いよいよ22日から赤土の過酷な闘い、ローランギャロスが始まる。

日本人の本戦出場は西岡良仁、ダニエル太郎、そして大坂なおみと土居美咲の4名だ。

16日スタートの予選からは日比野菜緒、内藤祐希、内島萌夏の3人が勝ち上がり本戦まであと一勝としている。(18日時点)内藤と内島は、先日行われたビリー・ジーン・キングカップの代表選手としてアジア・オセアニア予選を1位通過に導いた立役者たち。いま若手選手の成長株としてもっとも期待されている2人だ。

4月から始まったクレーシーズン、日本勢でもっとも勝利数を稼いだのはダニエル太郎だった。前哨戦の3大会で9試合を重ねる活躍で大いに存在感を示している。特にセルビア・オープン(ATP250)は予選から準々決勝へと進出し7位のアンドレイ・ルブレフ(ロシア)と対戦。常に攻め時を狙いながら、軽やかにコートカバーリングをこなす姿は実に頼もしく私の目に映った。ルブレフ戦で惜しくも敗退となったが、観客たちを虜にするプレーで人気は高まるばかりに思える。

■全仏オープンで注目する選手は?

年始の全豪に続き今大会も鮮烈な勝ち上がりに期待したい。

マイアミで準優勝の活躍から現在38位となった大坂なおみは、クレー初戦となったマドリード・オープン(WTA1000)では2回戦敗退。翌週のイタリア国際(WTA1000)は左足首の怪我を理由にスキップしたが、マドリードでのアナスタシア・ポタポワ(ロシア)戦を見る限り調子は良好。その姿は終始クレーでの戦い方を細かく確認しているようだった。

特にリターンゲームでは以前よりポジションの上げ下げを使い分ける工夫が見受けられ、相手のスピンサーブを先読みし、大きくフォアで回り込み叩き込む姿勢が目立っていた。球足が遅いクレーで大坂の持ち味である豪速ボールをどこで使うか、また以前とは違う彼女の戦略が見られそうで楽しみだ。

大坂の全仏での最高戦績は3回戦。今年はノーシードからの挑戦となる中、どのようなストーリーが待っているのだろうか。

■シフィオンテクは28連勝を記録

優勝候補の筆頭として大きくクローズアップされているのは、ここ3カ月で昇竜の勢いを見せているカルロス・アルカラス(スペイン)だ。昨年の21歳以下のネクスト・ジェン・ATPファイナルズを18歳で初制覇し、未来のスター候補として才能を開花させたばかり。今季はリオ・オープン(ATP250)での優勝を皮切りに、バルセルロナ(ATP500)、マイアミ、マドリード(共ATP1000)とビッグトーナメントを制覇し今一番、波に乗っている。現時点でツアートップの28勝(3敗)をマークし、トップ10を相手に誰よりも多い7勝を挙げている。19歳の次の目標はまさに四大大会制覇。今あるすべての力を赤土の戦いに捧げることになるだろう。

また女子ではイガ・シフィオンテク(ポーランド)がカタール・オープン(WTA1000)からイタリア国際までの5大会を連続優勝し、今大会の大本命として登場する。3月末には元世界女王アシュリー・バーティ(オーストラリア)の電撃引退から一気に期待を背負ったように感じていたが、予想に反し28連勝という強烈なインパクトを残し、さらなる前進を続けている。

シフィオンテクは2年前に18歳で全仏初制覇を成し遂げているが、今回はまたひと味違った心境で優勝を目指すことになるだろう。いずれにせよ、今の彼女のプレーは動きの速さから主導権を握り続ける術まで飛び抜けている。2週間を上手くコントロール出来れば、2度目の優勝カップを手に入れる可能性も高いだろう。

最後に、5月31日から6月4日にかけて車いすテニスとクアードテニスが開催される。今年は車いすのドロー数が8人から12人へ変更され、クアードは4人から8人へと枠を広げた。これにより日本からは小田凱人、大谷桃子、菅野浩二が出場権を獲得。数多くの四大大会タイトルホルダーである国枝慎吾、上地結衣に加え、もっとも輝く頂点を目指す。

大会終盤の3日と4日には、センターコートであるフィリップ・シャトリエ・コートで初めて車いすの試合がスケジュールされる。観客満員のセンターコートで日本選手がプレーする日が楽しみだ。

著者プロフィール

久見香奈恵●元プロ・テニス・プレーヤー、日本テニス協会 広報委員

1987年京都府生まれ。10歳の時からテニスを始め、13歳でRSK全国選抜ジュニアテニス大会で全国初優勝を果たし、ワールドジュニア日本代表U14に選出される。園田学園高等学校を卒業後、2005年にプロ入り。国内外のプロツアーでITFシングルス3勝、ダブルス10勝、WTAダブルス1勝のタイトルを持つ。2015年には全日本選手権ダブルスで優勝し国内タイトルを獲得。2017年に現役を引退し、現在はテニス普及活動に尽力。22年よりアメリカ在住、国外から世界のテニス動向を届ける。