各社の紅茶飲料

紅茶飲料は、無糖タイプや甘さひかえめのミルクティーなどが増えたことで、30代以上の大人世代が支持するカテゴリーになってきた。「クラフトボス」(サントリー食品インターナショナル)の紅茶参入以降、スタイリッシュな容器形状が増えたことも好まれている要因だ。今年は、紅茶飲料の中において、まだ絶対的な定番品が決まっていないフルーツティーを強化するメーカーが続出し、売り場におけるホットスポットとなっている。

かつては、薄くて甘い“ウスアマ飲料”の位置づけとみられ、中学生・高校生からの人気が高かった紅茶飲料。だが、紅茶カテゴリートップの「午後の紅茶」(キリンビバレッジ)が、大人世代へのアプローチを本格的に開始し、「おいしい無糖」の強化とともに、微糖の「ザ・マイスターズ ミルクティー」を2019年3月に発売して以降は、30〜50代のユーザーが増えている。そして、各社も大人が好む甘さひかえめの新製品を次々に発売したことで、2019年の紅茶飲料市場の生産量は前年比14.6%増の119.8万トンとなり過去最高を記録した。コロナ禍においても購入者数が増え、リピート購入も増えたことで、スーパーなど手売りチャネルを中心に好調を続けている状況だ。

紅茶飲料の種類別で構成比が最も高いのはミルクティーだが、そこには「午後の紅茶」や「紅茶花伝」(コカ・コーラシステム)など、長年にわたってミルクティーの強いブランドがあり、また単一メニューで独自性を出すのは難しいため、新製品を投入しても定番品として残るのは簡単ではない。そこで、飲料各社は、まだ絶対的な定番品がないフルーツティーの活動を強化している。大人世代の心をつかむのはどのブランドか。甘くない戦いが繰り広げられている。

フルーツティーを紅茶飲料の主要アイテムと位置付けているのは、「TEAs'TEA(ティーズティー)」(伊藤園)ブランドだ。「TEAs'TEA  NEW AUTHENTIC 生オレンジティー」を8月に刷新して、生オレンジを従来品の1.5倍使い、皮ごと丸搾り果汁を使用することで、オレンジの香りと心地よい甘さを引き立たせた。香料、酸味料、人工甘味料を使わない無添加品質が特徴で、「余計なものをとりたくない」という女性を中心に受け入れられている。10月5日発売のホット専用品は、コールドの “生オレンジティー”に比べ茶葉を1.2倍使用し、生オレンジ漬けシロップを採用。甘すぎず、すっきりした味わいの提案だ。

コカ・コーラシステムは、「紅茶花伝 クラフティー レモネード」(440mlPET)を10月5日から新発売する。同製品は、低温で抽出した茶葉2倍の紅茶と、たっぷりのレモン果汁とはちみつで作ったレモネードを合わせ、甘さ控えめで爽やかな酸味の味わいに仕上げた。また、「クラフティー」シリーズの「贅沢しぼりオレンジティー」と「贅沢しぼりピーチティー」は、30ml増やして440mlにした。好調な「紅茶花伝 ロイヤルミルクティー」と形状・サイズを同じにすることにより手に取りやすくし、より多くの人に試してもらうねらいだ。

「クラフトボス」は、500mlペットボトルコーヒーの市場を創造したブランドとして有名だが、2019年にはコーヒーの枠を越えて紅茶飲料に参入。スタイリッシュで大人向けの容器・パッケージを紅茶カテゴリーに浸透させた。今年4月に発売した「クラフトボス レモンティー」(500mlPET)は、8月末までに5000万本を超えるヒット商品となった。“甘すぎる”といった、既存レモンティーへの不満を解決するすっきりした甘すぎない味覚にしたことが特徴だ。また、10月13日から「クラフトボス」紅茶シリーズは、季節による嗜好の変化があることに着目し、「シーズンブレンド」というネーミングで秋冬の味わいを展開する。

紅茶のトップブランド「午後の紅茶」は、微糖タイプの「ザ・マイスターズ」シリーズから、新たに「午後の紅茶 ザ・マイスターズ オレンジティー」(500mlPET)を今年3月から発売。本格的な紅茶の味わいと、甘すぎないオレンジフレーバーが楽しめることから、働く大人の気分転換にふさわしい飲料として支持されている。また、無糖茶を好む大人向けにセブン&アイグループ限定で、9月22日から「おいしい無糖 レモン」を新発売した。こちらはクセのないすっきりとした味わいになっている。

紅茶飲料は、ミルクやレモンなどのフレーバーで選ばれる時代が長く続いていたが、現在は有糖、微糖、無糖といったサブカテゴリーがあるため、飲用シーンに合わせた選択肢が増えた。これにより、健康志向の無糖や甘さひかえめを求める新規ユーザーを取り込むチャンスが広がっている。その中でもフルーツティーは、甘さひかえめの味覚設計と独自性を実現しやすく、飲んだ際の満足感を満たせるため、各社からの提案が集中するホットスポットになっている。