写真新多摩川ハイムの住民が制作した「ハイム蝶百科図鑑」
 川崎市多摩区中野島の「蝶(ちょう)博士」と呼ばれる2人が、近隣の生田緑地や多摩川土手などで見られるチョウの情報をウェブサイト「ハイム蝶百科図鑑」にまとめた。撮りためてきたチョウの写真や出会える場所、時期などを解説しており、「本格的な図鑑のレベルと自負している。夏休みの自由研究などに活用して」と語る。

熱い思いが伝わる、日々の観察記録

 「苦節20年、やっと撮れたウラゴマダラシジミ!夢見心地でシャッターを切りました」「まさかハイムでこの蝶に出会えるとは思っていませんでした、サトキマダラヒカゲです」
 蝶図鑑には日々の観察記録が投稿されており、身近にある自然の豊かさや季節感とともに、「チョウの魅力を知って」という熱意がびんびん伝わってくる。
写真生田緑地で撮影されたミドリシジミ。6月上旬の限られた時期に見られる(松村さん提供)

国内で見られる種の3分の1を掲載

 手掛けたのは、JR中野島駅近くの大規模マンション、新多摩川ハイムに住む松村隆太郎さん(67)と宮川直遠(なおとお)さん(68)。チョウを追う相棒として、生田緑地を「庭」、多摩川土手を「裏庭」に見立てて、ハイム近隣で見られるチョウを2人で記録してきた。
写真「蝶博士」として、身近にある自然の魅力を伝える松村さん(左)と宮川さん
 「中学時代、友人宅で見たチョウの標本の美しさに衝撃を受けたんです。たいがい、高校や大学で“卒業”するんだけども…」と松村さん。昆虫少年だった宮川さんは「はねを開くと、逆さの『八』の字が見えるサカハチチョウとか、どれも特徴があって面白いんだ」と語る。
 蝶図鑑は、ハイム住民向け情報共有サイト「ハイムのひろば」の姉妹サイトとして、5月に開設された。掲載しているのは85種で、国内で見られる種類のおよそ3分の1に当たるという。ほかに、チョウとガの違いといった豆知識や、博士が質問に答えるコーナーもある。
写真多摩川土手で撮影されたキタキチョウ。春から秋にかけて見られる

ピンボケもある手作り感が魅力

 制作に携わったウェブデザイナー西敏(にしとし)さんは「蝶博士の2人がすべて撮影し、記録した手作り感が最大の特徴」と説明。「ピンボケなどの場合もある。けれども、2人はあきらめずに何度も撮り直し、そのたびに差し替えている」とも。
 ハイムは入居開始から30年余が経過し、約780世帯、2000人超の住民は、60〜70代を中心に高齢化しているという。
 ハイムのひろばを運営する山根昭郎(あきお)さん(67)は、若い世代に発信する新たなツールとして蝶図鑑に着目し、「世代間の縦のつながりを育む取り組みにつなげたい」と話している。
[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年7月25日]