動画投稿サイト「ユーチューブ」をはじめとするインターネット動画が子どもに人気だ。将来就きたい職業にユーチューバーが挙がるなど子どもにとっては身近だが、親からは「だらだら見続ける」「何を見ているか分からない」と戸惑いの声も上がる。視聴者の低年齢化も問題となる中、ネット動画とどう向き合えばいいのだろうか。 

インターネット動画を見る子ども


未就学児の6割以上がネット使用


 「また見てる」。静岡県袋井市に住む女性(42)はため息をついた。2歳の長男は、電車の動画が大好き。普段はなるべく見せないようにしているが、近所に住む祖父が来ると、せがんで1時間以上見続ける。「昼寝の時間がずれ、動画に夢中でご飯も食べなくなる」と不満を漏らす。

 携帯電話会社や教育関係者、利用者でつくる「安心ネットづくり促進協議会」(東京)は2015〜16年、ゼロ歳〜小学3年の保護者1184人を対象にネットの利用状況を調査した。その結果、未就学児の保護者の64%が、スマートフォンやパソコンなど何らかの方法でネットを使わせていると回答。使用の目的としては、複数回答で動画の視聴が7割近くを占め、低年齢化が進んでいることが浮き彫りになった。

気付かずに残酷な映像見てしまうことも

 調査に関わった相模女子大子ども教育学科准教授の七海陽さんは「ネット動画は、中身が安全という保証がない」と指摘する。例えば、テレビ番組は放送までにさまざまな立場の人が携わり、内容も放送法などで制限される。しかし、ネット動画は投稿者のモラルに頼るしかない。

 100万人以上の登録者を抱えるチャンネルも多いユーチューブの場合、子どもが見る動画は1つ10分前後と短いことが多い。ただ、関連する動画の内容を紹介する画像が次々に出てきて簡単に開けるため、「親が気付かないうちに残酷な映像を見てしまうこともある」と警鐘を鳴らす。

 ネット動画の子どもの発達への影響について、科学的根拠のある研究はまだない。国内で指標とされるのは、米国小児学会が16年に発表した提言だ。保護者への聞き取りを基に、視聴時間と言葉の発達の関連を明らかにする中で、2〜5歳児が発達に必要な遊びや睡眠などの時間を確保するには、1日1時間以下の視聴が望ましいとした。

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時間や動画の種類制限できる機能も

 七海さんが注意点として挙げるのは「勝手にスマホなどの端末を使わせず、なるべく親子で見ること」。睡眠時間を奪わないよう、夕飯後の時間帯は避けることも大事だ。利用時間は30分、1時間など本人が守れる長さにするのがポイント。約束が守れたら褒めてやる気を引き出すといい。

 子どもの使う端末を管理する機能「ペアレンタルコントロール」を利用するのも手だ。時間や、使える動画アプリの種類を制限できる。IT機器に詳しいフリーライターの中野友希さんは「まずは無料のサービスを試し、効果を見極めて」と話す。

「良質な動画必要」テレビ局も番組づくり

 テレビ局の中にも親の不安を見据えた動きがある。テレビ東京は、12月に5回放送する乳幼児向け番組「シナぷしゅ」を、ユーチューブでも配信する。6月に育休から復帰したプロデューサー飯田佳奈子さん(31)は、1歳5カ月の息子を育てる中で「良質な動画の必要性を感じた」と話す。赤ちゃんの認知能力の発達などを研究しようと、東京大で赤ちゃんラボを運営する開一夫教授に監修を依頼。ダンスなどからなる番組は1本25分だ。飽きないよう、2分以内の短いコーナーをつなげる。

 七海さんは「大事なのは親の意識」と強調。「手本になれるよう、子どもの前でだらだら見続けることはやめてほしい」

[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年11月29日]