新型コロナウイルスの流行が続いて外出がしにくい今、オンラインで学習や習い事に取り組む子どもは多いだろう。児童生徒に1人1台のタブレット端末などを配備する国の「GIGAスクール構想」も本格化する中、心配なのは画面を長く見続けることによる姿勢の悪化だ。

休校明け「姿勢の悪い子が増えた」

 愛知県あま市の美和小養護教諭の岡戸香織さん(41)が、姿勢が悪い子の増加に気づいたのは、一斉休校が明けた昨年6月。家で過ごす時間が長かった影響か、「姿勢を正して」と注意すれば直るが、またすぐ机によりかかったり頬づえをついたり。猫背で歩く子も増えた。子どもの生活習慣で気になる点を複数回答で保護者に聞くと、「姿勢」という回答が4割に上った。

 岡戸さんは今年2月、同市内で接骨院を営む柔道整復師、市野政伯(まさのり)さん(64)に教職員向けの講演を依頼。丸くなろうとする筋肉の癖を直すストレッチを教わった=上のイラスト。肩甲骨を内側に寄せ、頭を後ろに倒しながら息を吐く。立った状態でも座ったままでもできるのが特徴だ。

突き出た頭を支えようと筋肉が収縮

 美和小では、授業中に時間を設けるなどしてストレッチを促している。「やった後は背筋がピッと伸びる。頭も体もすっとして集中できそう」と岡戸さん。7月には4〜6年生約200人が講演を聴く予定だ。

 美和小など近隣6市町の小学校で姿勢改善のセミナーを開いてきた市野さんによると、首や腰の痛みを訴えて接骨院を訪れる小学生は猫背が多い。猫背は、突き出た頭を支えようと筋肉が収縮して負担がかかる。「筋肉が縮んで固まってしまうと関節の可動域が狭まり、それを無理に動かそうとして痛みが出る」と説明する。ストレッチは「トイレに行く前にやる」などと決め、2回1セットで、1日10セット以上を習慣づけるといいという。


養護教諭の実感「背中ぐにゃぐにゃ」

 背中がぐにゃぐにゃと安定しない子どもの増加を示唆するデータも。日本体育大体育研究所は1987年から、現場の保育士や養護教諭らが抱く実感を基に、子どもの体がどう変化しているかを追跡している。

 今年1〜3月の調査で、小学生について「最近増えている」と養護教諭らが実感しているのは、複数回答で「背中ぐにゃ」が56.6%で6位。座っているときに、椅子にもたれるなどする姿が目につくようだ。2000年代の結果を見ると、2000年は4位、2005年は2位、2010年は3位、2015年は4位と常に上位を占める。

頭痛や消化機能の低下につながる

 日本体育大教授の野井真吾さん(52)は「ゲームの他、勉強でも画面を凝視する時間が増えており、悪い姿勢が定着してしまいそう」と危惧する。姿勢が悪くなると、頭痛がしたり、内臓が圧迫されて消化機能が低下したりしやすいという。

 良い姿勢を保つには、神経伝達物質「セロトニン」の分泌が重要。首筋や背骨周辺などの筋肉を緊張させる役割があるためだ。「日光を浴びて体を動かすとセロトニンが増える」と野井さん。セロトニンは睡眠を促すホルモンのもとでもある。「セロトニンが増えればよく眠れ、朝はすっきり起きることができて姿勢が良くなる」と呼び掛ける。