新型コロナウイルスの影響でオンライン(遠隔)授業を続けてきた大学が昨年末以降、新年度の授業方針を相次いで公表している。緊急事態宣言が続く首都圏の1都3県にある大学数十校について東京新聞が調べたところ、多くが対面中心への転換を目指しながらも、遠隔との目標割合を設定するなど、慎重さがにじむ。学生らに早く方針を示す必要がある一方で、感染状況が見通せないため、判断にばらつきが出ている。


1都3県、数十校の方針を調査

 「原則として遠隔授業を中心とする。一部では対面授業を行い、その数を増やしていくことを目指す」。日本大文理学部は1都3県に緊急事態宣言が再発令された後の1月30日、新年度前学期の方針をホームページで公表した。

 宣言が解除されたとしても状況が改善する見通しはなく、ワクチン接種も効果は分からず普及に時間がかかると判断。対面の必要性が高い実験や卒業研究などを除き、遠隔中心の方針を維持した。同学部は「デジタル空間の中で学生同士、学生と教職員が自由に話し合い、協働していく場所を確保する」と説明する。

 一方、対面に積極的なのが明治大。同29日に「対面授業を中心に、通学を前提とした授業運営を行うべく引き続き準備を進める」と公表した。

 対面割合の目標を掲げる大学の一つが早稲田大。「新年度以降、対面が7割となることを目指して準備している」と同12日に公表した。

 1月上旬に緊急事態宣言が再発令される前に方針を公表し、状況の推移を見る大学もある。東京大は昨年11月25日に「対面・オンライン・併用の各授業形態の良さを生かしながら実施する」としている。

「対面」打ち出した大学が人気

 再発令後に方針を公表した大学を含め、対面と遠隔の両立を念頭に準備を進め、感染状況が悪化した場合は遠隔中心を検討するというのが大きな流れのようだ。

 これまでは大学の授業を遠隔にしても、寮生活や部活などで感染が広がるケースが目立った。文部科学省は1月以降、合宿や他校との練習試合を一時的に制限し、懇親会を自粛することなどを大学側に要請している。

 教育情報会社「大学通信」の安田賢治常務は「昨年のうちから対面授業を積極的に打ち出した大学は人気を集め、受験生へのアピールになっている」と指摘する。「オンライン授業は良い面もあるが、大学生になった実感を持てず、友達もできない。大学はクラスター(感染者集団)を発生させないよう、判断に悩んでいると思うが、工夫を重ねて学生本位で対応を決めてほしい」と求めている。

[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年2月8日]