K-1元三階級制覇王者・武尊は6日、地元の鳥取・米子市公会堂大ホールで開催されるキックボクシング興行『GAINA(ガイナ)魂』にエキシビションマッチへ参戦する。

6月19日、「THE MATCH 2022(東京ドーム)」でRISE世界フェザー級王者・那須川天心に敗れて以来、武尊は140日ぶりのリングへ立つ。

■休養宣言から始まった“行脚”

本大会は武尊が高校時代に所属した米子ジムが主催し、対戦相手は同じジムに所属していた弟分である第4代Krushバンタム級王者・晃貴

武尊は「THE MATCH 2022」敗戦の8日後、都内で記者会見を開き、腰の分離すべり症、ヒザの前十字靭帯損傷、拳の怪我のほか、うつ病やパニック障害などメンタル面の不調を理由に無期限の休養を宣言した。

その後、7月には17歳の時に単身武者修行をしたタイのムエタイジムへ13年ぶりに訪問し、自身のインスタグラムには「格闘技がまた好きになった」と投稿。9月11日に行われた「K-1 WORLD GP 第5代スーパー・フェザー級王座決定トーナメント」では大岩龍矢のセコンドに就き、かつての盟友をリングサイドから支えた。

そして、11月1日には「K-1」及び「KREST」との契約を10月31日付で解除したと発表、「一格闘家として国や団体の垣根なく挑戦」することを宣言。

これで終わりではなく、ここから何かが始まるのではないか、と期待を抱かせる出来事であった。

■武尊が発した“格闘家の声”

今回、2分2ラウンドのエキシビションマッチとはいえ、武尊は米国合宿を敢行。自身のツイッターでは「アメリカ合宿やり切った。エキシビションマッチまであと2週間。ここから日本に戻って減量と最終調整」と投稿し、そこには休養宣言前と変わらない気迫のスパーリング動画が添えられていた。

そんななか、今月2日には自身のツイッターで「子供達が見る影響を考えて欲しい。何も分からない子供達からしたらあれも格闘技だと思ってしまう」と、朝倉未来がプロデュースする「BreakingDown6」の前日会見で起きた“乱闘”に関するものと思われる意見を投稿。

続けて「ここ数年の数字が取れれば何でもありで先のことを考えてないこの業界が嫌い。このままだったらまた格闘技界は表舞台から無くなる」と危機感を募らせる“格闘家の声”を発信した。

10年間に及び無敗を守り続けた王者のメッセージには、誰もがはっとさせられた。格闘技とは、何なのか。

■武尊「最高の試合を見せます」

リングの上で笑いながら対戦相手と拳で語り合い、試合後には涙を流し、敗戦は死を意味するとまで覚悟を決めて戦い続けた魂の格闘家・武尊。

世紀の一戦を実現させるために費やした歳月は7年。曰く「数字が取れれば何でもあり」というエンターテインメント性を重視した昨今の興行は、身も心も削り死闘を繰り広げてきた武尊が描く格闘技の未来とは異なるのだろう。

10月30日、那須川天心は「RISE 162」でキック5冠・寺戸伸近の引退エキシビションマッチでリングに立ったが、ボクシング転向へ向けて走り続けている。そして今度は武尊も、エキシビションマッチでリングへ立つ。

ふたりはもう二度と拳を交えることはないだろうが、それぞれのリングに立ち続ける。まるで“行脚”のごとく格闘技の舞台を渡り歩く武尊は、この先に何を見据えているのか。

「最高の試合を見せます」

11月6日、生まれ故郷から、武尊の第二の格闘家人生がスタートするように思えてならない。

文●山田剛(SPREAD編集部)