埼玉県立熊谷農業高等学校の田島秀人教諭と、生物生産工学科の生徒の皆さん

埼玉県立熊谷農業高等学校(梅澤仁校長)の生徒が授業の一環で飼育した県のブランド「彩の国黒豚」が12月8日、熊谷市の「ニュー・クイック熊谷駅ビル店」で販売された。

同校およびJA全農さいたま、JA全農ミートフーズ、(株)ニュー・クイックの協力で実現。この日だけの特別限定販売だったが、平台には黒豚1頭半分、20種類の商品が品揃えされ、飼育に携わった生物生産工学科(動物科学コース)の3年生5人が店頭でアピールした。地元、熊農の生徒が育てた黒豚として買い物客も興味津々な様子で、多くのお客が生徒の話に耳を傾け、数パックまとめ買いをする人もいた。

英国系バークシャー種が原種の「彩の国黒豚」は、1914年から県北で飼育が始まり、今年で107年の歴史を持つ。1998年には「彩の国黒豚倶楽部」が結成され、県が推奨する同県優良生産管理農場制度に基づき、種豚や専用飼料など統一管理のもとで肥育・出荷されている。

仕上げ期にうまみを引き出すため、麦類やさつまいも、国内産飼料米を使用した「彩の国黒豚肥育専用飼料」を給餌し、約8カ月かけて肥育される。バークシャー種ならではの筋繊維が細かく、適度な歯切れが良く、やわらかい肉質、そしてまろやかな甘みのある脂が特徴だ。 埼玉・熊谷農業高等学校生徒が飼育した「彩の国黒豚」

埼玉・熊谷農業高等学校生徒が飼育した「彩の国黒豚」

この100年以上の歴史を持つ「彩の国黒豚」を、県屈指の伝統校の熊農(1902年開校)が飼育を始めたのは昨年度から。「彩の国黒豚倶楽部」の特別会員として、現在、校内に種豚2頭(雄・雌)を導入し飼育している。時にはJA全農さいたまのサポートを得ながら、飼育だけでなく、枝肉での仕上がりの評価や一般の三元豚との比較もしているという。
 
今回の特別販売では、1頭半を用意し、肩ロース焼肉用、バラしゃぶしゃぶ用切り落とし、モモスライス、ヒレカツ用切り身、自家製生ウインナーソーセージ、ギョーザ用ひき肉など20種類もの商品が品揃えされた。
 
「私たちが愛情を込めて育てた黒豚です!」と呼びかけ、最初は緊張の面持ちだった生徒たちも徐々に慣れて、買い物客に積極的に声をかけ、おススメの商品を選ぶなど、生産者として消費者との交流を楽しんでいる様子だった。商品を購入したお客からは、「地元産の黒豚があることを初めて知った」「熊農の生徒さんが頑張って育てた豚肉なので、少しでも応援したいと思い購入させていただいた」といった声が聞かれた。

店頭での販売呼びかけの様子

店頭での「彩の国黒豚」販売呼びかけの様子

熊農の生徒の皆さんは、「彩の国黒豚」の飼育について、「体重80〜90kgに成長すると暴れたりするので、豚衡機へ移すのも一苦労した」「夏には当番制で毎日水かけするなど体調管理に気を使った」と振り返るも、「子豚の誕生から最終的に食肉として販売されるまで携わることができ、非常に良い経験をすることができた」と笑顔を見せていた。
 
今回、販売に協力したニュー・クイック熊谷駅ビル店の柿沼洋店長は、「脂が非常においしく、肉質も確りして非常に仕上がりが良い豚肉だった。今回、スペアリブ以外のすべての部位を商品化させていただいた。とくに当店自慢の生ウインナーは好評だった。1日だけの限定販売だったが、今後はフロア挙げて地元産フェアを企画して『彩の国黒豚』を販売するなど、引続き協力したい」と期待感を示した。  
 
〈畜産日報2021年12月13日付〉