2019年は子どもにとってどんな1年だったでしょうか。親による子どもへの体罰を禁止する法律が成立したり、理不尽な校則を見直そうという声が各地で広がったりするなど、子どもの環境をより良くしようという動きがあった一方、虐待や事故で犠牲になった命も少なくありませんでした。今年1年の子どもにかかわりの深いさまざまなニュースや出来事を振り返ります。(子どもをめぐる1年を振り返り、荻上チキさんにインタビューした記事はこちらです)

子連れの交通利用についての議論も活発だった2019年。都営大江戸線には子育て応援スペースができた=7月30日、都営地下鉄・清澄白河駅で(木口慎子撮影)


1〜4月 小4女児が虐待死

1月 ・千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さんが、両親から虐待され死亡→記事はこちら
・人気アイドルグループ「嵐」が2020年末での活動休止を発表
2月 ・東京都内の母親らが子連れや子どもの電車利用についてアンケート。「子どもにとって危険と感じることがある」は9割に→記事はこちら
3月 ・いわゆる「キラキラネーム」だった山梨県の男子高校生が家裁に改名を許可される。「王子様」から「肇」さんに
・東京都が教員向け「性教育の手引」を改訂。避妊や中絶など学習指導要領を超える内容も明記→記事はこちら
4月 ・10歳の仲邑菫(なかむら・すみれ)さんが囲碁の最年少プロ棋士に。7月にプロ公式戦初勝利
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プロ公式戦初勝利を挙げ、笑顔を見せる仲邑菫初段


<2019年は国連「子どもの権利条約」採択から30年>
 子どもの権利条約が1989年11月20日に国連で採択され今年は30年の節目でした。条約は、子どもは大人の所有物ではなく「権利をもつ主体」とし、「生きる」「健やかに育つ」「危険から守られる」「社会に参加する」という権利の4本柱を実現するよう各国に要請しています。

 日本は1994年に批准しましたが、国連の委員会から今年2月、差別禁止や子どもの意見の尊重、体罰禁止などができていないとし緊急措置を取るよう勧告されました。子ども自身が被害を訴え出られる救済機関の設置も求められています。

5〜8月 「体罰禁止」が法制化

5月 ・大津市で散歩中の保育園児らの列に車が突っ込み、16人が死傷
・テレビゲームなどのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」を、世界保健機関(WHO)が治療の必要な依存症として疾病に分類→記事はこちら
・通学バスを待っていた川崎市の私立カリタス小学校の児童と保護者計20人が、男に刺され死傷。男は自殺→記事はこちら
6月 ・改正児童虐待防止法などが成立し、親による子どもへの体罰が禁止に→記事はこちら
7月 ・「企業主導型保育事業」で国の助成金をだまし取ったとして福岡市の経営者らを逮捕。助成金の審査・確認のずさんさ露呈→記事はこちら 
8月 ・理不尽な学校の「ブラック校則」根絶を目指すグループが6万人の署名を文部科学省に提出→記事はこちら 
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大津市の保育園児が犠牲となった現場


<児童虐待、いじめが最多・・・子どもに関わる数字は?> 

 児童虐待やいじめの対応・認知件数、不登校の小中学生の人数はいずれも最多でした。保育園に入れない待機児童数は減っているものの、集計から除外された「潜在的な待機児童」は2015年からの5年間で最も多くなりました。学童保育の待機児童も増えています。

▽児童相談所の虐待対応件数<最多> 15万9850件(2018年度の速報値)
▽保育所の待機児童数<最少> 1万6772人(2019年4月1日)
▽潜在的な待機児童数<最多> 7万3927人(2019年4月1日)
▽学童保育の待機児童<最多> 1万8261人(2019年5月1日)
▽小中高校などのいじめ認知件数<最多> 54万3933件(2018年度)
▽不登校の小中学生<最多> 16万4528人(2018年度)
※数値は厚生労働省、文部科学省が発表したもの

<タピオカドリンク 中高生を中心に大ブーム>
 もちもちした食感が特徴のタピオカ入りドリンクが中高生を中心に大流行し、これを飲むことを指す「タピる」も新語・流行語大賞のトップテンに選ばれるなど、話題になりました。

 数年前から黒い大粒のタピオカ入りミルクティーの本場、台湾の専門店が日本に出店。会員制交流サイト(SNS)で「映(ば)える」と若者が写真や動画を拡散し、今年、爆発的なヒットにつながったようです。

 ただ、プラスチック製容器のポイ捨て問題も。乳幼児がのどに詰まらせる可能性も指摘され、飲料メーカーが注意を促しています。→記事はこちら

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黒い大粒のタピオカ入りドリンクが2019年、中高生を中心に大流行した


9〜12月 幼保無償化スタート

9月 ・スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが国連「気候行動サミット」でスピーチし、注目が集まる。世界各地で若者によるデモも
・不就学の可能性がある外国籍の子どもが約2万人いることが、文科省の初の全国調査で判明→記事はこちら
10月 ・幼児教育・保育の無償化がスタート。待機児童問題や保育の質の悪化への懸念も。11月には財源不足も指摘された→記事はこちら
11月 ・2021年1月から始まる大学入学共通テストへの英語民間検定試験の導入が延期に。12月には国語・数学の記述式問題導入も見送りが決定
・大阪市の小学6年女児がSNSを通じて男に誘拐され、栃木県内で保護
・日本高野連が投手1人の1週間の総投球数を500球以内とする制限の実施を決定。来春の「センバツ」から3年間試行
・貧困家庭の子どもの支援方針をまとめた「子どもの貧困対策大綱」を閣議決定→記事はこちら
12月 ・2019年に生まれた赤ちゃんの数が86万4000人の見通し。初の90万人割れで過去最少が確実に
デジタル機器が普及し、SNSを使って事件や事故に巻き込まれる子どもも

デジタル機器が普及し、SNSが子どもにも身近になっている


<SNSを使った誘拐相次ぐ>
 SNSをきっかけに小中学生が誘拐される事件が相次ぎました。11月、大阪市の小学6年女児がツイッターで知り合った栃木県小山市内の男(35)とやりとりするうちに誘い出されました。女児は自力で男の自宅から逃げて交番に駆け込み保護され、男は逮捕、起訴されました。その後、都内や埼玉県内でも同様の事件が発覚しました。→記事はこちら

 事件を踏まえ、総務省はネット事業者でつくる「青少年ネット利用環境整備協議会」に、子どもたちが安全にネットを利用できるための措置を要請しました。

 この1年、あなたの印象に残った子どもをめぐるニュースは何でしたか? 来年は子どもたちの環境がより良くなり、笑顔がもっと広がる年になりますように―。