2000年度生まれの選手はプラチナ世代と呼ばれている。古江彩佳、西村優菜、吉田優利、安田祐香がその世代だ。みな2020年シーズンからプロツアーに本格参戦している(※)。

4名はみな、アマチュア時代にナショナルチームメンバーとして切磋琢磨し合ってきた。プロ入り後も、それぞれがそれぞれを意識しながら更なる高みを目指してきただろう。

2020-21、2022、2023、3シーズン戦い2024年になった今、4名が置かれている環境や立ち位置は変化した。それぞれの現在地についてまとめてみる。

(※)古江彩佳はアマチュア時代に優勝し、プロ入りやプロデビューは一足先だったが、プロツアー本格参戦はほかの3名と同じ

■古江彩佳が目指す2勝目とメジャー初制覇

2020-21シーズンで賞金ランキング2位、メルセデスランキング1位になり、翌年の2022年シーズンから米ツアーに主戦場を移した。

2020-21シーズンでパーオンホールの平均パット数1位、1ラウンドあたりの平均パット数3位となったパットの精度は米ツアーでも通用し、SG(ストローク・ゲインド):パッティングは2022年が3位で2023年が9位だった。

2022年に8位だったフェアウェイキープ率が2023年には2位に入った。安定感が増したティーショットにパットが嚙み合えば、2022年7月以来の米ツアー2勝目やメジャー初優勝に期待できる。

そして今年はパリ五輪がある。前回の東京五輪では稲見萌寧との残り1枠をかけた争いに敗れ涙。「今度こそは」という思いで代表が決定する6月まで戦うはずだ。

現時点での世界ランキングは19位。17位の畑岡奈紗に次ぐ日本勢2番手で代表入り圏内。ただ、20位に山下美夢有、26位に笹生優花がつけているため、安心できる位置ではない。

世界ランキングにもとづくオリンピックランキングで15位以内に入れば、他の日本人選手のランキングに関係なく代表入りできる。古江の目標はそこになるだろう。

■西村優菜は頭脳を生かし米ツアー初優勝へ

2022年シーズン、日本ツアーでメルセデスランキング5位に入り、2023年シーズン米ツアー出場権をかけた予選会に挑戦。結果、望んでいた結果は得られず限定的な試合数の出場権獲得となった。

この結果を受けて2023年は日本ツアーを主戦場にすることも検討されたが、米ツアー挑戦に踏み切った。

米ツアールーキーイヤーは苦しい展開が続いたものの、終盤8戦連続予選通過で内2回トップ10入り。結果、年間ポイントランキングで48位にランクイン。2024年のフルシード権を獲得した。

2023年は上々のルーキーイヤーといえるかもしれないが、やや物足りない部分もある。SG:アラウンド・ザ・グリーンが79位で、SG:パッティングが37位。

2022年の日本ツアーでリカバリー率2位、パーオンホールの平均パット数6位、1ラウンドあたりの平均パット数4位だったことを考えると、ショートゲームの精度や安定感を向上させられるはず。

ナショナルチームヘッドコーチのガレス・ジョーンズ氏は雑誌のインタビューで、「私が会ったことがあるアスリートの中で最も賢い選手の一人だと思う」と、西村のことを評している。

持ち前の頭脳で、2023年の経験を的確に分析して生かすことができれば、2024年は米ツアー初優勝が待っているかもしれない。

■吉田優利はルーキーイヤーで優勝なるか

2023年の日本ツアーでメルセデスランキング7位に入った吉田は、米ツアーの予選会に挑戦し、見事2024年の出場権を限定的な試合数ながら獲得した。

吉田の持ち味はドライバーの精度と、グリーン周りからのアプローチショットの精度の高さ。トータルドライビングは3シーズンすべてトップ10入りしており、リカバリー率は2022年と2023年、2年連続で1位だ。

米ツアーの芝やグリーンコンディションに慣れ、日本で磨いたアプローチショットのスキルを発揮したい。

心配は4日目に精彩を欠くことが多いこと。2023年は初日の平均ストロークが6位、2日目が7位、3日目が7位、そして4日目が28位だった。日本ツアーよりもタフな4日目が増えることが予想されるが、米ツアー転戦の中で心身を調整するコツを早くつかみ、より良いパフォーマンスにつなげてほしい。

インスタグラムを見ると、渋野日向子との交流もあるようだ。米ツアーで戦っている先輩からの助言を最大限力にすることができれば、ルーキーイヤーで初優勝達成もあり得る。

■安田祐香は複数回優勝の可能性

今年、この4人の中で最も注目するべき選手は安田かもしれない。

アマチュア時代、4人の中で最も豊富に実績を積み重ねてきたのが安田で、古江がアマチュア優勝を達成しても、安田がプラチナ世代のエースという評価は変わらなかった。

アマチュアだった2019年に出場したプロのトーナメントは9試合。その9戦すべてで予選を突破。優勝争いに加わった試合もあり、9戦の平均ストロークは71.38。これはその年の年間平均ストローク17位相当の記録。仮にフル参戦し17位に入ったとすれば、年間で複数回優勝していてもおかしくない。

そのような実績も引っ提げてプロデビューしたわけだが、本人や周囲が期待したものとは程遠い内容のプレーが、ルーキーイヤーから2シーズン続いた。メルセデスランキングは2020-21年シーズンが67位で、2022年シーズンが53位。初優勝どころか、シード獲得すらもままならない状況だった。

しかし、2023年は明らかな向上が見て取れた。メルセデスランキングは35位。この年間ポイントランキング上昇はショット力の向上によるものが大きい。

トータルドライビングとパーオン率は、2020-21年シーズンが47位と59位、2022年シーズンが78位と67位、そして2023年シーズンは36位と17位だった。

遅まきながら初めてフルシード選手としてプレーする今年は期待できそうだ。ツアー初優勝だけで終わらず、複数回優勝しても不思議ではない。

■それぞれの“初”優勝を目指す2024年

米ツアーはすでに2024年シーズンが開幕している。日本ツアーは2月29日からのダイキンオーキッドレディスが開幕戦となる。

今年この4名は、それぞれが‟初”優勝を目指す。畑岡や渋野ら、2学年上の黄金世代に引っ張られるように、プラチナ世代の存在感が日米のゴルフ界で増していきそうだ。

◆渋野日向子やルーキー3選手の米女子ツアー初戦はいつ……日本選手9名のエントリー状況

著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。