2月26日に開幕して以来、すでに約1カ月半が経過した今シーズンのJ1リーグ。ガンバ大阪(18位/4月12日現在)など消化試合数が少ないチームもあるが、多くはシーズンの約4分の1を戦い、各チームの明暗が分かれ始めている。

 周知のとおり、特別なレギュレーションで行なわれている今シーズンのJ1では、下位4チームがJ2に自動降格する。それだけに、開幕のつまずきは残留争いに直結する可能性が高まるため、序盤から低迷するクラブにとっては何らかのカンフル剤が必要になる。


浦和にやってきたノルウェーリーグ得点王のユンカー

 さっそく、開幕からの不振で最下位に低迷する横浜FC(20位)は、8試合を消化した段階で下平隆宏監督の解任を発表。これまでユースチームを率いていた早川知伸監督をトップチームの指揮官に昇格させ、早い時期に軌道修正を図っている。

 もちろん監督交代は不振から脱するための常套手段だが、現在低迷が続くチームにはもうひとつのカンフル剤もある。それは、新外国人選手の存在だ。

 とりわけコロナ禍の今シーズンは、獲得した新外国人選手の一部が入国できない状況で開幕を迎えただけに、彼らの存在が打開策になる可能性は十分にある。しかも、彼らは3月下旬から続々と来日しており、開幕後に加入が決まった新外国人選手を含めると、今後のリーグ戦の勢力図も大きく変わってくるはずだ。

 そんななか、現状を打破すべく積極的な動きを見せているのが、ベガルタ仙台(19位)だ。

 開幕戦でドローを演じたあと、6連敗を喫するなど低迷が続いている仙台は、開幕後にフォギーニョ、フェリペ・カルドーゾというふたりのブラジル人助っ人を新たに獲得。すでに来日を果たして合流したガーナ人FWエマヌエル・オッティ、セルビア人GKネデリコ・ストイシッチと合わせ、計4人の新助っ人を加えて巻き返しを図る構えだ。

 4月10日に入国を果たしたフォギーニョは、ボランチを主戦場しながらサイドでもプレー可能な28歳のMF。セリエA(ブラジル全国選手権1部)でのプレーはないものの、これまでブラジル国内のクラブを渡り歩くなど経験は豊富で、右ひざ手術のためにスペインに一時帰国したMFイサック・クエンカの抜けた穴を埋める。

 現在22歳のフェリペ・カルドーゾは、名門サントスFCからレンタルで加入した身長187cmの大型FW。昨シーズンはレンタル先のフルミネンセで26試合に出場し、3ゴールを記録している。得点力不足に悩む仙台にとっては、エマヌエル・オッティとともに前線の選手層に厚みを増す新戦力で、成績浮上のカギを握る(現時点で未入国)。

 仙台と同じく、開幕後にふたりの新外国人選手の獲得を発表しているのが、予想外の成績不振に陥っている柏レイソル(16位)だ。

 柏では、現在合流待ちとなっているドッジ、アンジェロッティというふたりの新戦力MFに加え、3月23日には新たにFWペドロ・ハウル、DFエメルソン・サントスの獲得を発表。今後、4人のブラジル人を加えて挽回を図る算段だ。

 リオの名門ボタフォゴから加入した24歳のペドロ・ハウルは、身長192cmの大型ストライカー。昨シーズンは本田圭佑とともにプレーし、CFとして7ゴールをマークしている。まだCFを固定しきれていない柏の切り札として、また、昨シーズンの得点王オルンガに代わる新エースとしての期待がかかる。

 サンパウロの名門パルメイラスから加入したエメルソン・サントスは現在26歳のCBで、ボランチでもプレーするユーティリティ性を兼備。出場機会はなかったが、2月にはカタールで開催されたクラブW杯にも参戦している。今後、染谷悠太、上島拓巳のCBコンビに割って入るかが注目される。

