食用油業界のコスト環境、新たな売場形成が進む(画像はイメージ)

食用油業界では、歴史的な原料コスト上昇などを受け、2021年から今年にかけて計5回の価格改定を実施した。

4回目までの価格改定は、「着実に新たな価格ステージで市場が形成されている」、「概ね理解された上で着実に進んでいる」という声が聞かれ、各社は5回目の交渉を進めているが、コスト環境は5回目発表時よりもさらに悪化している。世界的に食用油の需要は旺盛で、原料主要産地の天候不順による減産などによる需給ひっ迫、物流費など諸経費の高止まりなど、コスト上昇は更に深刻で、日清オイリオグループは先行して、オリーブ油やごま油などについても価格改定を行った。

ウクライナ情勢による穀物相場の一層の高騰、急激な円安の進行といった新たなコスト上昇要因もあり、他メーカーからも、「菜種・大豆以外の油種を含めて更なる価格改定の必要性が高まりつつあると感じる」、「6回目の価格改定も現実味をおびてきた」と、今後の対応が検討されている。

食用油の2021年4月〜2022年2月までの市場規模(日清オイリオグループ推定)は前年比0.7%減の約1,500億円と、内食率が大幅に高まり過去最大となった2020年度の市場規模をほぼ維持し、前々年比で8.6%増と拡大基調だ。新型コロナ影響の長期化に伴い、内食率の高止まりが続いていることや、計4回にわたる汎用油の価格改定による単価上昇が底支え要因となった。

カテゴリ別では、汎用油のキャノーラ油が3.5%増の407億円と伸長している。一方、オリーブ油は5.0%減の375億円、ごま油が1.5%減の330億円、サプリ的オイルが20.2%減の137億円とった。これらの付加価値油は、20年度の内食率アップに伴う新規ストック需要や情報番組での露出などが一巡したこともあり、減少傾向にあるが、こめ油はキャノーラ油の価格上昇で積極的に販促をかける流通が増えたことなどから25.4%増の115億円と拡大している。

物量面は2020年度の市場拡大の反動で、4〜2月は7.2%減の29万8,000tと減少しているが、2019年比較では3.3%増と堅調に推移している(同)。最大の減少要因は、6割強を占めるキャノーラ油が価格改定によってチラシ回数が減少し、13.9%減の17万2,000tと縮小したことだ。4〜2月にかけてキャノーラ油チラシ店数は20年比で約7割、新型コロナ影響前の2019年比ほぼ半減というデータもあるようだ。

そういった中、次の一手として新たな提案が進められており、日清オイリオグループは家庭用戦略の1つに掲げている「かけるオイルの進化」の取り組みで、新カテゴリとなる「味つけオイル」の創造に注力している。すでに食用油の棚で「味つけオイル」がコーナー化されている流通企業もあり、同社が考案した什器の導入も進んでいるという。

J-オイルミルズは2021年8月に発売した紙パック商品を、この春に「スマートグリーンパック」シリーズとして計6アイテムに拡充した。流通各社の反応も好評といい、取り扱いが少なかった企業でも定番商品としての導入が順調に進んでいるほか、棚1段で品ぞろえしたいという要望も多いとしている。

食用油売場はかつてのキャノーラ油など汎用油を中心としたものから、オリーブ油やごま油、こめ油、アマニ油やえごま油など、幅広い油種が展開されるケースが増えたが、「味付けオイル」という新カテゴリや、紙パックという容器を切り口にした新たな売場が形成されつつある。

〈業務用は2021年度はプラスもコロナ前には戻らず、ユーザーの課題解決を図る提案実施〉
業務用については、日本油脂検査協会が発表した2021年度(2021年4月〜2022年3月)の食用植物油JAS格付実績は4.3%増の34万9,359tで着地した。一方で、2019年度比では14.2%減と、コロナ以前のボリュームには戻っていない。「コロナ禍で、外食、中食、内食の業態が変化し、消費動向が変わってきている」(製油メーカー)と指摘されるように、テイクアウトやデリバリーなどがコロナを機に台頭し、総菜などの中食も堅調に推移している。

各社とも、単に価格改定を求めるだけではなく、ユーザーが抱える悩みや課題の解決を図る提案を積極的に行っている。特にコストを少しでも抑えたいという要望は多く、長持ちする油や生産性向上につながる機能性油脂の提案を進めており、テイクアウトや継続するパック販売に対応し、食感改善や経時劣化抑制する製品の提案も進めている。

〈大豆油糧日報2022年4月27日付〉