ノジマTリーグ 2023-2024シーズン」は、レギュラーシーズンが終わり、22日から24日にかけて、プレーオフが行われる。

今季の木下アビエル神奈川で主力を担った張本美和は、国内外の大会で飛躍を遂げ、夏に行われるパリ五輪にも3人目のメンバーに選出されるなど、充実の時を過ごしている。

世界ランキングでも20位以内に顔を出し、さらなる成長が期待される15歳。Tリーグのプレーオフ、そして初出場を控えたパリ五輪を前にインタビューを実施。卓球人としてのこれまでと今、そして未来の展望を聞くことができた。

■兄・智和はパリ五輪出場をSNSで祝福

張本は卓球選手の両親のもとに生まれ、父の宇さんは男子ジュニア日本代表の元コーチ、母の凌さんは世界卓球の元中国代表選手としての経歴を持つ。2歳で始めたという卓球は、小学生から全日本卓球選手権(ホープス・カブ・バンビの部)を制覇。さらに、世代別の世界大会でも2021年の世界ユースでU-15の四冠(女子シングルス、女子ダブルス、混合ダブルス、女子団体)に輝くなど、若くしてその才能を見せつけ、期待を寄せられてきた。

そんな張本だが、家庭の教育方針は勉学が最優先。「基本はお母さんから勉強が大事といわれ、ずっと勉強をしている」と述べ、「小さい時から卓球より勉強が大事。1番は健康、その次に勉強、その次に卓球と教わってきた」と自らの育ってきた環境を明かす。その考えについては、「卓球をするためには頭がなければ試合に勝つことができない。勉強をしっかりすることでいろいろな考え方ができるので、卓球に活きていると思います」と、プレー面への好循環につながっていると語る。

張本になくてはならない存在が男子のエースである智和で、妹がパリ五輪出場を決めた際にはSNSを通して祝福した。「いつも優しくて、話すときは楽しくちょっかいをかけながら話しています」と語った兄については、「気合いの部分、メンタル面で最後まで諦めない部分がすごい」とリスペクトを寄せる。性格面では、「私は喋ることが大好きで明るい性格。人見知りはあまりなくて、逆にお兄ちゃんの方が人見知りかなと思います」と自らとの違いについて言及している。

■備えるオールラウンドな能力

張本の選手としての特徴はオールラウンドな能力で、両ハンドドライブに、巧みなサービスやレシーブを駆使してラリー戦でも強さを発揮する。自身のプレースタイルについては、「何かひとつと言われればバックハンドですが、攻める卓球もできますし、相手に攻められてからの反撃も得意。全体的なバランスはすごくいいと自分でも思いますし、いろんな方から言ってもらえて嬉しい」と言及。攻守において穴の少ない選手としての評価を高めている。

また、張本は女子選手のなかでは珍しい、YGサーブ(逆横回転をかけるフォアサービス)の使い手でもある。このサーブについては、「小学6年生くらいのころお父さんに、『今はできなくていいから遊びでやってみたらどう?』と言われた」のが最初だったという。そこから磨きをかけたYGサーブについて、「今では自分のサーブのひとつとして習得することができている。より幅広い戦術を組めるようになりました」と語り、選手としての引き出しを増やすことにつながった。

そんな張本だが、現状の選手としての課題については「相手に圧をかける武器が今の私にはあまりない」と分析。「ひとつの技術でずっと(相手を)倒せるというのがない。そこは(パリ)五輪までに技術も戦術も一つひとつの精度を上げていかないといけない」と語っている。オールラウンドな選手であることの裏返しでもあるが、ここからさらに大きな武器を身につけた際は、世界トップオブトップへの道も開けてくるといえる。

木下アビエル神奈川の主力を担った張本美和 撮影:SPREAD編集部

■「人間力も重要になってくる」

今年の全日本選手権では2位に入り、先月行われた世界卓球では銀メダル獲得に貢献。15歳にして五輪初出場も決めた。ここからのキャリアには周囲からの関心が寄せられる。張本は「五輪で金メダルを獲ることが最大の夢」と世界一を第一の目標に掲げる。そんななかでも、「チャンピオンになるような選手は卓球が強いだけじゃない。人間力も重要になってくると思います」と述べており、選手として頂点を目指すとともに、人間的な成長もカギを握るとしている。

そんな張本が目指すのが、世界ランキング1位の孫穎莎。群雄割拠の女子卓球界でもその実力は群を抜く。昨年はフルゲームの激闘を演じた女王について、「練習した時は『30回打つけど、終わらなかったらごはん抜きね』みたいに面白味を入れてくれる。もちろん真剣なんですが、練習のなかでもそういうことをしているから強くなる」と練習時のひと時を振り返りながら、その強さの秘訣を分析する。

世界ランキング1位に君臨する孫穎莎(C)ロイター

今の卓球界を席巻し、若くして日本女子の中心選手へと進化を遂げようとしている張本。今後世界ランキングトップ10入りや、初出場を控えたパリ五輪での活躍など、世界の大舞台を経験することで、無限の可能性が15歳の卓球人生には広がっていく。「ファンのみなさんは結果を見ることが一番だと思うので、結果を出せるように自分の力をつけていきたい」と語った張本。これからのさらなる飛躍に期待せずにはいられない。

取材・文●井本佳孝(SPREAD編集部)