学生への後期の学費支援を訴える(左から)大内教授、神津会長ら=12日、文部科学省で


 新型コロナウイルスの影響でアルバイトや親の収入が減り、大学の後期の学費の支払いが困難な学生を支援する必要があるとして、奨学金問題などに取り組む中京大の大内裕和教授(教育社会学)らが12日、東京・霞が関の文部科学省で記者会見し、国の学生支援緊急給付金や給付型奨学金の拡充などを訴えた。 

4月スタートの新制度は中間所得層への支援が不十分

 大内教授は、学生のアルバイト収入はなお減少傾向で、学費や生活費の負担が増していると指摘。「母が無職になり、急きょ自分で学費を払うことになった。払えないと退学になってしまう」などの声を紹介し、学費の延納や分納、国の支援充実を訴えた。

 国の学生支援緊急給付金の対象は学生全体の11%にとどまり、4月に始まった国の新たな修学支援制度は中間所得層への支援が不十分と指摘。中退者数を半年ごとに調査し、現状や施策の検証に生かすことも求めた。

 会見には、労働団体などが加盟する労働者福祉中央協議会(中央労福協)の神津里季生会長らが同席し、「学生を取り巻く状況は一段と厳しくなっている」と強調した。中央労福協は9日、学費と奨学金への支援を求める要請文を文科省に提出。11月6日には奨学金に関する全国一斉無料電話相談=電話(0120)602911=を行う。

東京都内の区市で独自の奨学金 リモート授業の機器購入も考慮

 新型コロナの影響が続く中、保護者が減収になったり、自身のアルバイト収入が減ったりした学生のため、東京都内の区市で独自に返済不要の奨学金や支援金を支給する動きが広がっている。

 港区は来年4月、保護者が区内に住む大学生や大学進学予定者らを対象に、返済不要な給付型の奨学金制度を新設する。

 国の給付型奨学金制度は、世帯年収380万円以下の世帯が支給対象で、最大142万円。港区は年収380万円以下であれば、授業料の減免と合わせ一律142万円相当になるよう差額を上乗せする。年収約380万円以上の世帯でも、約480万円以下までならば最大94万円が支給される。

 大田区も本年度内に臨時の奨学金を支給する。貸し付け型の区の奨学金を受ける人が対象で、進学予定者が15万円、在学中の大学生が5万円。八王子市は、市内在住や出身の大学生らに支援金として10万円を支給する。申請を10月下旬まで受け付けている。

 各自治体が支援に乗り出したのは、減収世帯が増えるとみられる一方、大学や専門学校がリモート授業を増やし、機器購入や通信費が負担となることを考慮した。八王子市の担当者は「安心して学生生活が送れるよう支援をしていく」と話している。

[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年10月13日]