昨季の阪神は前半戦で首位を独走しながら、ヤクルトの猛追に屈して勝率5厘差で優勝を逃した。12球団トップの77勝を挙げたチームは充実期に入っており、今季も優勝候補の一角であることは間違いない。今年こそ、2005年以来となる悲願のリーグ優勝はなるのか。

■機動力は12球団屈指も…守備力向上が課題か

【投手力】

★★★★★

昨季とほとんど変わらない陣容だが、唯一、そして最も大きな変化と言えるのが、守護神として絶対的な存在だったスアレスがMLB移籍で退団したことだ。代役に期待されるのが新外国人のケラーだが、岩崎優やアルカンタラなどの現有戦力も含めて、このポジションが確立できるかどうかが、チームの行方を左右しそうだ。

先発陣は昨季最多勝の青柳晃洋に、伊藤将司、秋山拓巳と2ケタ勝利が3人。さらにガンケル、昨季の不振から復調が期待される西勇輝、左ひじクリーニング手術から復帰の見込みの高橋遥人など駒は豊富に揃っており、昨季高卒2年目で勝ちパターンの一角に入った及川雅貴も先発転向の予定だ。ブルペンも岩貞祐太や馬場皐輔など計算できる投手が多いが、近年動向が注目されている藤浪晋太郎がいずれかのポジションでハマれば、「磐石」と言える投手陣になる。

【打力】

★★★☆☆

昨季はチーム得点、打率、本塁打いずれもリーグ4位と数字的には迫力不足だった打撃陣だが、選手個々を見ると他球団に劣らない面子が揃っている。最多安打のタイトルを獲得した近本光司とルーキーで盗塁王に輝いた中野拓夢の1、2番はリーグ屈指のコンビで、クリーンアップ以降が決まれば、ある程度の得点力は見込める。特に4番が固定できれば打線として一本筋が通ることになるはずだ。昨季チームトップの打点数(71打点)で並んだ大山悠輔とマルテが有力だが、前半戦の快進撃の立役者となった佐藤輝明も候補の一人だろう。

来日2年目で本領発揮が期待されるロハス・ジュニアや糸原健斗などがレギュラー候補だが、島田海吏や小幡竜平、さらに昨季ウエスタン・リーグで首位打者に輝いた小野寺暖など若手の成長も著しく、戦力の底上げが期待できそうだ。

【機動力】

★★★★★

昨季の盗塁数は114個で12球団トップの数字を誇る。入団以来、2年連続盗塁王だった近本を抑えて、昨季はルーキーの中野が30盗塁でタイトルを獲得。控え選手にも代走を中心に10盗塁をマークした植田海、7盗塁の熊谷敬宥と終盤の切り札的存在もいる。捕手の梅野隆太郎が8盗塁、本塁打ばかりが注目された佐藤輝も6盗塁と、昨季規定打席に到達した選手はマルテ以外の全ての選手が盗塁を記録している。今季も大きな武器になるはずだ。

【守備力】

★★☆☆☆

昨季の86失策は、最少だった巨人の45失策の倍近い数字で、4年連続でリーグワーストのチーム失策数となった。ポジション別に見ると遊撃手の中野が全ポジションでリーグ最多の17失策と積極的な守備ゆえの結果とは言え、この数字は多過ぎる。外野も近本は守備範囲が広いが、内野から転向したばかりの佐藤輝と外国人の両翼は安定感を欠く。

捕手の盗塁阻止率は梅野隆太郎が.288、坂本誠志郎が.300とそこそこの数字で、チームの捕逸はリーグ最少の3だが、梅野が6失策と捕手としては異例とも言える多さだ。

【采配】

★★★☆☆

就任以来、3年連続でAクラス(3位、2位、2位)の実績を残している矢野燿大監督だが、クライマックスシリーズではいずれも巨人に敗れて日本シリーズ進出を逃す(20年はCSなし)など、その評価はシーズンの結果ほど高くはない。特に昨季は6月の時点で2位に7ゲーム差をつけながらリーグ優勝を逃し、采配面でも不振に苦しんだ佐藤輝の起用法など、その手腕に疑問を持つ声もある。監督就任後は現役時代の冷静沈着なイメージとはやや異なる姿も見せており、単年契約と言われる今季は勝負の年になりそうだ。

記事提供:ベースボール・タイムズ
データ提供:野球DB