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タイヤによじ登って遊ぶ、うーちゃん(左)とぽんこちゃん


惨殺…怖がりの長男には無理だ

 保育園で「鬼滅の刃」がブームです。ちょっと前にはやった時に、6歳の養子のうーちゃんが見たいと言い出したので、子どもが見てもよいものかチェックしてみました。すると冒頭でいきなり家族が鬼に惨殺される場面があり、「怖がりのうーちゃんには絶対に無理だ」と判断して見せていませんでした。

 ピクサーのアニメでも、少し暗い場面や悪者が出てくる場面で怖がって顔を伏せるほど臆病者のうーちゃんです。「鬼滅の刃」はとにかく鬼が怖いので、夜眠れなくなったり、おねしょをしたりしたら本人もつらいと思うのです。

 しかし、今回のブームは前回よりさらに強烈で、保育園のハロウィーンでは「鬼滅の刃」の衣装を作ってコスプレをしたそうです。

 「ぜんしゅうちゅう、みずのかた、みなもぎり!」

 見たこともないのに主人公の技の掛け声を叫んで遊んでいる姿は、けなげでかわいそうになります。掛け声に合わせておもちゃの刀を振り、2歳の里子のぽんこちゃんの手に当てて泣かせています。

けなげな炭治郎の戦いに、涙が…

 どうやら保育園のお友達は、特に年上のきょうだいのいる子は見ているようです。果たして、見せても大丈夫なのでしょうか。確かめるために、改めて前回の続きを見てみました。すると、主人公の炭治郎(たんじろう)がすごく頑張り屋で、鬼になってしまった妹の禰豆子(ねずこ)を必死で守ります。倒した鬼にまで同情して涙するほどの温かい人柄に感動して、大好きになってしまいました。

 とりわけ、大けがを負って痛みに耐えながら敵と戦う時に「俺は長男だから耐えることができる」と自分を鼓舞する場面はあまりにけなげで涙が出ます。あっという間に1人で全26話を見終え、こっそり映画も見てきました。

 「ぜんしゅうちゅう、みずのかた、みなもぎり!」

 うーちゃん違うぞ。「全集中、水の呼吸、壱ノ型、水面斬り」だぞ。アニメを見たことのないうーちゃんがデタラメな掛け声で遊んでいる様子を横で見ながら、間違いを指摘したくてうずうずします。

 うーちゃんに見せたら、炭治郎のように努力する尊さや、妹を大切にかわいがることを学んでくれるでしょうか。炭治郎のように温かい人柄になってくれたらどんなに素晴らしいでしょう。テーマも素晴らしいし、難しい漢字に興味を持ってくれたらいいなとも思います。ただ、本当に怖くて心が傷つかないかが心配です。(漫画家)