 なお現在、柏ではFWクリスティアーノ、MFヒシャルジソン、MFマテウス・サヴィオの3人がプレー。そこに、ドッジ、アンジェロッティに加えて、ペドロ・ハウルとエメルソン・サントスが合流すると、計7人のブラジル人選手が登録されることになる。今後は、ブラジル人同士の熾烈なポジション争いが繰り広げられるはずだ(各選手の入国状況はクラブ非公表)。

 一方、リカルド・ロドリゲス新監督の下で改革を進めている浦和レッズ(9位)も、4月1日に新戦力FWキャスパー・ユンカーを獲得(4月11日に入国)。27歳のストライカーに大きな期待を寄せる。

 FK ボーデ/グリムト(ノルウェー)から加入するユンカーは、デンマークの世代別代表を経験した本格派ストライカー。昨シーズンのノルウェーリーグでは25試合に出場して27ゴールを量産し、得点王に輝いたばかりでなく、チームの初優勝に大きく貢献した。浦和でも額面どおりの働きをすれば、懸案となっている得点力不足が解決するはずだ。

 昨シーズンに続いてスタートダッシュに失敗した鹿島アントラーズ(15位)は、開幕前に加入が発表されていた新助っ人アルトゥール・カイキとディエゴ・ピトゥカのブラジル人MFが、今月に入ってようやく来日。中盤の選手層に厚みを増して、挽回を図る。

 同じく、下位脱出を狙う湘南ベルマーレ(12位)と大分トリニータ(17位)にも、待望の新助っ人の合流が近づいている。

 湘南は、日本でのプレー経験が豊富なFWウェリントンがすでに入国を果たし、もうひとりのブラジル人FWウェリントン・ジュニオールの来日を待つのみ(現時点)。大分も、GDエストリル・プライア(ポルトガル)から加入したブラジル人DFエンリケ・トレヴィザンと、アトレチコ・ゴイアニエンセ(ブラジル)から加入のブラジル人MFペレイラが来日。J1残留に向けて、新助っ人ふたりの合流を待つ状態となった。

 シーズン序盤につまずいたチームにとっては、彼ら新外国人選手の存在が頼みの綱。今後、彼らの合流でチームにどのような変化が起きるのか、要注目である。

◆「谷間の世代」と呼ばれた男たち。その輝きは黄金世代に負けていない>>

 ちなみに、そのほかのチームにも、これから新外国人選手が続々と合流する予定だ。ざっと整理しておこう。

 まず、ヴィッセル神戸(3位)が3月1日に獲得を発表したケニア人FWアユブ・マシカは先月26日に入国し、開幕前に獲得が決定していたブラジル人FWリンコンも4月4日に来日。上位キープはもちろん、アジアチャンピオンズリーグに備えて戦力を整えた。

 セレッソ大阪(5位)ではFWアダム・タガート、DFチアゴのブラジル人助っ人ふたりが入国を済ませたほか、FC東京(8位)のブラジル人DFブルーノ・ウヴィニもすでに来日し、横浜F・マリノス(7位)のブラジル人FWレオ・セアラも入国済み。好調サガン鳥栖(4位)では、ナイジェリア人FWオフォエドゥとケニア人FWドゥンガが先月31日に来日し、隔離措置に入っている(韓国人GKオム・イェフンの来日は現時点で未定)。

 また、徳島ヴォルティス(10位)ではリーグ・アンのブレストから獲得したイタリア人MFクリスティアン・バトッキオ、クルゼイロ(ブラジル)から加入したブラジル人DFカカのふたりが来日を果たし、アビスパ福岡(11位)ではベルギー人MFジョルディ・クルークスに加え、開幕後に獲得したカメルーン人FWジョン・マリも入国。

 その他、清水エスパルス(13位)のブラジル人DFウィリアム・マテウス、北海道コンサドーレ札幌(14位)のナイジェリア人FWガブリエル、そしてガンバ大阪が3月25日に獲得を発表していたブラジル人FWウェリントン・シルバもそれぞれ入国を済ませ、それぞれ合流を待つ状態だ。

 各チームのサポーターにとっては、また観戦の楽しみが増えることになりそうだ。

著者:中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi