暑くなっていたはずだ。それもあって、ポルトガルのペースも徐々に落ちていった。

 後半、横内監督代行は菅に代えて遠藤渓太(横浜FM)を右SHに投入し、初瀬を左SHに戻して守備の強度を取り戻す。ポルトガルにチャンスを作られながらも、何とか耐えていた。

 だが後半30分、裏に抜け出したゴメスを止めようと、エリア外に飛び出したGK山口瑠伊(エストレマドゥーラUD/スペイン)の手にボールが当たり、主審は退場を宣告する。このFKをフィリペに直接決められ、日本は残り8分で1点のリードを許すとともに、1人少なくなるという厳しい状況に追い込まれた。

 これで勝利を確信したのか、ポルトガルのプレーに緩さが見え始める。それを見逃さなかったのが途中出場の選手たちだ。後半37分、三苫薫(筑波大)がつないだボールから遠藤がスルーパスを通すと、抜け出した上田綺世(あやせ/法政大)がファーサイドに沈めて同点。さらにロスタイム、ドリブルで持ち上がった三苫のスルーパスに再び抜け出した上田が倒されてPKを獲得。これを上田が自ら決め、劇的な逆転勝利をもぎ取った。

 試合後、横内監督代行は「まず、選手たちが最後まであきらめなかった。GKが退場になって、残り時間が減ってきて、今日この試合で勝たなければならないと、最後、笛が鳴るまで走り続けたというのが一番かなと思います」と、逆転勝利の要因を振り返っている。

 一方、ポルトガルのヘリオ・ソウサ監督は「残念」と落胆しながらも、「試合の結果は、両チームの持つクオリティとは大きく異なるものだ。我々の方がいいプレーをし、試合をコントロールしていた」と、内容では自分たちのほうが上回っていたことをはっきりと口にした。

 確かに、内容的には日本が負けていてもまったくおかしくない試合だったし、改善点は山積している。トルコ戦で起きた、自陣深くでの軽率なボールロストは、この試合でも見られた。だが、こういう厳しい試合を勝ち切ることができたという事実は、このチームに大きな自信を与えるだろう。

 また、トルコ戦では同点に追いつかれたことで気持ちが受けに回ってしまったが、この試合ではビハインドになっても気持ちを切らさなかった。そこは前の試合から改善できた点だろう。

「(勝利という)結果だけには満足していますけど、課題しかないです。ただ、その繰り返しで『何とか2020年までには』と思っている。今日試合をして、次の試合までにパーフェクトに改善できるということはないと思うので、その繰り返しかなと思っています」

 そう語る横内監督代行の言葉がすべを物語っている。