ブラジル経済省の貿易統計によると、10月の鶏肉の日本向け輸出数量は約4.6万t(前年同月比62%増)に上った。タイの生産遅れなどから、先の供給不安が大きく募ってきたなかで、ブラジル産の買付けを増やしたためとみられる。業界では11月積みも4万t台との見方も。

確かに2カ月連続で4万t台半ばのボリュームはインパクト大だが、タイの生産状況や現在の物流事情などを鑑みると年内に在庫が急激に膨らむことは考え難く、2021年中は需給が締まった状況が継続するとみられる。

ブラジル産鶏肉の対日輸出量は、穀物価格の高騰、ワーカー不足、日本国内の外食需要の悪化などで3万t台前半のボリュームで推移する一方、飼料穀物高などの影響で5月以降の1kg当たりの輸出単価は前年と大きく乖離しており、現物のコスト高につながっている。

もっとも、この輸出量はあくまで当局に申請し登録された数字であり、実際のボリュームでは9月は3万台半ば、8月は統計の3.4万tに対して3万台後半と数千tの差異が生じているという。コンテナ・人手不足から日本に来る前に中国や韓国などで貨物が滞留する可能性が高く、関係筋によると、大手船会社のブラジルから日本までの平均日数は70日、最短で40〜45日、長くて90日、約3カ月もかかるという。「これから繁忙期を迎えるなか、物流事情がいつ改善するか全く不透明。日本に到着して通関が切れるまでは安心できない。タイの生産遅れの改善もパッカーによりマチマチで、いまだオファーが出ないところもある」(輸入筋)。

国内現物の荷動きは、大手外食チェーンやコンビニエンスストア関係の引合いが強く、玉が足りないためか12月に向けて追加発注の動きがあるという。量販店や問屋筋の引合いは一時期よりは大分落ち着きがみられるが、観光地など地方の業務用筋の引合いは堅調なようだ。

年明け以降も、消費者の生活防衛意識が高まるなかで、牛肉・豚肉のコスト高が継続するとみられ、単価の安い鶏肉の需要は今年よりも堅調に推移すると予想される。

農畜産業振興事業団の鶏肉需給表をみても、2021年4月以降、輸入量に対して出回り量が上回る形で推移している(4〜9月の累計では輸入量27.6万tに対して出回り量30.4万t)。前述の供給状況からすれば、少なくとも年内の在庫は低水準に推移するとみられ、相場もブラジルBLで380円前後の水準を維持するとみられる。2月から年度末にかけて在庫は増加するものの、大幅な相場の値下がりは考え難く、下げても数十円程度に落ち着くとみられる。

〈畜産日報2021年11月11日付〉