2024年の日本女子プロゴルフツアー開幕戦となる「ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント」は29日、沖縄県の琉球ゴルフ倶楽部で開催される。

今季の注目選手としては、3年連続年間女王がかかる山下美夢有岩井明愛岩井千怜小祝さくらなどが挙げられるが、人気に実力や実績が追いついてきた感がある原英莉花や、昨季4勝、メルセデスランキング5位とブレイクした櫻井心那にも注目だ。

原と櫻井は今季、来季の米ツアー出場権をかけた予選会に挑戦する意向を示している。

2人とも昨季のドライビングディスタンスは255ヤードを超え、すでに飛距離では米ツアーでも通用する水準にある。ただ、飛ぶだけでは米ツアーで安定した成績を残すことはできない。

今季は持ち前の飛距離をより生かすために、飛距離以外の部分で確かな手ごたえを獲得する必要がある。

■米ツアー予選会再挑戦予定の原英莉花

昨季中盤に腰の手術をし、充実した練習メニューをこなせるようになった原は、9月28日から開催された日本女子オープンで復活優勝を果たした。

そして、米ツアー出場権をかけた予選会に挑戦。10月17日からのセカンドステージで、3日目に最終ステージ進出圏内にいたものの、スコア誤記で失格となり、米ツアーへの道が絶たれた。

今季は再び米ツアー予選会に挑戦する予定。それまでの日本ツアー転戦を実りあるものにしたい。

原はドライビングディスタンスは毎年上位に入り飛距離は国内最高水準を誇っていたが、フェアウェイキープ率やパーオン率は高くなく、方向を含めた精度には難があった。

しかし、昨季はフェアウェイキープ率もパーオン率も向上。トータルドライビング(ドライビングディスタンス順位とフェアウェイキープ率順位を合算した値)順位とパーオン率順位を合算したボールストライキングが1位となった。

あとはショートゲーム。昨季はパーオンホールの平均パット数が53位、1ラウンドあたりの平均パット数が87位、リカバリー率が74位。グリーンまわりとグリーン上の強化が大きなポイントとなりそうだ。

原英莉花ショット関連スタッツ順位

原英莉花ショット関連スタッツ順位

原英莉花ショートゲーム関連スタッツ順位

原英莉花ショートゲーム関連スタッツ順位

■昨季4勝でブレイクの櫻井心那

2022年に下部ツアーのステップアップツアーで5勝をあげた櫻井。2023年は6月29日から開催された資生堂レディスで初優勝を飾ってから、毎月のように優勝を重ね、10代では史上2人目となるシーズン4勝をあげた。

2022年から海外での大会も経験する中で米ツアーを志すようになり、今季は年間女王と米ツアー予選会挑戦を目標に戦う。

櫻井はドライビングディスタンス3位と飛距離は出るものの、方向が不安定。71位だったフェアウェイキープ率の向上が必要だ。

また、「ショットが飛んでリカバリー率が高ければ相当強い」と、本人も気にしているリカバリー率についても、昨季14位と悪くないもののさらに上を目指して強化していきたい。

「たくさん練習した結果、ステップアップツアーで戦っている頃と比べるとすごく進歩した」とグリーンまわりからのアプローチショットについて語っているが、その成長曲線を今季も保てると、年間女王と米ツアー出場権獲得の目標クリアが現実味を帯びてくるだろう。

櫻井心那スタッツ順位

櫻井心那スタッツ順位

■ナショナルチーム入り経験なし

畑岡奈紗、勝みなみ、西村優菜、稲見萌寧、吉田優利、現在米ツアーで活躍している選手の多くは、ジュニア時代にナショナルチーム入りしていた。

一方、原や櫻井のジュニア時代は、地元の大会での実績はあるものの、全国規模の大会で特筆すべき実績は少ない。よってナショナルチーム入りしたことはない。

プロ入り前は、‟パワー”では同世代のライバルたちに負けていなかったものの、‟うまさ”では遅れを取っていたわけだが、今ではその遅れを取り戻し、さらには追い越しつつあるかもれない。

天性のパワーがある原や櫻井がパワー以外の部分で成長を加速させられると、強さが際立ってくる。

ナショナルチーム入りするようなエリート街道を歩んできた選手たちとは一味違ったスケール感を漂わせる原と櫻井は、ダイキンオーキッドレディスの予選ラウンドでは同組でプレーする。

開幕戦でシーズンオフの充実度を表現できるか。さらに、今季どのような‟うまさ”を加えていくのか注目だ。

著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。