山形工場で製造されている「冷やし中華」/ニチレイフーズ

ニチレイフーズがパーソナルユース(個人向け)需要へ対応する生産拠点として2022年2月、山形工場に新たに冷凍食品の生産ラインを設置した。その第1弾商品となったのが今春の家庭用冷食の新商品である「冷やし中華」だ。

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レンジ加熱するだけで冷たい冷やし中華が完成するという技術に世の中が驚いた。しかし山形工場は個食麺だけのための工場ではない。竹永雅彦社長は「実現したかったのはパーソナルユースの商品づくり。麺はその一部」と強調している。

ニチレイフーズは6月9日、メディアに山形工場の「冷やし中華」の製造工程の一部を公開した。

山形工場はレトルトカレー・スープなど常温品の生産工場だったが、第1工場の設備を第2工場に集約し、空いたスペースに冷食の生産設備を入れた。新たに製麺機を導入、焼き工程やソース窯も備える。

生産統括部長を務める中野泰寿取締役専務執行役員は「今後はうどんやパスタなどその他の麺メニューの可能性を探求していくが、冷食ラインは麺メニュー専用ではない。様々な具材、おかずを生産できる工程も備えている。今後、パーソナルユース需要に向けた商品を様々構想している」と話す。

「冷やし中華」では錦糸卵と紅ショウガ、特注のたれは外部から仕入れているが、麺と煮豚は工場内で製造、オクラは自社調達品となっている。

今回の内覧会では2022年秋発売予定の家庭用新商品として「つけ麺」を披露したほか、業務用の試作品として、トレー入りの副菜入りハンバーグを紹介した。ハンバーグの下に敷いたパスタは山形工場で製造したもの、ハンバーグは関西工場の製品を組み合わせた商品だ。 業務用の試作品として紹介したトレー入りの副菜入りハンバーグ/ニチレイフーズ山形工場

業務用の試作品として紹介したトレー入りの副菜入りハンバーグ/ニチレイフーズ

中野専務は「すべてを山形工場で作るのではなく、アッセンブル(集約)しながら山形工場の特色のある素材を組み合わせて一つの商品に仕上げる形になっていくのではないか」と話した。これはライン構成にもあらわれている。
 
「冷やし中華」の製造工程において特徴的だったのは、具材のセットを人手で行っている点だ。具材をセットするラインには麺の入ったトレーがコンベアで運ばれ、まず麺を片側に寄せて具材をのせる内トレーを置く人、次に紅ショウガ、錦糸卵、煮豚、オクラ、氷――と各具材を置く人を配置し、流れ作業で詰め込む。
 
中野専務は自動化もできる部分に関しては検討するとしながらも「自動化はフレキシブル(柔軟な対応)と相反する」と述べている。人手を費やすことで、様々な素材を組み合わせた商品をつくっていくのが、この工場の特徴といえそうだ。
 
なお「冷やし中華」は現在、日産(1日あたりの生産量)10トンだが、生産量はまだ増やせるという。また従業員は冷凍ラインを敷いたことで、従来の300人弱から350人に増やした。
 
〈電力CO2排出量ゼロ、プラバンド削減も〉
環境対応にも力を入れている。山形工場では2022年2月から、工場内で使用する電力を県内の水力発電所からの「よりそう、再エネ電気」に全量置き換えた。これにより山形工場全体でCO2を年間2,000トン削減し、使用電力によるCO2排出量ゼロを実現した。
 
今年度中には工場内の冷凍冷蔵倉庫の屋根に太陽光パネルを設置予定だ。
 
フロン対応としてニチレイフーズでは2030年までに国内自営投資工場のフリーザーを100%自然冷媒に切り替える計画だ(現状70%達成)。山形工場はもちろん自然冷媒設備を導入しているが設置には環境省の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」を活用した。
 
また同社では商品の梱包に使用するプラスチックバンドを順次廃止していく予定だが、「冷やし中華」ではいち早くバンドを使用せずに単箱での出荷を行っている。
 
内覧会に出席した竹永社長は「山形工場で実現したかったのはパーソナルユースの商品づくりだ。家庭用では技術を導入して、あっと驚く商品を作っていくが、業務用にはパーソナルユースに最大のチャンスがある。人手不足、また老健・福祉施設にはバックヤードが狭いなどの課題がある。個食市場の可能性は大きく、冷凍食品の出番だ」と語った。

ニチレイフーズ 竹永社長

ニチレイフーズ 竹永社長

〈冷食日報2022年6月13日付〉