危険察知の仕方を学んだ体験教室=東京都中央区で



 入学、進級シーズンを前に、子どもを狙う犯罪の傾向や防ぎ方を親子で学ぶ、体験型安全教室が東京都内で開かれました。前を向いて歩いているか、大声で助けを呼べるか、思い切り逃げられるか…。教室を主催したNPO法人「体験型安全教育支援機構」代表理事の清永奈穂さん(50)は「コロナ禍でも子どもを狙う犯罪は減っていません」と注意を呼びかけます。

子どもの視野を体験 「こんなに狭いの!?」

 体験型安全教室は、小学校の教室6つ分ほどの広さの部屋に、通学路や横断歩道、建物などを配置した仮想の街で行われました。新小学1、2年生を中心にした子どもたちとその保護者が参加。子どもの防犯に関心のあるボランティアが講師や仮想の街の住人役を務めました。

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広いスペースを使い、実際の通学路のように建物などを配置した


 部屋を斜めに横切る長さ20メートル強の「通学路」を、参加した子どもに歩いてもらい、前方で棒状の遊具を振り回す不審者にどこで気付くか様子を見たところ、多くの子どもが、相手にだいぶ近づいてから歩みを止めました。

 清永さんが、子どもを狙った犯罪を過去に犯した人たちに行った調査によると、20メートル先から子どもに狙いをつけ、誰かに見られていないか周囲の様子をうかがいながら徐々に近づき、狙った子どもに6メートルまで近づくと、犯行を決意するそうです。「6メートル以上前を見て歩くようにしてください」と清永さん。一方で子どもの視野は狭く、前ばかり見ていると、横からの自動車や歩行者に気付かないことも。子どもの視野を体験できるチャイルドビジョンを装着した保護者は「こんなに見えないんだ」と驚いていました。

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体験メガネで小学校低学年の視野の狭さを体験する保護者たち


見つめられ怖くて固まる子が狙われやすい

 見つめられた時に、怖くて固まってしまい、目をそらすことができない子が狙われやすいそうで「じーっと見られたら、一番いいのはぷいっと横を向くこと」。最近は、黙ってスマートフォンのカメラを向けてきたり、「写真撮らせて」と近づいてきたりする人もいるといいます。

 「はなしかけてくる」「ちかづいてくる」「みつめてくる」「ついてくる」「じっとまっている」「ん?と思う」。頭文字を取った「はちみつじまん」は、不審者の特徴を示す合言葉。さらに、「いやです」「ダメです」「(ついて)いきません」と、きっぱり断る練習、近くの人に助けを求める練習、つかまれた腕を振り払ったり、かみついたりする練習をしました。「少しでもおかしいと思ったら、防犯ブザーは迷わず鳴らす」「逃げる途中でランドセルやかばんをつかまれたら、ためらわず捨てて逃げる」とのアドバイスも。

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「不審者に声をかけられたらきっぱりと断りましょう」と話す清永さん(左)


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腕をつかまれた時の対処を練習する子どもたち


 新1年生の長女と参加した母親(38)は「新型コロナの影響で、集団登校ができないので、1人で登下校することになる。どんな人に注意すればいいのか、具体的に教えてもらえてよかった」と話しました。

営業自粛など地域の変化もチェックしよう

 子どもに対する声かけやつきまといの通報は、昨春の緊急事態宣言中は例年に比べて大きく減りましたが、年間の総件数はそれほど減っていません。愛知県警の資料によると、宣言解除後の6月に件数が大幅に増え、年末にかけて前年同月を上回っています。過去の犯罪者の行動研究や、警察関係者や見守りボランティアへの聞き取りなどをしてきた清永さんは、「外出自粛の影響で、子どもが外にあまり出なくなったため、狙った子どもの習慣などをじっくり把握する時間がなく、『次にいつ、好みの子に会えるか分からない』という心理から性急、強引な行動が増えている」と分析しています。

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大声で「助けて〜」と叫ぶ練習をする子どもたち


 コロナの影響で、店が営業を自粛したり、閉店したりと、地域の状況も変わっています。見守りボランティアも高齢化で数が減っている上、休校中に活動を休止したままの人も多いということで、「親子で通学路を確認し、いざというときに駆け込める店や施設を確認して」と呼びかけています。

 清永さんは新著「いやです、だめです、いきません」(岩崎書店、1320円)で、「安全マップ」の作り方、危ない場所、狙われやすい子どもの特徴などについて詳しく解説しています。