新型コロナウイルス感染拡大で休校が長期化した影響で、来春の大学受験を控えた高校3年生から「入試はどうなるのか」と不安の声が上がっている。休校中のオンライン授業には学校ごとに差があり、緊急事態宣言が解除された地域を中心に学校再開に向けた動きが進む中、来年1月にはセンター試験に代わる大学入学共通テストが初めて実施される予定で、受験生の不安に拍車を掛けている。

休校が続き、自宅で英語の勉強を続ける私立高3年の男子生徒=本人提供


オンライン対応に学校間格差「学力差が広がっちゃう」

 「ちゃんと家で勉強できる人と、できない人とで学力の差がどんどん広がっちゃう」。私大理系を目指す都立高3年の女子生徒(17)は焦りを感じている。

 自身が通う高校では、オンライン授業は行われていない。民間の学習アプリ「クラッシー」で先生と課題やテストをやりとりするが、アプリ運営会社のシステムの不具合で課題などを受け取れないことも。代わりに塾が配信する授業動画で勉強を続けている。「学校再開の早い地方の子が有利になるのかなと思ってしまう」と漏らす。

 大学入学共通テストは、英語民間試験と国語・数学の記述式問題の導入が見送られ、文部科学省の検討委員会が、新たな入試の在り方を議論している。新型コロナ対策の議論の過程では9月入学案も浮上。「大学入試改革に続いて、これ以上、自分たちの学年を『お試し』にしないでほしい」と訴える。

 都内の私立高3年の男子生徒(17)は、4月からビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」で双方向のオンライン授業を受けている。午前9時台から多い日で6コマの授業がある。先生や友だちと画面上で顔を合わせることができ、授業の質問もできる。

休校要請したのは国なのに、受験生の不安を放置するのか

 英語の教員志望で、内部推薦や海外留学、他大受験も視野に入れる。ただ、3月の休校で2年の3学期は期末試験がなく、今後もオンラインやリポート課題などでどう評価されるのか不安は残る。「受験生の不安を、休校要請した国が放置しているのは無責任だ」と感じている。

 国公立大文系への進学を目指す都内に住む通信制高校3年の女子生徒(17)は「この混乱した中で、初めての共通テストを受けるのは厳しい」と不安を隠せない。具体的な受験の内容を「遅くても夏休み前までには示してほしい」と訴える。

 文科省は、来春の大学の一般入試について、学習の遅れや格差への具体的な対応案をまだ各大学に示していない。文科省の4月中旬の調査では、家庭学習で同時双方向型のオンライン指導を実施するとしたのは、全国の教育委員会のうち5%のみ。その後も情報セキュリティーや家庭の通信環境といった課題を理由に、導入が遅れている。

教員も苦言「日程や出題範囲の方針、早く示して」

 文科省によると、青森、岩手、鳥取、鹿児島、佐賀県などで既に学校が再開。このほか、緊急事態宣言の一部解除を受け、再開を前倒しする自治体がある一方、感染者の多い自治体などで休校が長引いている。

 都内の私立高で3年生のクラス担任の男性教員(36)は「入試が通常の日程で行われるのか。その範囲を学習できるのか。大枠の方針を早く示してほしい」。別の私立高の女性教員(39)も「共通テストがどういう形になるのか。受験生は不安を抱えている」と訴える。

 名古屋大大学院の内田良准教授(教育社会学)は「出題範囲を絞るなどの対応策を生徒たちにできるだけ早く伝え、不安解消に努める必要がある」と話す。

[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年5月18日]