フクシマガリレイの陣内伸介執行役員

一般の小売店で売られている冷凍食品や、飲食店で調理から冷凍、販売までを行う半調理品の需要は高まっている。では、冷凍冷蔵機器メーカーからはこの変化はどう見えているのか。フクシマガリレイの陣内伸介執行役員に聞いた。

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――ここ数年、冷凍食品の需要が高まっています。大きく変わり始めたのはいつ頃からだと感じていますか。

2014年に冷凍食品専門店「ピカール」が日本に上陸してから変化し始めたと感じている。かつての日本の冷凍食品は、食感が悪い、水っぽいなど品質に問題があった。そのため、ヨーロッパでは冷凍食品だけで家庭の食事を作れていた頃に、日本の冷凍食品はネガティブな印象だった。しかし「ピカール」の登場以降、冷凍食品は見直され始めて、技術は高まり、販売も伸長し始めた。

顕著に伸びたのは、20年の新型コロナウイルスのまん延だ。家庭で過ごす時間が増える中、冷凍食品の価値は大きく見直されたのでは。当社でも飲食店などへの販売は減少したが、市販市場向けの製品は伸長した。近年では、ものづくり補助金などで凍結機器の購入ハードルが下がったこともあり、飲食店による市販市場への新規参入が増えている。

――確かに多くの飲食店で販売しているところを見かけます。なぜ増えたと思いますか。

キーワードは非対面での販売です。ひとつは冷凍自販機、もう一つは餃子などの無人販売だ。冷凍自販機は店舗の営業時間外でも販売できる点などが支持されている。この冷凍自販機を導入する際に、冷凍機器と真空包装機を同時に購入するところもある。

餃子の無人販売は、「餃子の雪松」の成功以降、様々な企業が参入した。こうした所からも凍結機の引き合いはある。

――現在凍結に使われている機器はどのようなものがありますか。

凍結機器で多く出回っているのは中型以上の機械で、冷風による急速冷却や冷凍を行えるものだ。現在販売されている機器は、粗熱を取るための「ブラストチラー機能」と、凍らせるための「ショックフリーザー機能」を備えている。アルコール凍結機も冷凍スピードの速さから注目を集め始めているが、市場全体の台数的にはまだそこまで多くない。

――冷風とアルコール凍結、それぞれのメリットとデメリットをお聞かせください。

ブラストチラー/ショックフリーザーの場合、加熱した食品をそのまま冷やせるため、手間がかからない。作業時間の短縮にもつながっている。また、菌の繁殖温度帯(約10〜60℃)を短時間で通過させられるため、菌の繁殖を防げる。飲食店やスーパー、病院、食品工場など幅広い場面で使われている。

欠点としては、アルコール凍結に比べて凍らせるまでの時間がかかってしまう点だ。アルコール凍結の場合は、食材への熱伝導率が高く、凍結のむらなく凍らせられる。最近では大型機種だけでなく小型機器の需要も高まっている。

欠点は、食材のまま入れるとアルコールの匂いがついてしまうため袋詰めが絶対に必要になる。もしも凍結中に袋が破れてしまうと、食材は売り物にならなくなってしまうというリスクもある。また、中の液体を定期的に入れ替えるなどランニングコストが高くなるというマイナス点もある。

――需要が高まっている中で、フクシマガリレイではどのような提案を行っていますか。

取引先向けにセミナーを実施し、最適な冷凍方法や機材の使い方などをレクチャーしている。せっかく機器を購入したのに、適切な使い方が分からず活用しきれていない方もいるため、少しでも役に立てばと様々な情報を発信している。コロナ禍では実施回数を抑えていたが、今後は少しずつ回復させていく。

ニーズに合った提案を総合的に行い、凍結機ならばガリレイと言われるぐらいになれればと思う。

――今後、冷凍の需要はどうなると思いますか。

まだまだ伸びると考えている。ヨーロッパなどと比べてもまだまだ成長の余地を残しているのでは。また、2021年からHACCP対応が制度化されたため、今後はより食品衛生に求められる基準は厳格になる。その際に凍結機を活用するところはより増えるのでは。冷凍食品専門店も今後さらに増える可能性がある。海外の冷凍食品需要から考えても、日本の市場にはまだ伸びしろがある。我々も需要に合った提案と適切なフォローで市場と共に成長できればと思う。

【フクシマガリレイ 陣内伸介執行役員 略歴】じんない・しんすけ。1970年生まれ、福岡市出身。1994年、甲南大学卒業後、福島工業(現フクシマガリレイ)に入社。2020年4月に中部支社長(名古屋)から東京に異動になりFS(フードサービス)事業責任者に就任。

〈冷食日報2022年5月19日付〉