左から、羽賀執行役員、黒崎社長、下保専務。4月末からカジュアルフライデーを導入した。

味の素冷凍食品は5月21日、2020年度決算報告会を専門紙誌向けにオンライン開催した。

黒崎正吉社長は2020年度を「コロナ禍の中でも構造強化は着実に進んだ」と評価した。「外部環境がどう変化するかわからない中、2021年度は構造強化として3つの改革を推進し、2022年度までに事業構造強化を終了させたい」とした。構造改革とともに働き方改革、人事関連などコーポレート改革も進める。

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〈2021年度FFA減収減益 単価アップ2%以上〉
味の素グループの冷凍食品事業は2020年度、売上高が1,999億円で前年比6%の減収となった一方、売上総利益率は前年より1.4ポイント(P)増加した。「生産や原料購買、値引き率の削減など総合的な努力で実現したものだ」とした。事業利益は86億円で前年比18%増と伸長した(味の素の決算公表数値はここから共通費を引いた数値になっている)。

事業主体別に見ると、味の素冷凍食品(FFA)の売上高は1,010億円で前年比4%の減収、そのうち家庭用は7%増、業務用が24%減だった。売上総利益率は3.1P増。黒崎社長は「これほど上がった年は過去にないと思う」とした。

事業利益は71億円と前年比10%増加。計画を大きく上回った。「ただし業務用は非常に厳しい利益状況だった。昨年4〜5月赤字、年度末に来て何とか黒字化できた。その分、家庭用がしっかり利益を確保できた。またFFAが管轄する海外事業も増益となった」。事業利益率は7.0%で前年を0.9P上回った。

1kg当たりの売上げ単価は、家庭用が1.5%増、業務用が2.5%減となった。家庭用では高付加価値品の発売や値引き改善に取り組んだ結果とした。他方、業務用は高単価であるスイーツ類の販売が減少したため、単価が下落した。

2021年度、FFAの売上高は前年比1%減収を見込む。そのうち家庭用が3%増、業務用は構造強化を優先し減収を見込む。売上総利益率は0.5ポイント増加を見込むが、事業利益は69億円、前年比2%の減益を計画する。構造改革のため5億円ほどの経費を見込むためだ。

1kg当たり単価は家庭用で2%増、業務用は2%以上を目指す。黒崎社長は「構造強化の一環として単価アップも重要」と話した。

足元の状況として、4月は家庭用については前年の特需の裏年となるため前年を下回ったが、前々年は上回り、好調なスタートと評価している。業務用も緊急事態宣言下で前年割れの状況だ。

事業構造強化に向けて3つの改革として
〈1〉ビジネスポートフォリオの転換
〈2〉ビジネスユニット構造改革
〈3〉生産戦略の転換
――を進める。

〈1〉では製品領域として、収益性の強固なコア領域とそれ以外を明確に位置付けて構造強化を図るとともに、新領域を探る。餃子、シュウマイ類はさらに強化を図る。コロナ影響で大幅に減少したスイーツの回復は外食市場の回復が最大のポイントとなるが、「需要家のニーズも変わってきている。人、メニュー数、原材料数、ロス――を減らしたいという、緊縮的オペレーションのなかで、新しいお客様を獲得する工夫をしている。そのニーズに応えていきたい」(下保寛取締役専務執行役員)とした。

SKU(ストック・キーピング・ユニット)削減としては2020年度、業務用で不採算品など116品を終売とした。

〈2〉BU(ビジネスユニット)としては、家庭用・業務用の両事業とは事業形態が異なる、外食チェーンやCVS(コンビニエンスストア)、病院・施設など特注品を中心として事業展開する領域をキーアカウント事業と位置づけて、構造強化していく。その中で事業ポートフォリオの転換や、営業政策の強化、デジタル技術を使った新たな取り組みをしていく。

〈3〉生産戦略については「ROIC(投下資本利益率)経営の中でアセットライトと同時に将来に向け、また今回コロナで顕在化したキャパ問題という二律背反を解決するため、自前主義を脱却して、OEM(original equipment manufacturer)先を戦略パートナーとして、ネットワークを深め、エコシステムを構築していく」。互いにメリットが出るWIN-WINの継続的つながりを構築していく考えだ。

2025年度ROIC5%の目標について、黒崎社長は「確実に達成できると考えている。環境変化にスピーディに対応していく」と話した。

〈冷食日報2021年5月25日付〉