酒類輸入事業者の販売量 前年比の推移

新型コロナウイルス禍による緊急事態宣言で休業を余儀なくされた料飲業界が甚大な被害を受ける中、食材や酒類を供給する業界へも負の連鎖が広がっている。「酒類飲料日報」では、4月に酒類輸入社(24社)への緊急アンケートを実施。2月以降の販売状況や年内の見込み、今後の見通しを聞いた。

多くの会社で2月の数字は悪くなかった。前年を上回る数字も多くみられる。問題は3月以降だ。なかでも輸入ビール業界が大きな影響を受けている。プレミアム輸入ビールは、その多くが料飲店での需要に支えられていることに加え、大規模なビールイベントが中止を余儀なくされ、大きな打撃を受けた。ワインやスピリッツと違い、ビールは賞味期限が短いだけに問題は深刻だ。

ビールだけでなく、料飲店比率が高い会社ほど状況は厳しい。料飲店比率8割の会社の多くが3月は前年比25%減。4月以降は「前年比7割減を覚悟する」会社もあった。

料飲店比率が7割だと、数字は悪くなく、むしろ前年越えもある。とはいえ、4月以降の予測では、どの会社も「大きく前年を下回る」が大多数だ。最悪で7割減、全体に5〜1割減と幅はあるが、2ケタ以上の減になることは間違いない。

「料飲店の営業自粛が続く限り、厳しい状況」「酒は不要不急で、量販店で前年比4割減、業務用で6割減の見込み」「街場の個人経営飲食店は閉店倒産が相次ぐのではないか」と心配する声があがる一方で、「コロナ影響は想定外だが、為替の状況、イベントの自粛、販促費等の経費削減により収益は年初計画通り。世界経済の低迷で、他国に流れていた希少商品を仕入れることができるチャンス」と前向きの声もあった。

「コロナ終息後を想定して商品ラインアップを見直す」「外飲みから家飲みへと環境が変化する中、単価が高いワインの販売にも注力したい」と、ポートフォリオや戦略を再構築する動きもあるが、「非常事態宣言が解除されても業務用は当面自粛が継続し、廃業・倒産が増えるため全く見通しは立たない」「量販・小売・ネットに注力する」との考えが主流だろう。

〈緊急事態宣言解除後も見通しは立たず、販売方針転換も視野に〉
秋以降の見通しについては、多くの会社で「前年を大きく下回る」との予想だ。「緊急事態宣言が解除されても業務用は当面自粛が継続し、廃業・倒産が増えるため全く見通しは立たない」が、「料飲は厳しくても、量販やネット販売は堅調が続くと見込む」筋も多い。

秋以降は、「すぐ通常モードに戻る見込みはない」「夏までに閉店・廃業している個人店に加え、チェーン店も資金繰りが逼迫」との考えから、「年内に回復の動きがあっても、前年比80%台では」との見方が濃厚だ。

秋からの需要回復に向け、「向こう3カ月はひたすら在庫削減」「来年春夏対策で、新商品開発や拡売計画の練り直しを行う」。また、「収束の目途が立ったとしても、すぐに元の消費体系に戻ることは考えにくい」「消費行動全体の変化なども起こりうるため、予測ができない」。さらに「飲酒に対しての行動がどう変化するのか予想がつかない」以上、料飲店需要が8割だった会社も「料飲から量販へシフトせざるを得ない」「量販やwebでの販売、ノンアルコールには希望があり、多少の販売転換も視野に入れたい」。

なお、世界規模での国境閉鎖に伴い、コンテナの滞留が問題になっているが、オリンピックを見越して在庫を厚くしていた会社が多いため、船便に多少の遅れはあっても「顕在化しているリスクは少ない」会社が大多数。「現状での在庫対応や生産者への早めの出港以来などで対応する」会社が多そうだ。

最後に、各社の声を紹介する。「お酒が、社会やお客様の生活を潤す存在であることを信じて、一刻も早い事態終息を願う」「一社でも多く生き残ることを強く願う。顧客に対して可能な限りのサポートはさせて頂きたい」との熱いメッセージに加え、「補償のない休業は死活問題」「だれの責任も問えないとすれば、飲食店さんへの休業補償は政府が責任もって迅速にやるべきではないか」。

卸からは、「国民生活及び国民経済の安定に寄与する業務を行う事業者として有事における食のインフラ維持を求められる中、食のインフラを維持するために全力を尽くす」との力強い表明がある一方で、「インポーター自体の再編が起こるかもしれない」と、今後を危惧する声もあった。

(酒類飲料日報 5月20日付)