「本格炒め炒飯」ギネス世界記録認定パッケージ

ニチレイフーズの家庭用事業では2021年度も順調に売上げを伸ばした。

好調な市場環境が背景にあるが、新型コロナウイルスの影響でタイ産チキンの供給が一時滞る事態に見舞われながらも、「本格炒め炒飯」発売20周年の一連の販促施策の寄与などもあり、事業成長を継続させた。

2022年度、同社は新たに「パーソナルユース」をキーワードとして市場活性化を図ろうとしている。同社家庭用事業における2021年度の概況と2022年度の計画について、家庭用事業部長を務める宮川浩幸執行役員に話を聞いた。 ニチレイフーズ・宮川浩幸執行役員

ニチレイフーズ・宮川浩幸執行役員

〈「本格炒め炒飯」20周年で積極拡販〉
――2021年度の家庭用の概況について
 
2021年度の家庭用冷凍食品市場は前年比5%増だった。2020年度はコロナ禍における巣ごもり需要で内食市場が盛り上がったが、それを上回り好調に推移した。利用者のすそ野が確実に広がっている。
 
当社の家庭用調理品は市場水準を上回る着地となった。米飯、弁当、スナック類が市場水準を上回り、新商品も好調に推移した。
 
米飯類は2桁増と非常に好調だった。「本格炒め炒飯」「えびピラフ」「五目炒飯」などが全体を牽引した。
 
2021年12月に発売した3種おにぎりの「じゃこ焼おにぎり」もテレワークなどの新しい生活様式に合致したと捉えている。春の新商品に先行して2月に発売した「黒醤油炒飯」も高評価だ。適切なタイミングで投入したことが効果的だったと思う。
 
おかず類は前年売上を下回った。タイで生産する主力のチキンが、現地のコロナ影響によって供給面の制約を受け、一部商品の休売などを行った影響だ。ただし直近では従業員も確保し、安定供給できる状態まで回復している。
 
スナック類は今川焼が2桁以上伸びた。在宅時の軽食・おやつとして評価されている。テレビドラマでの露出も追い風となった。
 
弁当は市場が前年割れだったものの、当社は前年を上回った。定番品のリニューアルとともに新商品を毎季投入し、消費者キャンペーンで店頭販促にもしっかり取り組んだ。縮小傾向が続くカテゴリーとはいえ、冷食市場の構成比で20%前後を占める。テコ入れは必要だ。
 
21年度は「モッツァレラチーズとトマトの包み揚げ」「完熟トマトソースのチキンカツ」などが好調だった。
 
冷凍野菜は苦戦した。世界的なコンテナ不足など物流面での影響により、供給面に課題があった。今後も逐次状況を把握し、柔軟に対応していく。
 
――「本格炒め炒飯」が前期20周年を迎えた
 
「本格炒め炒飯」では発売20周年で、積極的な拡販ができ、前年比2桁増の着地となった。昨年度は“新・三段階炒め製法”による品質改良を行い、新しいテレビCMをはじめ各種プロモーション施策を展開した。
 
「最大の冷凍炒飯ブランド(対象年度:2020年)」としてギネス世界記録に認定されたことも追い風になり伸びが続いた。ギネス認定を発表した8月は単月で過去最高の出荷数を記録した。(=写真:ギネス世界記録認定パッケージ)
 
――冷食メーカーとして、いち早く価格改定した
 
家庭用では昨年11月に一部調理品、今年3月に農産品の価格改定を行い、先ごろ8月の価格改定を発表したところだ。
 
一連の価格改定には、世界的な食料需要の増加に加え、海上運賃や動燃費の上昇、為替など様々な要因が重なっている。不安定な世界情勢等を背景に、原材料価格の高騰が続いており、各種自助努力によるコスト吸収の限度を超え、品質と価格を維持して安定供給することが困難であることから価格改定を判断した。
 
〈ニーズの変化に期中発売も必要〉
――2022年度の見通しについて 
 
22年度はコロナ禍による内食需要の伸びがどこかで止まるだろうが、家庭用の市場規模は21年度を上回ると見ている。 
 
様々なものの価格改定による生活者の買い控えの影響も一部出てくるだろう。ただ、他業態からの新規参入の増加やセカンド冷蔵庫の販売が伸びている状況からも、家庭用冷凍食品への期待値は高まっているといえる。使用ユーザーも単身や共働き世帯に加え、シニア層など新しい層の増加が顕著で、流通各社も冷凍食品売り場を拡大していることから、購入者の間口は着実に拡大していくと見込んでいる。 
 
当社は「日本の食卓へ、冷凍食品の出来ること」というテーマをもっている。新常態の生活様式において、パーソナルユース需要、消費満足度の高さ、健康的価値――の3つの方向性から商品を提案していきたい。 
 
また昨今、目まぐるしく生活者のニーズが変化している。新商品は春秋の2回にこだわらず、早期発売や期中発売が、スピード感のある市場変化への対応として必要と考えている。 
 
重点施策はこれまで通り、力強いカテゴリー政策の推進と新規需要創造への挑戦の2本柱だ。前者では戦略カテゴリーである米飯、チキン、冷凍野菜に注力する。後者の新規需要創造では、これから伸びていくパーソナルユース需要をとらえて市場の活性化を図りたい。 
 
今春発売した「冷やし中華」はメディア露出が高かったこともあり、想定以上の配荷を獲得した。回転も順調だが、夏に向けてこれからが本番だ。冷凍食品売場にこれまでなかった商品なので、新しいお客様を売り場に誘引できる商品になってくれることを期待している。 
 
パーソナルユース需要に向けては引き続き商品を投入していきたい。 
 
今川焼は今春「抹茶クリーム」と「クリームチーズはちみつ入り」の2品を新発売した。需要の高まりに対応して、長崎工場にラインを新設し、グループ会社のキューレイ(福岡)との2工場体制となったが、需要はそれ以上に好調だ。 
 
〈本格炒め炒飯・特からの次の商品〉
――新中計のなかで実現したいことについて 
 
力強いカテゴリー政策の推進というのは、カテゴリーで圧倒的ナンバー1の商品をどのように作っていくかということだと思う。「本格炒め炒飯」「特から」の次の商品を育て上げたい。パーソナルユース需要は一つのキーになると考えている。 
 
もう一つは環境対応だ。パッケージ、トレーを薄くし、トレーレス、バンドレスなどのプラスチック削減に取り組んでいく。 
 
この3年間においても、市場の底上げに貢献できるように努めたい。
 
〈冷食日報2022年6月29日付〉